PR最先端の仕様を取り込み「ティアックの音」を革新し続ける
ティアック“Reference”シリーズ、10年を超えて。開発・企画担当者に訊く音作りへのこだわり
ヘッドホンの市場拡大を牽引した503シリーズ
ーー2011年に登場した501シリーズが大ヒットして、その後2015年に「UD-503」と「NT-503」が兄弟機のようなイメージで発表されて、これも大きな話題になりました。
吉田 これは私も企画で携わったのでとても思い入れがあります。USB-DACとネットワークプレーヤーはそれぞれ違うお客さんがいるから、双方同時並行で進めようという話でした。「NT-503」はティアックブランドとしての初のネットワークプレーヤーになりました。当時はまだDLNAベースで、現在のスタンダードであるOpenHomeにはまだ対応できていなかったんですね。「NT-503」は、「UD-503」と同じDAC部を積んでいて、ネットワークプレーヤーとしてもDAコンバーターのクオリティにこだわっています。
ーー503の発表はとても衝撃的でしたね。2015年頃というと、やはりヘッドホンの市場が爆発的に拡大した時期ですね。フジヤエービックの「ヘッドフォン祭」が年々拡大して、据え置きだけではない、ヘッドホンでもクオリティを追求しようという流れが大きくなってきた頃です。
吉田 あの頃のポータブル市場の熱気はすごかったですね。そういえばプリメインアンプの「AI-503」(2016年)の発表会は、e☆イヤホンさんの「ポタフェス」でやりました。ヘッドホンのユーザーと据え置きのスピーカーのユーザーをつなぐ、というのが大きなコンセプトとしてありましたね。デュアルモノラル設計でAKMのDACを積んで、3.5mm4極のヘッドホン端子もつけて。いまから考えても結構攻めた設計でしたね。
ーークロックジェネレーターの「CG-10M」(2017年)もロングセラーになりました。
村田 クロックは意外というか、売れましたねぇ。
吉田 「UD-503」のときにクロックの入力をつけていまして、いつか出そうとは思っていたんですが、その時点では計画はなかったんです。ところがその後、サードパーティさんからUD-503/NT-503に最適、という謳い文句でクロック製品が出てきて、そちらが盛り上がっちゃったので悔しい思いもあって。絶対いつかやるぞ、とは思っていたんです。
村田 「CG-10M」を出す前にもクロックの企画ってなんどか出していたんですが、やっぱり採算が取れないみたいなところでことごとく落とされてました。ところが蓋を開けてみれば大成功でしたね。
吉田 あのあとまたノウハウも積み上がってきて、クロックでもっと音がよくできるぞ、というアイデアも出てきています。将来どこかのタイミングで世代を上げていきたいな、ということも考えていますね。