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NHK技研公開(2) 「サーバー型放送」がテレビライフを変える

公開日 2004/05/27 19:22
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●NHK「技研公開2004」で、これからのテレビ放送を変える技術として大きな注目を集めていたのが「サーバー型放送」だ。「サーバー型放送」では、放送局内のサーバーやホームサーバーに蓄積された番組コンテンツを視聴でき、時間にとらわれないテレビ利用が可能になる。たとえば、局内サーバー内に内容のダイジェストや番組をシーン毎に切り分けた映像を用意しておき、その映像を光ファイバー経由で家庭に配信する、などといった利用を想定している。

NHKが開発したサーバー型放送受信機の試作機

「サーバー型放送」と「メタデータ」を組み合わせると、さらに便利な視聴スタイルが実現する。番組の内容をメタデータとしてサーバー内に保持しておくことにより、番組内の特定の部分のみを視聴できる「セレクト視聴」「ハイライト視聴」などが行えるようになる。たとえばメジャーリーグの試合で「イチローの打席が見たい」といった際に、サーバー内のメタデータを検索し、メタデータが「イチロー」に合致する部分のみを再生するといった具合だ。

メタデータを記録するには、番組の内容をくわしく分析し、番組内のタイムコードなどとともに記録しておく必要がある。イチローが現れたら、「イチローが現れた」という意味のメタデータを入力しなければならない。このため、従来は人間が番組を見ながらメタデータを記録するしか方法がなかった。


人物の顔を分析し、自動でメタデータを生成できる
NHKでは、このメタデータの生成を自動で行う技術を開発している。画像認識を使ったデータ生成では、あらかじめ人物の顔を入力しておくと、映像内に現れた顔の情報を分析し、データとして記録する。これにより、映像にイチローが現れたら、イチローのメタデータを自動に記録することが可能になる。また、このような画像認識技術と、カット割りの特徴を認識する技術により、ツーベースヒットやホームランなど、特定のシーンを自動で認識することもできる。自動メタデータ生成は音声認識を使用することも可能で、音を分析し、日本語を解析することで、データの記録を行う。


コンテンツに「電子透かし」を埋め込むことにより、コンテンツ利用者を特定できる
映像をサーバー経由で配信すると、より強力なコンテンツのコピーコントロールが必要になる。NHKでは、コンテンツの権利保護と視聴制御を1枚で行う、より高度なCASカードの研究も行っている。このCASカードのコンテンツ保護技術は強力で、ライセンスとコンテンツを別サーバーで独立運用し、ユーザーが番組をリクエストすると、コンテンツにユーザー情報を含む「電子透かし」を埋め込む。この状態でダウンロードした番組を他人に渡し、再生しようとすると、電子透かしの情報が送信されて不正コピーが発見される仕組みだ。

NHKでは、2006年頃に「サーバー型放送」を実用化する考えで、当初はダイジェスト視聴などかんたんな内容が中心になるという。メタデータを利用するセレクト視聴などは、サービス開始後数年以内に実現したいとしている。

(Phile-web編集部)

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