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日本初の対応テレビが今日発売

この秋上陸、映像配信の巨人「Netflix」本国VIPが語る日本市場攻略

公開日 2015/02/20 10:24 折原一也
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「Netflixドラマ」を始めとしたコンテンツの革新

Netflixが2つ目のイノベーションとして掲げるのがコンテンツだ。映像配信事業者のコンテンツと聞くと、他社が作った映画やドラマをどれだけ調達してラインナップを拡充するか、という方向に話が進みがちだが、Netflixの考え方は少し異なる。

Netflixが、1999年にDVDの宅配レンタルからスタートした事は先に説明した通り。「DVDのライブラリは市場に存在するディスクがほとんどあり、スタジオからもベンチマークとして使ってもらっていた」(SCOTT氏)という程度のものだったが、映像配信の時代に入りライセンス、コンテンツホルダーの権利処理、地域と様々な制約があるため、現在は数のみを追求する方針は採っていない。

そこでNetflixが重視しているのがコンテンツのキュレーションだ。非常に慎重にコンテンツを選ぶことで、どんな好みのお客さんにも何かしらアピールするコンテンツを作る事を目指しているという。また、米国では「BEING VIEWING」(日本語でいう一気観)という呼び方をしている、週末にまとめてドラマシリーズを観るスタイルも推進している。

そしてNetflixの大きな特色と言えるのが、オリジナルコンテンツの制作を手がけているということ。これはNetflixのオリジナルかつエクスルーシブ、つまり「Netflix」に行かないと見られないコンテンツの製作だ。どれだけの本数を製作しているのか? という問いには、”沢山”との答えだったが、一例を挙げると2015年に関してはコンテンツの時間で300時間、ちなみにその3分の1が4Kクオリティで制作されている。

Netflixの製作したオリジナルドラマ

2015年の新作として紹介したのは「Marco Polo」「Red Devils」「SENSE 8」の3作品。「Red Devils」「SENSE 8」は4Kで制作して、秋にはNetflixで4Kクオリティで配信しているという。ちなみに高画質ファンとしては「HDR」(high dynamic range)の配信を米国で発表したことも記憶に新しいが、「機器が整ってくれば検討する」(SCOTT氏)とのことなので、日本でもいずれ開始するものと期待して良さそうだ。

Netflixの2015年の新作「Marco Polo」「Red Devils」「SENSE 8」

日本上陸にあたり海外でのオリジナルコンテンツを持って来るのはもちろん、日本に上陸する以上、日本独自のコンテンツの提供、そして「Netflix」の独自のコンテンツとして日本のオリジナルコンテンツの制作も予定している。「日本のアニメーションは世界で受け入れられているものなので、日本で制作したアニメを5,700万以上の世界のNetflixユーザーに向けて発信したい」(SCOTT氏)とのこと。

コンテンツ制作についてはビッグデータも活用しているが、「データ分析については視聴者の好みという点では、俳優、監督などは調べている。そういった分析も重要だが、私どもがディレクターやクリエイター、ディレクターの方のクリエイティビティ、想像力を活かした制作をすることが大事なので、良いデータの使い方をできればと思っている。ディレクターに十分な予算を用意して、テレビ番組のように時間の制約もかけずに、本当にディテクターの人達に任せて、(放送の制約などで)入れられない情報もかけられるようにしている」と、自由な制作環境も提供すると強調する。

日本における他社との共同製作(例えば、製作委員会方式など)についても詳しく突っ込んで聞いてみると、「コンテンツの権利についてはとても難しい問題ですが、権利についてはNetflixの基本的な考え方はエクスクルーシブで、Netflixのみで配信する作品制作に出資して、すべての権利をNetflixで持つという考えです。ただし、コンテンツ制作は資金もかかりスタジオ側も権利を欲しがるため、最終的には場合によります。例えば、Netflixドラマとして製作した『House of Cards』(邦題:『ハウス・オブ・カード 野望の階段』)は当初はNetflix専用ドラマとしてNetflixで配信していましたが、今の時点ではBDパッケージも売られています」(SCOTT氏)。

米国においてNetflixがオリジナル制作しているのは、ドラマ、オリジナルムービー、コメディ、ドキュメンタリといったものだ。日本のバラエティ番組のような人気コンテンツについても、これから日本の視聴者に受け入れられるものを考えて提供したいという考えかたなので、今後の制作についても期待が高まるところだ。


最後に、今秋にサービス開始を開始する日本版Netflixについて、加入目標と問われると“全員”と即答。もちろんそれは米国流のジョークだが「3,600万人の世帯がある日本市場のポテンシャルを高いと思っています。既に日本では動画配信サービスはありますので、それらの経験を取り入れてサービス開始に向けて進めていきます」(SCOTT氏)。前向きで積極的な姿勢に期待が高まる。

(折原一也)

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