秋に日本発売予定の新製品を速攻レポート
BOSE、“睡眠専用”完全ワイヤレスイヤホン「Bose noise-masking sleepbuds」海外発表
米BOSEは、同社初の入眠サポートに特化した完全ワイヤレスイヤホン「Bose noise-masking sleepbuds」を、6月21日から北米で販売開始した。発売に合わせてグローバルプレスイベントをニューヨークで開催し、世界各地から集まったジャーナリストに向け、新製品の特徴を説明する場を設けた。現地から製品の詳細をレポートしたい。
ボーズは昨年秋に、アメリカを拠点とするクラウドファンディング・プラットフォーム「Indiegogo」をベースに、Bose noise-masking sleepbudsの試験導入を行った。プロジェクトの成功、支援者からの好評価を受けて、今回一般向け商品として発売される。まずは北米/カナダからの先行導入となるが、日本や中国などアジアの各地域では今秋に発売が予定されている。北米での販売価格は249.95ドル(約27,500円)。
今回のグローバルプレスイベントは、ニューヨーク・マンハッタンのラグジュアリーホテル「The Quin」を会場に、現地時間6月20日に開催された。
Bose noise-masking sleepbudsは一見すると完全ワイヤレスイヤホンのようなデザインだが、その用途は音楽を聴くためではなく、入眠サポートを主眼に置いているところが他にはない特徴だ。
本体の設定や操作を行うため、iOS/Androidのスマホとペアリングして専用アプリ「Bose Sleep App」につなぐ必要はあるものの、スマホからの音楽ストリーミング再生や音楽ファイルの転送・保存には対応していない。“スタンドアローンで機能するイヤホンを眠りながら使う”というユニークなスタイルに注目してほしい。
イヤホンに内蔵するメモリーには、発売時から入眠に適した10種類の音源がプリセットされている。10種類の音源から環境に最適な1つを選び、眠りに就く前に再生をスタートすると、睡眠中はループ再生される仕組み。なお音源には「Rustle:風が木の葉を揺らす音」「Cascade:小さな滝のせせらぎ」など自然系の音から、「Circulate:サーキュレーター」「Altitude:飛行機内のアンビエントノイズ」といった機械音、さらに集中力を高めるための「ブラウンノイズ」などが揃う。製品の発売後もファームウェア更新による音源追加を予定している。
任意の音楽を再生する機能をあえて削ったことで、イヤホン本体が驚くほどに小さく、軽くできたことが本機の特徴だ。ボーズの既存ラインナップの中でもとりわけコンパクトな「Bose SoundTrue Ultra in-ear headphones」と比べても半分近いサイズ感だ。
片方のイヤホンは、専用のイヤーチップを外した状態で重さが約1.4g、サイズは約1cm四方。耳に装着し、枕に耳を当てながらベッドに横になっても違和感を感じさせない。さらに安定したフィット感が得られるよう、イヤーチップにはスタビライザーを一体化した本機専用の「StayHear+ Sleep tips」が同梱される。サイズはS/M/Lの3種類、素材は柔らかいシリコン製。ハウジングは密閉型なので、イヤーチップを付けて耳に装着するだけで相当な遮音性が得られる。寝汗をかいても機器が故障しないようイヤホンは防滴加工とした。
イヤホンの内蔵バッテリーには、いわゆるボタン電池に多く使われている、安定した給電能力と長寿命を特長とする酸化銀電池を採用した。イヤホンは専用ケースに入れてから1回の充電に約8時間かかるものの、フル充電からは約16時間の連続駆動が可能だ。ケースの満充電までには約3時間が必要。パッケージにはUSBケーブルやトラベルポーチが付属する。
ノイズをマスキングする機能については、同社が発売する「QuietControl 30」や「QuietComfort 35 II」に搭載されている、内蔵マイクで外の環境音を集めて、騒音だけを解析・抽出して逆位相の音をぶつけて打ち消す、いわゆる「アクティブノイズキャンセリング・テクノロジー」とは仕組みが異なっている。
Bose noise-masking sleepbudsは、主に睡眠時の妨げになりがちな“いびき”や“ねごと”など、「人の声」を聞こえにくくして、入眠を支援するためのイヤホンだ。従来のアクティブノイズキャンセリング機能は、エンジン音や車の走行音など持続的に鳴り続ける「低音」をカットする目的には適しているものの、一方で人の声をノイズと位置付け、消音する用途には不向きであったことから、本機は中低域を核として効果的に消すことに注力した。
本体にマイクは搭載していないので、外音に対してリアルタイムでマスキングを施す処理なども行わない。シチュエーションに最適な音源を選んで音量を調整するだけ。使い方はとてもシンプルだ。
イベント会場に展示された実機で効果を試す機会も得た。小さい円筒形の充電ケースのフタを開け、マグネットで吸着されたイヤホンをそれぞれ取りだして耳に挿入する。イヤホンを着けていることを思わず忘れてしまうほどフィット感は良好だ。これならパートナーのいびきよりも先に、耳に着けているイヤホンが不快で目覚めてしまう、といったこともなさそうだ。
ケースからイヤホンを取り出すと電源が自動的にオンになる。選曲やボリュームは、Bose Sleepアプリを入れたスマホから設定する。音楽の再生音量を下げてもマスキング効果が得られるようにバランスが最適化されている印象だ。
ボーズは本機の使用時に、入眠中に火災探知機の警報や赤ちゃんの鳴き声などが聞こえなくなってしまう心配は少ないとしている。実際にデモルームで試してみた限りでは、スピーカーから鳴っているダミーの“いびき”の音がきれいにマスクされても、ボーズのスタッフがすぐ隣りで説明している声は聞こえていた。使い方としては「深く寝入ってしまった時と一緒で、聞こえづらくなることが心配なら、最終的には添い寝してくれるパートナーを頼りにするなど、自身で対策を立ててほしい」と呼びかけている。あるいは片側だけを身に着けて使っても、マスキング効果は得られるように設計されている。
イヤホンには音楽再生だけでなく、目覚ましアラーム機能も搭載されている。また、入眠後もずっと音が鳴り続けていることの方が気になるというユーザーのために、一定時間のタイマーをセットして自動的に音楽再生をフェードアウトする機能も付いている。
イヤホンとスマホの間はBluetooth「クラス3」の微弱な電波で通信を行うため、一晩中身に着けて寝たとしても健康に対する影響はないとボーズでは補足する。また電源に酸化銀電池を採用したもう一つの理由は、一晩中身に着けていても本体がオーバーヒートしないように配慮したためとしている。
Bose noise-masking sleepbudsは、日本では昨年秋に発売されたボーズ初の音楽向け完全ワイヤレスイヤホン「SoundSport Free wireless headphones」とはまた切り口の異なった、イノベーティブな製品だ。日本市場でも受け入れられるのか、秋の発売が楽しみである。
ボーズは今年の春、“音声の拡張現実”をコンセプトとしたスマートグラス「Bose AR」(関連ニュース)のコンセプトを発表している。また日本でも発売されている「SoundWear Companion spkeaker」は、まだ数少ない話題の“肩のせスピーカー”だ。さらに今回レポートした“入眠用イヤホン”もラインナップに加わり、これまではどちらかと言えばコンサバティブだったボーズのイメージが大きく変わっていくのかもしれない。ブランドの今後にもさらに注目したい。
ボーズは昨年秋に、アメリカを拠点とするクラウドファンディング・プラットフォーム「Indiegogo」をベースに、Bose noise-masking sleepbudsの試験導入を行った。プロジェクトの成功、支援者からの好評価を受けて、今回一般向け商品として発売される。まずは北米/カナダからの先行導入となるが、日本や中国などアジアの各地域では今秋に発売が予定されている。北米での販売価格は249.95ドル(約27,500円)。
今回のグローバルプレスイベントは、ニューヨーク・マンハッタンのラグジュアリーホテル「The Quin」を会場に、現地時間6月20日に開催された。
Bose noise-masking sleepbudsは一見すると完全ワイヤレスイヤホンのようなデザインだが、その用途は音楽を聴くためではなく、入眠サポートを主眼に置いているところが他にはない特徴だ。
本体の設定や操作を行うため、iOS/Androidのスマホとペアリングして専用アプリ「Bose Sleep App」につなぐ必要はあるものの、スマホからの音楽ストリーミング再生や音楽ファイルの転送・保存には対応していない。“スタンドアローンで機能するイヤホンを眠りながら使う”というユニークなスタイルに注目してほしい。
イヤホンに内蔵するメモリーには、発売時から入眠に適した10種類の音源がプリセットされている。10種類の音源から環境に最適な1つを選び、眠りに就く前に再生をスタートすると、睡眠中はループ再生される仕組み。なお音源には「Rustle:風が木の葉を揺らす音」「Cascade:小さな滝のせせらぎ」など自然系の音から、「Circulate:サーキュレーター」「Altitude:飛行機内のアンビエントノイズ」といった機械音、さらに集中力を高めるための「ブラウンノイズ」などが揃う。製品の発売後もファームウェア更新による音源追加を予定している。
任意の音楽を再生する機能をあえて削ったことで、イヤホン本体が驚くほどに小さく、軽くできたことが本機の特徴だ。ボーズの既存ラインナップの中でもとりわけコンパクトな「Bose SoundTrue Ultra in-ear headphones」と比べても半分近いサイズ感だ。
片方のイヤホンは、専用のイヤーチップを外した状態で重さが約1.4g、サイズは約1cm四方。耳に装着し、枕に耳を当てながらベッドに横になっても違和感を感じさせない。さらに安定したフィット感が得られるよう、イヤーチップにはスタビライザーを一体化した本機専用の「StayHear+ Sleep tips」が同梱される。サイズはS/M/Lの3種類、素材は柔らかいシリコン製。ハウジングは密閉型なので、イヤーチップを付けて耳に装着するだけで相当な遮音性が得られる。寝汗をかいても機器が故障しないようイヤホンは防滴加工とした。
イヤホンの内蔵バッテリーには、いわゆるボタン電池に多く使われている、安定した給電能力と長寿命を特長とする酸化銀電池を採用した。イヤホンは専用ケースに入れてから1回の充電に約8時間かかるものの、フル充電からは約16時間の連続駆動が可能だ。ケースの満充電までには約3時間が必要。パッケージにはUSBケーブルやトラベルポーチが付属する。
ノイズをマスキングする機能については、同社が発売する「QuietControl 30」や「QuietComfort 35 II」に搭載されている、内蔵マイクで外の環境音を集めて、騒音だけを解析・抽出して逆位相の音をぶつけて打ち消す、いわゆる「アクティブノイズキャンセリング・テクノロジー」とは仕組みが異なっている。
Bose noise-masking sleepbudsは、主に睡眠時の妨げになりがちな“いびき”や“ねごと”など、「人の声」を聞こえにくくして、入眠を支援するためのイヤホンだ。従来のアクティブノイズキャンセリング機能は、エンジン音や車の走行音など持続的に鳴り続ける「低音」をカットする目的には適しているものの、一方で人の声をノイズと位置付け、消音する用途には不向きであったことから、本機は中低域を核として効果的に消すことに注力した。
本体にマイクは搭載していないので、外音に対してリアルタイムでマスキングを施す処理なども行わない。シチュエーションに最適な音源を選んで音量を調整するだけ。使い方はとてもシンプルだ。
イベント会場に展示された実機で効果を試す機会も得た。小さい円筒形の充電ケースのフタを開け、マグネットで吸着されたイヤホンをそれぞれ取りだして耳に挿入する。イヤホンを着けていることを思わず忘れてしまうほどフィット感は良好だ。これならパートナーのいびきよりも先に、耳に着けているイヤホンが不快で目覚めてしまう、といったこともなさそうだ。
ケースからイヤホンを取り出すと電源が自動的にオンになる。選曲やボリュームは、Bose Sleepアプリを入れたスマホから設定する。音楽の再生音量を下げてもマスキング効果が得られるようにバランスが最適化されている印象だ。
ボーズは本機の使用時に、入眠中に火災探知機の警報や赤ちゃんの鳴き声などが聞こえなくなってしまう心配は少ないとしている。実際にデモルームで試してみた限りでは、スピーカーから鳴っているダミーの“いびき”の音がきれいにマスクされても、ボーズのスタッフがすぐ隣りで説明している声は聞こえていた。使い方としては「深く寝入ってしまった時と一緒で、聞こえづらくなることが心配なら、最終的には添い寝してくれるパートナーを頼りにするなど、自身で対策を立ててほしい」と呼びかけている。あるいは片側だけを身に着けて使っても、マスキング効果は得られるように設計されている。
イヤホンには音楽再生だけでなく、目覚ましアラーム機能も搭載されている。また、入眠後もずっと音が鳴り続けていることの方が気になるというユーザーのために、一定時間のタイマーをセットして自動的に音楽再生をフェードアウトする機能も付いている。
イヤホンとスマホの間はBluetooth「クラス3」の微弱な電波で通信を行うため、一晩中身に着けて寝たとしても健康に対する影響はないとボーズでは補足する。また電源に酸化銀電池を採用したもう一つの理由は、一晩中身に着けていても本体がオーバーヒートしないように配慮したためとしている。
Bose noise-masking sleepbudsは、日本では昨年秋に発売されたボーズ初の音楽向け完全ワイヤレスイヤホン「SoundSport Free wireless headphones」とはまた切り口の異なった、イノベーティブな製品だ。日本市場でも受け入れられるのか、秋の発売が楽しみである。
ボーズは今年の春、“音声の拡張現実”をコンセプトとしたスマートグラス「Bose AR」(関連ニュース)のコンセプトを発表している。また日本でも発売されている「SoundWear Companion spkeaker」は、まだ数少ない話題の“肩のせスピーカー”だ。さらに今回レポートした“入眠用イヤホン”もラインナップに加わり、これまではどちらかと言えばコンサバティブだったボーズのイメージが大きく変わっていくのかもしれない。ブランドの今後にもさらに注目したい。