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年末年始特別対談

山之内正×石原俊 特別対談 − 2010年のピュアオーディオ展望<後編>

公開日 2009/12/30 00:11 山之内 正・石原 俊
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iPodや携帯オーディオと、旧来からのオーディオファンが息づくミドル〜ハイエンド市場の間に大きな乖離のあるオーディオ市場。コンテンツ配信という新たな動きをピュアオーディオに融合させるPCという存在、根強いファンが存在するアナログという存在が渾然となり、大きな転機を迎えているオーディオの2010年の行方は…。


―― アナログオーディオも厳然たる人気があります。

石原氏(以下 敬称略) 僕はアナログプレーヤーを新調しました。LINNのLP-12を使っていましたが、デノンのDP-1300MKIIというモデルに替えたのです。それはカートリッジの交換が迅速に行えるから。アナログの魅力は、カートリッジを替えて自由に音をつくれるところですね。カートリッジを10個くらいずらりと並べて、レコードによって取り替えたりします。

現代のアナログプレーヤーは音質的には非常にすぐれていますが、シェル一体型のアームになっているのでカートリッジの交換がしにくい。カートリッジの交換は昔は当たり前でした。ぜひ他メーカーからもこのようなプレーヤーを出していただきたいと思います。そしてカートリッジを替えて楽しむということを、もっとユーザーにアピールすれば、ビジネスの幅も大きくなるのではと思います。


山之内氏(以下 敬称略) アナログレコードやSPレコードやLINN DSは、マスターとの距離が近いんですね。再生する側の努力でどんどんいい音で聴ける可能性を秘めているので、取り組みがいがありますよ。私は今アナログレコードをハードディスクに取り込むため、一番いい状態で再生しようと頑張っているところです。

石原 現代のアンプがものすごく進歩したと同時に、真空管アンプも進歩しました。頂点を極めたものもあれば、懐かしの音をもっているようなメーカーもあります。価格も手頃で面白い存在だと思います。

―― 真空管のiPodシステムというのも多く出てきていますね。

石原 感覚鋭敏にして聴くオーディオではなくて、ゆったりと聴くシステムとしてとてもいいと思います。オーディオ評論では絶えず利き酒のように耳を研ぎすましていなくてはなりませんが、もしそうでなかったら、レトロな真空管の感じを味わうことに喜びを見いだしたいと思います。iPodを真空管で楽しむというのは、見た目にも渋い選択だと思いますね。

山之内 私は自宅でもいろいろなタイプのオーディオを聴いており、デスクトップではiPodをさすだけというシステムも使っています。

こういう仕事をしていると色々な人からオーディオを買う際の相談をもちかけられますが、真空管の製品を意識している人が最近増えてきましたね。年齢層は40代から50代。潜在的にオーディオ装置くらいしか遊べる要素のものはないのです。ただ音を聴くためだけでなく、自分が過ごす時間を充実させたいという思いの現れだと思います。


石原 オーディオは白物にならなかった。パイが少なかったからでもありますが、それは幸せなことだと思います。所有する喜び、使う楽しさが得られます。

アナログも真空管もいまだに存在し、人気を博しています。その一方でPCオーディオという新しい潮流も同じフィールドにあるというのは、オーディオだけではないでしょうか。業界の明るい未来を示していると思います。

山之内 つくり手の現場では、やるべきことが相当残っている気がします。インフラは充実しているにもかかわらず、やりたいことをもっと手軽に導入できるような商品は、まだ完成されていない。iPodに止まらず、その先をホームオーディオでも創って欲しい。今だからできることだし、きっちりとアイデアをもってまとめていただきたいと思います。

石原 販売店さんにはぜひ見せ方を工夫していただき、門戸を広げるようなことを取り組みをしていただきたい。そのような売り方が将来のオーディオファンの拡大につながるのではないでしょうか。

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