鈴木桂水氏が体験する「NETJUKEのある生活」 − 第9回:他ブランドのスピーカーと組み合わせて聴いてみた
■バックアップした楽曲ファイルの活用範囲をさらに広げてみた
前回のレポートではネットジュークに録音した番組を、汎用の外付けHDDを使って保存を試みた。かなり手間取ったが、なんとかバックアップがとれたので一安心している。せっかくバックアップをつくったのだから、さらに活用の範囲を広げたいと思う。
まずはネットジュークで録音した番組をiPodに転送して使ってみた。操作は簡単で、外付けHDDに保存したMP3ファイルをiTunesのプレイリストフォルダーに移動するだけで完了した。ネットジュークで録音したラジオ番組はフォルダーごとにまとまっているので、聞きたい番組だけをコピーしてもいい。
前回の操作と上記の手順を踏襲すればMDの内容をCDに変換して保存できる。ただしこの方法を使ったMDのCD化は、一度MP3に変換し、さらにPCMへ変換することになるので、音質は劣化する。それでもMDより再生する機会は増えるので、利便性を優先するならオススメだ。
【番外編】他社ブランドのスピーカーとつないでNET JUKEを試聴してみました!
今回は特別に番外編レポートとして、先日読者の方からリクエストをいただいたスピーカーと、ネットジュークを組み合わせた試聴レポートに挑戦しようと思う。
第7回目のレポートではネットジュークの最上位モデル「NAS-M90HD」と中級モデル「NAS-M70HD」で付属するスピーカーの聴き比べをした。詳しい結果は記事を参照していただきたいが、確かに最上位モデルのスピーカーの方が良い音がするのだが、若干音の広がりが欠ける印象を受けた。今回、読者の方より「AIRBOWのIMAGE11/KAI2とNET JUKEの組み合わせがオススメ」との連絡をいただいた。この機会に、僕が以前から組み合わせ試聴を行ってみたいと思っていた、ALR/JORDANの「Entry Si」も用意してみることにした。
今回視聴に使ったのはCenturion MusicのCD、ロイヤル・フィルハーモニックオーケストラの演奏によるエドヴァルド・グリーグの『ピアノ協奏曲 イ短調 作品16 第1楽章』と以前のテストでも使用したMCAビクターのCD『バドゥイズム/エリカ・バドゥ』の2枚だ。
まず今回リクエストをいただいたAIRBOWの「IMAGE11/KAI2」からテストしてみた。今回のテストでは、全機種でネットジュークの付属スピーカーケーブルを使っている。
まず驚かされたのが音の立ち上がりの素早さと、クリアな高域再生能力だ。「ピアノ協奏曲 イ短調」では、とにかく音の立ち上がりが速いことに気が付く。ピアニストの指使いというよりもピアノの中で、ハンマーが弦をたたく様子が目に浮かぶような生々しい音がする。音の広がり方も尋常ではない。純正品では設置位地相応の広がりしか感じなかったが、「IMAGE11/KAI2」では、設置場所よりも2回りぐらい大きな広がりを感じた。
高域の再生能力にも唸らされる。エリカ・バドゥの「オン・アンド・オン」という曲には、かすかにハイハットがリズムを添えているのだが、この余韻を見事に再現している。低域の再生能力をボリュームアップしたいと考え、ネットジュークのバスブースト機能を使ってみたところ、ちょうど良いバランスに調整できた。歯切れのよい音を好む人にはオススメできるスピーカーだ。
一方のALR/JORDANの「Entry Si」は、低域から高域まで実に良くバランスが取れており、聴きやすい印象を得た。「ピアノ協奏曲 イ短調」は、ボリュームを抑えていても迫力のあるピアノの音を再生している。エリカ・バドゥは艶やかなボーカルを見事に再現している。ただ、「IMAGE11/KAI2」のようなとんがった印象はなく、むしろ音の傾向は純正のスピーカーに近い。違いは低域の質にあり、「Entry Si」の方が重みを残しながら、切れの良い響きで低域を再生している。
今回は単品スピーカーだけで5万前後の製品との比較を行ったわけだから、「NAS-M90HD」の純正スピーカーと差がでてしまうのは致し方ない所だが、結果として中・高域の再生は「IMAGE11/KAI2」が大きくリードした。ポップス、ロック、楽器を中心とした民族音楽などを好んで聴く、僕のようなタイプはこのスピーカーと組み合わせれば満足度が上がるだろうと感じた。
中低域なら「Entry Si」なのだが、聴き比べると積極的にネットジュークと組み合わせる必要はないと感じた。もちろん、純正品よりもナチュラルで、聴き疲れしないしっとりとした音色は素晴らしいが、音の仕上がりの傾向が純正品に似ているだけにそう感じる。予算があればぜひ挑戦してみても良いだろう。
一方で結果としては「NAS-M90HD」の純正スピーカーの実力に改めて驚かされた。セットとして、この価格でこれだけの音が出ているなら十分なポテンシャルを備えていると言えるだろう。ネットジュークは左右のバランス調整ができないので、スピーカーを離して設置しても、納得のいく設置調整ができない点は残念だが、デスクサイドやブックシェルフに設置して、気軽に良い音を楽しむためのコンポとして使うなら不足は感じないはずだ。
鈴木桂水(Keisui Suzuki)
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、日経BP社デジタルARENAにて「使って元取れ! ケースイのAV機器<極限>酷使生活」、徳間書店「GoodsPress」など、AV機器を使いこなすコラムを執筆中。
>>鈴木桂水氏のブログはこちら
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件名:NET JUKEへの質問係宛
前回のレポートではネットジュークに録音した番組を、汎用の外付けHDDを使って保存を試みた。かなり手間取ったが、なんとかバックアップがとれたので一安心している。せっかくバックアップをつくったのだから、さらに活用の範囲を広げたいと思う。
まずはネットジュークで録音した番組をiPodに転送して使ってみた。操作は簡単で、外付けHDDに保存したMP3ファイルをiTunesのプレイリストフォルダーに移動するだけで完了した。ネットジュークで録音したラジオ番組はフォルダーごとにまとまっているので、聞きたい番組だけをコピーしてもいい。
前回の操作と上記の手順を踏襲すればMDの内容をCDに変換して保存できる。ただしこの方法を使ったMDのCD化は、一度MP3に変換し、さらにPCMへ変換することになるので、音質は劣化する。それでもMDより再生する機会は増えるので、利便性を優先するならオススメだ。
【番外編】他社ブランドのスピーカーとつないでNET JUKEを試聴してみました!
今回は特別に番外編レポートとして、先日読者の方からリクエストをいただいたスピーカーと、ネットジュークを組み合わせた試聴レポートに挑戦しようと思う。
第7回目のレポートではネットジュークの最上位モデル「NAS-M90HD」と中級モデル「NAS-M70HD」で付属するスピーカーの聴き比べをした。詳しい結果は記事を参照していただきたいが、確かに最上位モデルのスピーカーの方が良い音がするのだが、若干音の広がりが欠ける印象を受けた。今回、読者の方より「AIRBOWのIMAGE11/KAI2とNET JUKEの組み合わせがオススメ」との連絡をいただいた。この機会に、僕が以前から組み合わせ試聴を行ってみたいと思っていた、ALR/JORDANの「Entry Si」も用意してみることにした。
今回視聴に使ったのはCenturion MusicのCD、ロイヤル・フィルハーモニックオーケストラの演奏によるエドヴァルド・グリーグの『ピアノ協奏曲 イ短調 作品16 第1楽章』と以前のテストでも使用したMCAビクターのCD『バドゥイズム/エリカ・バドゥ』の2枚だ。
まず今回リクエストをいただいたAIRBOWの「IMAGE11/KAI2」からテストしてみた。今回のテストでは、全機種でネットジュークの付属スピーカーケーブルを使っている。
まず驚かされたのが音の立ち上がりの素早さと、クリアな高域再生能力だ。「ピアノ協奏曲 イ短調」では、とにかく音の立ち上がりが速いことに気が付く。ピアニストの指使いというよりもピアノの中で、ハンマーが弦をたたく様子が目に浮かぶような生々しい音がする。音の広がり方も尋常ではない。純正品では設置位地相応の広がりしか感じなかったが、「IMAGE11/KAI2」では、設置場所よりも2回りぐらい大きな広がりを感じた。
高域の再生能力にも唸らされる。エリカ・バドゥの「オン・アンド・オン」という曲には、かすかにハイハットがリズムを添えているのだが、この余韻を見事に再現している。低域の再生能力をボリュームアップしたいと考え、ネットジュークのバスブースト機能を使ってみたところ、ちょうど良いバランスに調整できた。歯切れのよい音を好む人にはオススメできるスピーカーだ。
一方のALR/JORDANの「Entry Si」は、低域から高域まで実に良くバランスが取れており、聴きやすい印象を得た。「ピアノ協奏曲 イ短調」は、ボリュームを抑えていても迫力のあるピアノの音を再生している。エリカ・バドゥは艶やかなボーカルを見事に再現している。ただ、「IMAGE11/KAI2」のようなとんがった印象はなく、むしろ音の傾向は純正のスピーカーに近い。違いは低域の質にあり、「Entry Si」の方が重みを残しながら、切れの良い響きで低域を再生している。
今回は単品スピーカーだけで5万前後の製品との比較を行ったわけだから、「NAS-M90HD」の純正スピーカーと差がでてしまうのは致し方ない所だが、結果として中・高域の再生は「IMAGE11/KAI2」が大きくリードした。ポップス、ロック、楽器を中心とした民族音楽などを好んで聴く、僕のようなタイプはこのスピーカーと組み合わせれば満足度が上がるだろうと感じた。
中低域なら「Entry Si」なのだが、聴き比べると積極的にネットジュークと組み合わせる必要はないと感じた。もちろん、純正品よりもナチュラルで、聴き疲れしないしっとりとした音色は素晴らしいが、音の仕上がりの傾向が純正品に似ているだけにそう感じる。予算があればぜひ挑戦してみても良いだろう。
一方で結果としては「NAS-M90HD」の純正スピーカーの実力に改めて驚かされた。セットとして、この価格でこれだけの音が出ているなら十分なポテンシャルを備えていると言えるだろう。ネットジュークは左右のバランス調整ができないので、スピーカーを離して設置しても、納得のいく設置調整ができない点は残念だが、デスクサイドやブックシェルフに設置して、気軽に良い音を楽しむためのコンポとして使うなら不足は感じないはずだ。
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、日経BP社デジタルARENAにて「使って元取れ! ケースイのAV機器<極限>酷使生活」、徳間書店「GoodsPress」など、AV機器を使いこなすコラムを執筆中。
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