「世界初の感動を届けたい」 - ソニー"BRAVIA”発表会詳報
既報の通り、ソニー(株)は本日、液晶テレビ“BRAVIA”の新製品を発表した。本項では、発表会の模様についてお伝えする。
発表会には、同社取締役代表執行役副社長 コンスーマープロダクツグループ担当の井原勝美氏、テレビ事業本部 FTV事業部門 部門長の吉川孝雄氏、そしてソニーマーケティング(株)代表取締役 執行役員 副社長の栗田伸樹氏の3名が出席。新商品の魅力について語った。
まずは井原氏が最初に登壇。冒頭のあいさつで「2007年度、ソニーのエレクトロニクスビジネスは史上最高の利益を達成できた。2008年はそれをさらに進化・拡充して世界の顧客に本当に喜んでもらえる商品を出していきたい」と、コンシューマービジネス全体について述べた後、前方の幕を落とすように井原氏が指示。そのかけ声によって実機が登場する演出となっていた。
その後、井原氏は新商品についてコメント。「世界初の感動は<ブラビア>から」というキャッチフレーズを紹介した井原氏は「最薄であったり最軽量であったりと、世界で初めての機能や技術を搭載してブラビアを完成させた。非常に力を込めており、自信を持っている商品となっている」と完成度に自信をのぞかせた。また、秋から年末にかけての商戦へ向け、ブラビアを皮切りにブルーレイ関連製品など様々な商品を投入していく考えも明らかにした。
続いて吉川氏が登壇し、「2008年、ブラビアは新たに3つの約束をする」と宣言。「より多くの人に、より豊かなコンテンツとの出会いを」「よりクリエイティブな空間を技術・デザインの力で」「より地球環境に貢献する、インテリジェント・エコ」という3点を実現させ、“トータル・ソニー・エクスペリメント”の扉を開くことが目標だと語った。
その後、発表された4シリーズそれぞれについての特徴について説明した吉川氏。各機種の技術的特徴に関しては別項(関連ニュース)が詳しいのでそちらをご覧頂きたいが、「誰もがチャレンジしたことのない未知の領域に勇気を持って挑戦する。これはソニー創業時からのDNAで、技術者ひとりひとりの心と体に深く刻まれているものだ」と情熱的に氏は語った。
ブラビアのマーケティング施策に関しては、栗田氏が説明。今回の新製品を世界に先駆けて日本で発売することを発表し「日本のユーザーに世界で初めての感動を最初に届けられることを、国内マーケティングの担当として大変うれしく思っている」と語った。
栗田氏は続いて、液晶・プラズマの市場動向について言及。2011年のアナログ完全停波に向けて需要拡大が続いていくと考えていること、37V型以上の製品が市場の3分の1以上を占めていることなどを説明した。また、同社が行ったユーザー意向調査などから、「大型テレビのニーズ動向は、フルHD化、倍速化に続き、さらなる画質向上を求める性能軸での進化と、インテリア性や省エネ性能などライフスタイル価値の広がりという2軸で進化していくと考えている」とコメント。今回発表となった4製品は、こうしたニーズに応えるためのものであると語った。
最後に今後展開される予定のCMがスクリーンで上映され、首脳陣によるプレゼンテーションは幕を閉じた。
以下、発表会で行われた質疑応答の主な内容を紹介する。
Q.今回発表された製品の海外導入のタイミングを教えて欲しい。
A.日本をスタートとしているが、全世界的にほぼ同じタイミングでの発売となる。
Q.30V型台の展開予定はどうなっているのか。
A.栗田の説明の中にもあったが、今後は37V型以上の大型の比率が増えてくる。そうした中で、ソニーとしては40V型以上の商品を拡張していくという方針だ。32V型に関しては、4月に発売したJとFモデルが継続販売される。まだ発売したばかりでもあり、こちらにも自信を持っている。
Q.7-9月期のテレビ事業の損益見通しを教えて欲しい。黒字転換の実現は視野に入ってきたのか。
A.損益についての対外的な発表は別の機会に行う予定なので、この場では控えさせてもらいたい。
Q.北米で32V型の低価格モデルを発売したが、ボリュームゾーンを狙ったそれらの製品の手応えはどうか。
A.液晶テレビの市場として、マーケットがますます拡大している。今まで液晶テレビに手が届かなかった顧客にも新しく製品を届けるという、マーケットを拡大する意味で32V型の低価格商品を発売した。ソニーとしては、マーケットの拡大に追従するための商品と、今回発表したような付加価値を持った大型化の商品という両方を捉えて進めていきたい。
Q.年間1700万台程度というテレビ販売計画を立てているが、それに対して現在はどれくらいの状況で推移しているのか。また、北米、欧州、日本などの地域ごとではどのような状況なのか教えて欲しい。
A.計画通りに推移している。地域別の数字については公表していない。
Q.五輪商戦について、国内外での実績はどうだったのか。
A.中国では、地震などの影響もありそれほどピークはこなかった。日本のマーケットでは、7月と8月を前年と比較すると約30〜35%の売り上げアップとなった。市場全体の拡大もあり、どこまでが五輪商戦と言えるか難しい部分もあるが、10〜15%程度が五輪関連での需要だったのではないかと考えている。
Q.モーションフロー技術について、従来の倍速技術と比べてどの程度良くなっているのか。可能であれば数値的なものを教えて欲しい。
A.数値化は非常に難しいものがある。見てもらうのが一番効果的だと思っている。1秒間のコマ数が120から240に増えた差は一目瞭然だろう。
Q.コントラストをポイントにして「最高画質」という表現をしているという認識で良いか。
A.コントラストはあくまでもポイントのひとつ。RGBのLEDを採用したことにより色域が広がっている。また、新たにDRCのバージョン3を搭載している。これらのことから「最高画質」だと考えている。
Q.有機ELについて今後の見通しを教えて欲しい。
A.有機ELとLCDの住み分けについて、ソニーとしては有機ELを新しいライフスタイルの展開へと考えている。有機ELとLCDのビジネスは並行していけるものだと考えている。
Q.有機ELに220億の投資を決めており、今後も数千億をパネル・テレビに投資していくということだが、液晶と有機ELそれぞれに対する投資のバランスについてどう考えているのか。
A.有機ELは、現在の11インチだけでは顧客の満足度を得られないと思っており、大型化へ向けた投資をしている。その先についてはマーケットの需要も考えながら慎重に判断していきたい。
Q.欧米で景気後退の懸念も出てきている中で、ハイエンド系商品があまり売れないのではないかという意見もあるが、それについてどう考えているのか。また、低価格帯モデルとハイエンドモデルの割合はどうなるのか。
A.LCDテレビの現状を考えると、大きな影響は出ていないと受け止めている。低価格帯モデルとハイエンドモデルとのバランスに関しては公表していない。
Q.原料高について対応策はどうなっているのか。
A.ユーザーへ迷惑をかけないよう、製品全体のコストダウンの中でなんとか吸収していきたいと考えている。
Q.新規商品事業への取り組みに関し、北米では通信関連事業を積極的に行っているが日本での展開はどうなるのか。
A.ソニー単独での事業というわけではないが、日本でのネットワーク事業としては「アクトビラ」がある。コンテンツが充実しつつあるので、これが大きな取り組みだと思っている。もちろんソニー単独としてもコンテンツ商品の展開を考えているが、権利関係の処理に時間がかかっている。具体的な日程はまだ分からないが、権利関係の処理がクリアになり次第サービスを展開していきたい。
(Phile-web編集部)
発表会には、同社取締役代表執行役副社長 コンスーマープロダクツグループ担当の井原勝美氏、テレビ事業本部 FTV事業部門 部門長の吉川孝雄氏、そしてソニーマーケティング(株)代表取締役 執行役員 副社長の栗田伸樹氏の3名が出席。新商品の魅力について語った。
まずは井原氏が最初に登壇。冒頭のあいさつで「2007年度、ソニーのエレクトロニクスビジネスは史上最高の利益を達成できた。2008年はそれをさらに進化・拡充して世界の顧客に本当に喜んでもらえる商品を出していきたい」と、コンシューマービジネス全体について述べた後、前方の幕を落とすように井原氏が指示。そのかけ声によって実機が登場する演出となっていた。
その後、井原氏は新商品についてコメント。「世界初の感動は<ブラビア>から」というキャッチフレーズを紹介した井原氏は「最薄であったり最軽量であったりと、世界で初めての機能や技術を搭載してブラビアを完成させた。非常に力を込めており、自信を持っている商品となっている」と完成度に自信をのぞかせた。また、秋から年末にかけての商戦へ向け、ブラビアを皮切りにブルーレイ関連製品など様々な商品を投入していく考えも明らかにした。
続いて吉川氏が登壇し、「2008年、ブラビアは新たに3つの約束をする」と宣言。「より多くの人に、より豊かなコンテンツとの出会いを」「よりクリエイティブな空間を技術・デザインの力で」「より地球環境に貢献する、インテリジェント・エコ」という3点を実現させ、“トータル・ソニー・エクスペリメント”の扉を開くことが目標だと語った。
その後、発表された4シリーズそれぞれについての特徴について説明した吉川氏。各機種の技術的特徴に関しては別項(関連ニュース)が詳しいのでそちらをご覧頂きたいが、「誰もがチャレンジしたことのない未知の領域に勇気を持って挑戦する。これはソニー創業時からのDNAで、技術者ひとりひとりの心と体に深く刻まれているものだ」と情熱的に氏は語った。
ブラビアのマーケティング施策に関しては、栗田氏が説明。今回の新製品を世界に先駆けて日本で発売することを発表し「日本のユーザーに世界で初めての感動を最初に届けられることを、国内マーケティングの担当として大変うれしく思っている」と語った。
栗田氏は続いて、液晶・プラズマの市場動向について言及。2011年のアナログ完全停波に向けて需要拡大が続いていくと考えていること、37V型以上の製品が市場の3分の1以上を占めていることなどを説明した。また、同社が行ったユーザー意向調査などから、「大型テレビのニーズ動向は、フルHD化、倍速化に続き、さらなる画質向上を求める性能軸での進化と、インテリア性や省エネ性能などライフスタイル価値の広がりという2軸で進化していくと考えている」とコメント。今回発表となった4製品は、こうしたニーズに応えるためのものであると語った。
最後に今後展開される予定のCMがスクリーンで上映され、首脳陣によるプレゼンテーションは幕を閉じた。
以下、発表会で行われた質疑応答の主な内容を紹介する。
Q.今回発表された製品の海外導入のタイミングを教えて欲しい。
A.日本をスタートとしているが、全世界的にほぼ同じタイミングでの発売となる。
Q.30V型台の展開予定はどうなっているのか。
A.栗田の説明の中にもあったが、今後は37V型以上の大型の比率が増えてくる。そうした中で、ソニーとしては40V型以上の商品を拡張していくという方針だ。32V型に関しては、4月に発売したJとFモデルが継続販売される。まだ発売したばかりでもあり、こちらにも自信を持っている。
Q.7-9月期のテレビ事業の損益見通しを教えて欲しい。黒字転換の実現は視野に入ってきたのか。
A.損益についての対外的な発表は別の機会に行う予定なので、この場では控えさせてもらいたい。
Q.北米で32V型の低価格モデルを発売したが、ボリュームゾーンを狙ったそれらの製品の手応えはどうか。
A.液晶テレビの市場として、マーケットがますます拡大している。今まで液晶テレビに手が届かなかった顧客にも新しく製品を届けるという、マーケットを拡大する意味で32V型の低価格商品を発売した。ソニーとしては、マーケットの拡大に追従するための商品と、今回発表したような付加価値を持った大型化の商品という両方を捉えて進めていきたい。
Q.年間1700万台程度というテレビ販売計画を立てているが、それに対して現在はどれくらいの状況で推移しているのか。また、北米、欧州、日本などの地域ごとではどのような状況なのか教えて欲しい。
A.計画通りに推移している。地域別の数字については公表していない。
Q.五輪商戦について、国内外での実績はどうだったのか。
A.中国では、地震などの影響もありそれほどピークはこなかった。日本のマーケットでは、7月と8月を前年と比較すると約30〜35%の売り上げアップとなった。市場全体の拡大もあり、どこまでが五輪商戦と言えるか難しい部分もあるが、10〜15%程度が五輪関連での需要だったのではないかと考えている。
Q.モーションフロー技術について、従来の倍速技術と比べてどの程度良くなっているのか。可能であれば数値的なものを教えて欲しい。
A.数値化は非常に難しいものがある。見てもらうのが一番効果的だと思っている。1秒間のコマ数が120から240に増えた差は一目瞭然だろう。
Q.コントラストをポイントにして「最高画質」という表現をしているという認識で良いか。
A.コントラストはあくまでもポイントのひとつ。RGBのLEDを採用したことにより色域が広がっている。また、新たにDRCのバージョン3を搭載している。これらのことから「最高画質」だと考えている。
Q.有機ELについて今後の見通しを教えて欲しい。
A.有機ELとLCDの住み分けについて、ソニーとしては有機ELを新しいライフスタイルの展開へと考えている。有機ELとLCDのビジネスは並行していけるものだと考えている。
Q.有機ELに220億の投資を決めており、今後も数千億をパネル・テレビに投資していくということだが、液晶と有機ELそれぞれに対する投資のバランスについてどう考えているのか。
A.有機ELは、現在の11インチだけでは顧客の満足度を得られないと思っており、大型化へ向けた投資をしている。その先についてはマーケットの需要も考えながら慎重に判断していきたい。
Q.欧米で景気後退の懸念も出てきている中で、ハイエンド系商品があまり売れないのではないかという意見もあるが、それについてどう考えているのか。また、低価格帯モデルとハイエンドモデルの割合はどうなるのか。
A.LCDテレビの現状を考えると、大きな影響は出ていないと受け止めている。低価格帯モデルとハイエンドモデルとのバランスに関しては公表していない。
Q.原料高について対応策はどうなっているのか。
A.ユーザーへ迷惑をかけないよう、製品全体のコストダウンの中でなんとか吸収していきたいと考えている。
Q.新規商品事業への取り組みに関し、北米では通信関連事業を積極的に行っているが日本での展開はどうなるのか。
A.ソニー単独での事業というわけではないが、日本でのネットワーク事業としては「アクトビラ」がある。コンテンツが充実しつつあるので、これが大きな取り組みだと思っている。もちろんソニー単独としてもコンテンツ商品の展開を考えているが、権利関係の処理に時間がかかっている。具体的な日程はまだ分からないが、権利関係の処理がクリアになり次第サービスを展開していきたい。
(Phile-web編集部)