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極上サウンド・レポート、GML xrcd24のマスタリング現場を直撃取材〜その2〜

公開日 2004/05/28 11:21
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左)日本ビクター(株)のマスタリングルーム 右)GML幻の音源を収録したアナログテープ
●マスタリング時に、MOに音を取り込む作業は極めて繊細なものである。音に悪いと思われる要素を極力排除して録音作業が行われる。例えばマスタリングの本作業の際には、電源ノイズを極限までなくすために、エンジニアルームの照明機器を全てOFFにして真っ暗な状態で作業を行うのだ。これは、CDが精密な光学製品ゆえに、余分な光がCDの音に干渉してしまうのを防ぐためという意味合いも持っている。

SONY製マスターディスクレコーダー「PCM-9000」

CD用のマスター製作に用いられるレコーダー「PCM1630」

元の音源にマスタリングのプロセスを通して更なる「色づけ」を施して行く作業は、まさにアーティストとエンジニアとの真剣勝負である。マスタリング作業の出来によっては、音源の魅力が何倍にも磨きあげられることもあれば、一気に損なわれてしまうことすらあるのだ。この日もイコライジングの作業段階において、アーティストの増田氏とエンジニアの小鐵氏との間で、妥協のない音作りのためのシビアなコミュニケーションが繰り広げられた。マスタリング作業を終えた増田氏は「アーティストの細かい注文に応えながら、こちらの期待を遙かに上回るものを用意してくれている。小鐵さんの仕事はまさに“小鐵マジック(魔法)”なんですよ!」と、この日の成果を熱っぽく語ってくれた。これまでにもいくつもの名作を共に生み出してきた二人だからこそ、お互いへ寄せる絶大なる信頼により、この日も最高の作品を結実させたのだろう。

マスタリングルームに配置されたモニタースピーカー


ミキシングコンソールに向かう小鐵氏

この日は増田一朗氏の友人であるジャズ評論家の長澤祥氏もマスタリング現場に駆けつけた
「増田さんのように、音楽を心から大切にして、残された録音もマスタリングによって、さらにいいものに仕上げるために沢山のリクエストをぶつけてくれるアーティストは、エンジニアに最高のパートナーなんです。ミュージシャンやレコード会社のクライアントからのあらゆる要望に応え、作品を購入してくれる大勢の音楽ファンの皆様に満足して頂ける作品をつくること。エンジニアの仕事の醍醐味はまさにそこにあると思っています」と語る、小鐵氏の自信に満ちあふれた笑顔にこの日も出会うことができた。


仕事を終え、笑顔を見せる日本ビクター(株)のエンジニア、小鐵徹氏
本日ご紹介した、クリス・コナーと増田一朗カルテットによる「幻の録音」は、まもなくGMLレーベルからそのリリース形態が発表されるだろう。作品として皆様の手元に届く日もそう遠くないはずだ。その詳細は明らかになり次第、ご覧のPhile-webでもご報告したいと思う。また寺島靖国氏がパーソナリティを務めるミュージックバードのラジオ番組「PCM ジャズ喫茶」にも注目して欲しい。こちらでも、GMLの最新作をはじめ、優れた音源が数多く紹介されている。本日の作品も、寺島氏の番組の中でいち早く紹介されるかもしれない。

(Phile-web編集部)

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