極上サウンド・レポート、GML xrcd24のマスタリング現場を直撃取材〜その2〜
左)日本ビクター(株)のマスタリングルーム 右)GML幻の音源を収録したアナログテープ |
元の音源にマスタリングのプロセスを通して更なる「色づけ」を施して行く作業は、まさにアーティストとエンジニアとの真剣勝負である。マスタリング作業の出来によっては、音源の魅力が何倍にも磨きあげられることもあれば、一気に損なわれてしまうことすらあるのだ。この日もイコライジングの作業段階において、アーティストの増田氏とエンジニアの小鐵氏との間で、妥協のない音作りのためのシビアなコミュニケーションが繰り広げられた。マスタリング作業を終えた増田氏は「アーティストの細かい注文に応えながら、こちらの期待を遙かに上回るものを用意してくれている。小鐵さんの仕事はまさに“小鐵マジック(魔法)”なんですよ!」と、この日の成果を熱っぽく語ってくれた。これまでにもいくつもの名作を共に生み出してきた二人だからこそ、お互いへ寄せる絶大なる信頼により、この日も最高の作品を結実させたのだろう。
「増田さんのように、音楽を心から大切にして、残された録音もマスタリングによって、さらにいいものに仕上げるために沢山のリクエストをぶつけてくれるアーティストは、エンジニアに最高のパートナーなんです。ミュージシャンやレコード会社のクライアントからのあらゆる要望に応え、作品を購入してくれる大勢の音楽ファンの皆様に満足して頂ける作品をつくること。エンジニアの仕事の醍醐味はまさにそこにあると思っています」と語る、小鐵氏の自信に満ちあふれた笑顔にこの日も出会うことができた。
本日ご紹介した、クリス・コナーと増田一朗カルテットによる「幻の録音」は、まもなくGMLレーベルからそのリリース形態が発表されるだろう。作品として皆様の手元に届く日もそう遠くないはずだ。その詳細は明らかになり次第、ご覧のPhile-webでもご報告したいと思う。また寺島靖国氏がパーソナリティを務めるミュージックバードのラジオ番組「PCM ジャズ喫茶」にも注目して欲しい。こちらでも、GMLの最新作をはじめ、優れた音源が数多く紹介されている。本日の作品も、寺島氏の番組の中でいち早く紹介されるかもしれない。
(Phile-web編集部)