月刊「AVレビュー」連動企画
【短期集中連載】コレが我が社の4K/8K技術(7)シャープ「ICC PURIOS」
ICC PURIOSは、アイキューブド研究所が開発した光クリエーション技術ICCとシャープ製の4K液晶パネルを融合させたプレミアムモデルだ(関連ニュース)。ICCが実際の製品に搭載されるのは世界初であり、4Kパネルとの組み合わせでどのような映像を生み出すのか、製品発表から大きな話題を集めた。国内唯一の自社生産4KパネルからICCのこと、そしてCESで発表された4Kアクオス(関連ニュース)まで、シャープが持つ4K技術を聞いた。
■1台1台の光源を調整して均一性を極限まで高めた
山之内 現状、国内の電機メーカーの中で4Kパネルを自社で作っているのはシャープだけです。まずはICC PURIOSに使われている4Kパネルの技術からお話を伺いたいと思います。
小池 ICC PURIOSのパネル部分で最も注力したのが画面輝度の均一性でした。具体的には、ローカルディミングのエンジンを活用し、パネルに輝度ムラが発生しないよう、分割されたブロックごとに輝度の調整を施しています。絵で例えるならば、歪みの少ない真っ白なキャンバスを用意し、その上に画を描くことで、自然な遠近感を描写することが可能になりました。
山之内 わずかな明るさの差が、遠近感やリアル感に大きく影響を与えるというわけですね。
小池 そうですね。非常に細かく分けられたブロックを、1台1台シビアに調整してから出荷します。調整の時間には、通常のモデルでは実現できない時間を費やしています。
山之内 表面処理はノングレアですが、モスアイパネルは使われていないのですね?
小池 ICC PURIOSには開発時期の関係からモスアイパネルを使用していません。ただし表面処理の選定には、様々なパターンの試作を用意し、遠近感を崩さずに(画作りを行った)暗室の状態が保てるタイプを採用しました。
■目が捉えた風景と同じ光の刺激を画面上で再現する
山之内 ICC PURIOSの画質を支えるICCについて教えて下さい。
小池 ICCはアイキューブド研究所が開発した光クリエーション技術です。カメラが風景を撮影する時、レンズで捉えた光信号をセンサー部分で電気信号に変換し記録しています。しかし、記録された映像が我々の視聴環境に届けられる伝送経路の中で、情報量・帯域が様々な要因で減衰してしまいます。例えマスターモニターで映像を表示したとしても、人間の目が捉えた実際の風景とは見え方が異なります。ICCは、人間の目が捉えた実際の風景と同じ光の刺激を、ディスプレイ上で再現する技術になっています。
山之内 人間の目が実際に感じる情報と、伝送や変換や圧縮を経てディスプレイに表示される画は、明るさや色の再現性、ダイナミックレンジなどが異なると思います。ICCはそれらの要素に対して、現実の見え方に近づけるような処理を行っているのでしょうか?
小池 はい、その通りです。目に入って来る光の量に徹底的にこだわり、リアルな現実世界を再現しています。
■解像感とコアリングを使いPURIOSの調整が可能
山之内 搭載されている映像モードの中でICCが機能しているモードはどれになりますか?
小池 ICC、標準、映画、映画THXの4モードです。ICCモードは、その名の通り、ICCの実力を100%フルに楽しめるモードになっています。またあくまで現実世界の見え方を再現しているモードですから、鮮やかに見せるような演出は施していません。またICCモードの場合は、メニュー構成も異なります。
山之内 ICC以外の3モードは処理の方法がどう違うのですか?
小池 標準や映画、映画THXでは、ICCの前の段階でノイズリダクションなどの処理を施しています。ややノイズの多い素材を再生するときや多少派手に見たい時は標準が最適と考えています。
山之内 映画と映画THXの違いは何でしょう?
小池 映画THXはTHX規格に準じた色温度やガンマなどを再現しているモードです。通常の映画は、映画THXをベースにやや味付けをしているモードになります。
山之内 映像調整の項目で何か追加されたものはありますか?
小池 今回、プロ設定の部分に解像感とコアリングを設けています。
山之内 両者の違いは何ですか?
小池 解像感では、ディテール再現の加減を調整することができます。解像感を強めると細部のディテールが浮かび上がってきます。もう一方のコアリングは、フォーカスの加減を調整する項目です。コアリングを強めるとフォーカスが甘くなります。解像感を高めて、やや硬い画になってしまった場合は、コアリングを調整することで、精細感を残しつつソフトな画に仕上げることが出来ます。
山之内 解像感もコアリングも、ICCを使っているのですか?
小池 ICCとICC後段の専用回路の組合せで実現しております。
山之内 現在4K放送が検討されていますね。今後4Kコンテンツが楽しめる可能性が出てきたわけですが、本機の4K入力の仕様はどうなっていますか?
深水 HDMI1本による4K/24p、4K/30pはもちろん、HDMIを4本使うことで4K/60pまでの信号入力にも対応しています。特に4K/60pに関しては、製品単体としてはで唯一対応する液晶テレビであり、現状使用ができる入力信号は全てカバーしています。
■1台1台の光源を調整して均一性を極限まで高めた
山之内 現状、国内の電機メーカーの中で4Kパネルを自社で作っているのはシャープだけです。まずはICC PURIOSに使われている4Kパネルの技術からお話を伺いたいと思います。
小池 ICC PURIOSのパネル部分で最も注力したのが画面輝度の均一性でした。具体的には、ローカルディミングのエンジンを活用し、パネルに輝度ムラが発生しないよう、分割されたブロックごとに輝度の調整を施しています。絵で例えるならば、歪みの少ない真っ白なキャンバスを用意し、その上に画を描くことで、自然な遠近感を描写することが可能になりました。
山之内 わずかな明るさの差が、遠近感やリアル感に大きく影響を与えるというわけですね。
小池 そうですね。非常に細かく分けられたブロックを、1台1台シビアに調整してから出荷します。調整の時間には、通常のモデルでは実現できない時間を費やしています。
山之内 表面処理はノングレアですが、モスアイパネルは使われていないのですね?
小池 ICC PURIOSには開発時期の関係からモスアイパネルを使用していません。ただし表面処理の選定には、様々なパターンの試作を用意し、遠近感を崩さずに(画作りを行った)暗室の状態が保てるタイプを採用しました。
■目が捉えた風景と同じ光の刺激を画面上で再現する
山之内 ICC PURIOSの画質を支えるICCについて教えて下さい。
小池 ICCはアイキューブド研究所が開発した光クリエーション技術です。カメラが風景を撮影する時、レンズで捉えた光信号をセンサー部分で電気信号に変換し記録しています。しかし、記録された映像が我々の視聴環境に届けられる伝送経路の中で、情報量・帯域が様々な要因で減衰してしまいます。例えマスターモニターで映像を表示したとしても、人間の目が捉えた実際の風景とは見え方が異なります。ICCは、人間の目が捉えた実際の風景と同じ光の刺激を、ディスプレイ上で再現する技術になっています。
山之内 人間の目が実際に感じる情報と、伝送や変換や圧縮を経てディスプレイに表示される画は、明るさや色の再現性、ダイナミックレンジなどが異なると思います。ICCはそれらの要素に対して、現実の見え方に近づけるような処理を行っているのでしょうか?
小池 はい、その通りです。目に入って来る光の量に徹底的にこだわり、リアルな現実世界を再現しています。
■解像感とコアリングを使いPURIOSの調整が可能
山之内 搭載されている映像モードの中でICCが機能しているモードはどれになりますか?
小池 ICC、標準、映画、映画THXの4モードです。ICCモードは、その名の通り、ICCの実力を100%フルに楽しめるモードになっています。またあくまで現実世界の見え方を再現しているモードですから、鮮やかに見せるような演出は施していません。またICCモードの場合は、メニュー構成も異なります。
山之内 ICC以外の3モードは処理の方法がどう違うのですか?
小池 標準や映画、映画THXでは、ICCの前の段階でノイズリダクションなどの処理を施しています。ややノイズの多い素材を再生するときや多少派手に見たい時は標準が最適と考えています。
山之内 映画と映画THXの違いは何でしょう?
小池 映画THXはTHX規格に準じた色温度やガンマなどを再現しているモードです。通常の映画は、映画THXをベースにやや味付けをしているモードになります。
山之内 映像調整の項目で何か追加されたものはありますか?
小池 今回、プロ設定の部分に解像感とコアリングを設けています。
山之内 両者の違いは何ですか?
小池 解像感では、ディテール再現の加減を調整することができます。解像感を強めると細部のディテールが浮かび上がってきます。もう一方のコアリングは、フォーカスの加減を調整する項目です。コアリングを強めるとフォーカスが甘くなります。解像感を高めて、やや硬い画になってしまった場合は、コアリングを調整することで、精細感を残しつつソフトな画に仕上げることが出来ます。
山之内 解像感もコアリングも、ICCを使っているのですか?
小池 ICCとICC後段の専用回路の組合せで実現しております。
山之内 現在4K放送が検討されていますね。今後4Kコンテンツが楽しめる可能性が出てきたわけですが、本機の4K入力の仕様はどうなっていますか?
深水 HDMI1本による4K/24p、4K/30pはもちろん、HDMIを4本使うことで4K/60pまでの信号入力にも対応しています。特に4K/60pに関しては、製品単体としてはで唯一対応する液晶テレビであり、現状使用ができる入力信号は全てカバーしています。
本記事は月刊「AVレビュー」2013年5月号(4月17日発売)の特集「4Kのすべて」からの抄録です。誌面では、この記事の倍のインタビュー全文がお読み頂けます。「続きが読みたい!」「特集をすべて読みたい!」という方、「AVレビュー」のご購入はこちらからどうぞ。 |