ハイレゾコーデックは「LHDC」
Nothing、ハイレゾ対応完全ワイヤレス「Ear (2)」。音質/ANCのパーソナライズが可能に
Nothingは、パーソナライズ機能搭載のANC完全ワイヤレスイヤホン「Nothing Ear (2)」を発表した。3月23日より公式サイト「Nothing.tech」にて数量限定の先行販売を開始、Kith Tokyoの店舗でも取り扱う。3/30からは販路拡大して展開、3/28から予約受付も行われる。価格は22,800円(税込)。
Nothing Ear (2)は、ブランド初製品として2021年夏に発表された、完全ワイヤレスイヤホン「Nothing Ear (1)」の後継モデル。外観は踏襲しつつ、ユーザー体験の大きな改良を図ったとしている。
新機能として「パーソナル サウンド プロファイル」を搭載。これはユーザーの聞こえ方に合わせて、音質やノイズキャンセリング機能を最適化するパーソナライズ機能で、「オーディオの没入感が高まり、スピーチが理解しやすく」なり、「低音量でも詳細を聞き逃すことがありません」とアピールする。
Nothingのアプリ「Nothing X」内で聴力テストを実施して、個人のヒアリングIDを作成することで、パーソナライズが可能となる。ヒアリングIDは再設定可能で、聞こえ方が変わっても、再度最適化を図ることができる。
作成されたヒアリングIDに基づいて、イコライザー設定を調整し、リアルタイムに動的な補正を行うとのこと。聴力テストはmimi hearing technologies GmbHの提供する聴力検査アプリ「Mimi ヒアリングテスト」の機能を利用している。
まず、Nothing Xアプリでイヤーチップの装着テストを行い、耳への装着状態を確認。その上で、聴力テストを行う流れが推奨される。聴力テストはおよそ5分間。さまざまな周波数ポイントで再生される多様な音について、ユーザーがアプリ上で「聞こえる」「聞こえない」とタッチ操作で回答していくかたちだ。また、生まれ年に合わせた推定聴力に基づく、簡易的なパーソナライズ設定も用意される。
カスタム設計のφ11.6mmダイナミックドライバーを搭載。サイズは初代モデルと同様だが、スピーカーに穴を配置したことで中音域の充実と忠実性を高め、またスピーカーカバーの開口部を拡大することで、より明るい中高域と広い音場を実現したとする。
ダイアフラムにはグラフェン+PU(ポリウレタン)を組み合わせて使用し、よりクリアで明るい高域、より深い低域を実現。またイヤホン全体の軽量化にも寄与しているという。また、マグネットには従来よりも強力なN52グレードを用いて、中低域をより豊かに力強く再現するとのこと。
内部構造は新たな独自のデュアルチャンバー設計を採用。ドライバーからユーザーの耳に音が届く際のスペースを広く確保したことで、より多くの空気を取り込みながら、スムーズな流れを実現し、クリアなサウンドを鳴らすとしている。
上述の音響設計により、サウンドの向上および最適化を追求。また、チューニングも新たになっており、初代はスウェーデンの電子楽器メーカーTeenage Engineeringが担当していたが、Ear (2)ではNothingが担当している。
さらに、最大192kHz/24bit@1Mbpsの送信に対応し、ワイヤレスハイレゾオーディオ認定を取得。対応コーデックにはSBC/AACに加えて、LHDC 5.0をサポートする。なお、日本で多く採用されるLDACには非対応となる。またハイレゾ音源を再生する際、Nothing Xアプリ上ではハイレゾ表示は行われない。
アクティブノイズキャンセリング(ANC)機能では、各イヤホンに3つずつ内蔵するマイクがイヤホン内外のノイズを検知し、最大−40dBのノイズ低減性能を実現する。「高」「中」「低」の3つの強度設定が可能で、周囲の環境に合わせてレベルを自動調整する「アダプティブ」も装備する。外音を取り込める「トランスペアレンシー」モードも用意。
加えて、ANC機能に対してもユーザー個人に最適化する「Personalised ANC」を用意。アプリ上で外耳道の正確な形状に合わせて調整するためのテストを行うことで利用可能となる。
イヤホンを装着した状態で、50dB以上の環境下でテスト開始を押すと、イヤホン内側に配置されたマイクによって、7つのオーディオフィルターに基づいて音の欠けを検出し、自動的に最適なANCプロファイルを設定する仕組み。このPersonalised ANCとアダプティブは併用可能で、あらゆるレベルで最適なノイズキャンセリングを実現し、さらにバッテリー消費も最適化できるとアピールする。
通話面では「Clear Voice Technology」を搭載する。AI低減アルゴリズムは、初代開発時よりもさらに時間をかけ、2,000万通りのノイズと音声の組み合わせを用いて設計。内蔵マイクとの連動で、 “当社史上、最も高度” という、騒音を抑えたクリアな通話を実現するとしている。また、Ear (2)ではマイク位置の変更により、風切り音の耐性も強化している。
BluetoothのチップセットにはBES2600YPを採用。これによりアルゴリズムやメモリーも強化されており、ノイズキャンセリングや通話性能において、大きく改良が得られたのだという。またアンテナ構造も大幅改善し、Ear (stick)と同様にイヤホン外側の上の方に配置することで、顔や身体による影響をできる限り抑制。50%もの接続安定性の向上を実現したとしている。
上述した安定性に加えて、全体的な電力消費を削減および最適化するという新チップセットの採用により、バッテリーの持続時間も向上。Ear (2)の連続再生時間は、イヤホン単体で最大6.3時間、ケース併用で最長36時間(ANCオフ時の音楽再生)となる。10分の充電で最長8時間使用できる急速充電にも対応。充電端子はUSB Type-C、ワイヤレス充電もサポートする。
デザインについては初代機を踏襲。イヤホン本体の質量は片側4.5gに、ケースはこれまで4つのパートで構成されていたところ3つにし、30%の質量削減と小型化を図っている。
イヤホン本体はIP54、ケースIP55の防水性能を装備。本体操作は静電式のプレスコントロールを採用し、左右のイヤホンのステム部分を挟むことで、再生/一時停止、通話/終話、長押しでANCとトランスペアレンシーの切り替えなどが行える。各種操作コマンドはアプリからカスタムも可能だ。
2台同時接続ができる「デュアル接続」に対応。ペアリング機能はGoogle Fast Pair、Microsoft Swift Pairもサポートしている。Bluetoothのバージョンは5.3、プロファイルはBLE/SPP/HFP/A2DP/AVRCPに対応する。
また、ゲーム向けに低レイテンシーモードも装備。Phone (1)との組み合わせでは、自動的に適用され、その他デバイスではアプリからオンオフを手動操作するかたちとなる。なお、同モードで使用されるコーデックはSBCのみ、遅延レベルは120ms以下とのこと。
今回Ear (2)を事前に試すことができたので、「パーソナル サウンド プロファイル」を利用してみた。
Nothing Xアプリを開いてEar (2)を接続、まずはイヤーチップの装着(フィット)テストを行う。正しいフィット感を確認したら、いよいよパーソナライズ機能のテストへ。「イコライザ」を選択すると、中央にあるサウンドバランスを表す円の右下に波のようなマークあり、ここからパーソナル サウンド プロファイルを設定できる。
上述したように、5分間のテストを行う「聴力評価」と、年齢から推測される聴力バランス設定を適用できる「聴力推定」の2つが用意されている。ここでは「聴力評価」で聞こえ方のチェックを行った。
最初に生まれ年を選択し、その後、ノイズの中でビープ音が鳴っている間は画面をタッチし続けるというテスト方式。いわゆる健康診断の聴力テストのようなイメージだ。左右それぞれでテストすると、パーソナライズされたサウンドプロファイルが作成される。
サウンドプロファイルの画面では、低音から高音の中で、どの辺りをどの程度補填されているかがわかるようになっている。これを適用することで「ステレオをあなたの聴力に適合させ、複雑なサウンドスケープでこれまで失われていた重要な細部を補います」と説明されている。
Amazon Music Unlimitedで、サム・スミスの「I'm Not Here To Make Friends」を再生してみる。イコライザは基本設定の「バランス」。パーソナライズをオフの状態で聴くと、特にサムのボーカルがクリアで演奏の中でも際立って感じられる、十分に快適なリスニング体験が得られた。
パーソナライズをオンにすると、記者の場合、ボーカルの明瞭さはそのままに、低音や高音の情報が増えたような感じで、微細な音の表現もより聴こえやすくなり、結果的に音楽への没入感がグッと増した。
ルチアーノ・パヴァロッティ「2. 歌劇《トゥーランドット》」では、パヴァロッティ氏の伸びやかで美しい声が響き渡り、後ろに流れるオーケストラの演奏も細部まで潰れることなく届いていくる。オフにしても、声の存在感やクリアさはしっかりあって、演奏も十分には聞こえているのだけれど、パーソナライズによって深みが増すような感覚がした。プロファイルの説明にあるように、「音の明瞭度が向上し、音量を下げても、より健康的で、より奥深いサウンド体験」を実感できたように思う。
ちなみに、音楽再生中はノイズキャンセリング機能はオン、モードは「アダプティブ」に設定し、さらにパーソナライズもオンにした。交通量の多い車道脇や電車内など、騒音の多いところでも、しっかり効果を体感できた。完全にシャットアウトという感じではなかったが、必要十分以上にはノイズが抑えられていると思う。
それから、ノイズキャンセリング機能の切り替え時の効果音も初代から少し変更されている。特にトランスペアレンシーを設定する際は吐息のような音がして、細かなところだが、Nothingらしい面白い特徴だなと思った。
Nothing Ear (2)の発表に際して、メディア向けにプレブリーフィングを開催。Head of Marketing & Co-founderのAkis Evangelidis(アキス・イワンジェリディス)氏がオンラインで登壇した。
Nothingが初プロダクト「Ear (1)」を発表したのが、2021年夏。現在、全世界で60万台以上販売している。アキス氏はその登場を振り返り、「飽和したマーケットに画期的なデザインでブレイクスルーを起こしたと思っている」と語り、その成功を経て、2022年のブランド初スマートフォン「Phone (1)」のローンチへとつながったと説明する。
Phone (1)は現在65万台以上を販売。米Time誌の最もイノベーティブなスマートフォンに選出され、これまでに30ほどのアワードも受賞している。そして昨年末には快適性を追求したハーフインイヤー型完全ワイヤレス「Ear (Stick)」を発表。この時、初となるカスタムドライバーを独自開発して搭載している。
現在では、英ロンドンのSOHO地区に初のオフライン店舗をオープン。非常に好調だとし、他の重要マーケットでも順次店舗拡大を目指しているという。
日本市場の印象について聞かれると、アキス氏は「非常に興味深いマーケット」とコメント。デザインやファッション面で先導しているマーケットであり、その面ではNothingとフィットしていると語る。一方で、ハードウェアの面では参入が難しいと考えており、もともとは注力していなかったのだが、製品をローンチすると、予想以上に大きな反響があったという。
現在は、「デザイン面を全面に打ち出して参入していったことも功を奏してか、勢いが出てきている。難しいと捉えていたが、うまくフィットするという感触を得ている」とし、今後よりしっかりとマーケティングを図っていきたいと力を込める。
特に、Phone (1)ユーザーのうち、50%以上がiPhoneから切り替えているというのは、他の市場にない日本ならではの特徴なのだという。2023年はローカルチームの強化を図り、さらにパートナーとの協業を模索していきたいとのこと。既存のパートナーシップも強化。たとえばオフライン店舗のKith Tokyoとは長期的な提携関係を締結し、限定的ではない店舗での製品展開が進められている。
現在、スマートフォン「Phone (1)」と、本日発表となったEar (2)を含む3つのイヤホンを展開しているNothing。オーディオ製品においては、「これからもプレミアムなサウンド、体験を提供していく」とし、特にユーザー体験の最適化に注力していくという。そのためには、コアなニーズに目を向ける必要があるとし、Ear (2)で果たしたハイレゾ対応や、ANC機能など中核機能に据えて提供していきたいと展望を語った。
なお、Nothingの特徴的なスケルトンデザインは、専用製造スペースを必要とするなど、そのユニークな外観ゆえに開発や製造コストもかかる。これまでの価格設定の取り組みは続けていくが、市場の中で安価なものを目指しているつもりはないとした。
Ear (2)については、独自にカスタムしたドライバーは27点もの改良を図ったとし、素材そのものからマグネットの採用など、一つずつ試しながらマテリアルを選定し、デュアルチャンバー設計の投入など、さまざまな工夫が凝らされていると説明。
また、初代モデルの際にはエンジニアの数は30名ほどだったが、現在は170名以上に拡大しており、「より成熟したチームが開発に取り組んでいる。そうしたNothingの変化、新しいステージに入ったことを示す商品だと考えている」とアピールした。
Nothing Ear (2)は、ブランド初製品として2021年夏に発表された、完全ワイヤレスイヤホン「Nothing Ear (1)」の後継モデル。外観は踏襲しつつ、ユーザー体験の大きな改良を図ったとしている。
新機能として「パーソナル サウンド プロファイル」を搭載。これはユーザーの聞こえ方に合わせて、音質やノイズキャンセリング機能を最適化するパーソナライズ機能で、「オーディオの没入感が高まり、スピーチが理解しやすく」なり、「低音量でも詳細を聞き逃すことがありません」とアピールする。
Nothingのアプリ「Nothing X」内で聴力テストを実施して、個人のヒアリングIDを作成することで、パーソナライズが可能となる。ヒアリングIDは再設定可能で、聞こえ方が変わっても、再度最適化を図ることができる。
作成されたヒアリングIDに基づいて、イコライザー設定を調整し、リアルタイムに動的な補正を行うとのこと。聴力テストはmimi hearing technologies GmbHの提供する聴力検査アプリ「Mimi ヒアリングテスト」の機能を利用している。
まず、Nothing Xアプリでイヤーチップの装着テストを行い、耳への装着状態を確認。その上で、聴力テストを行う流れが推奨される。聴力テストはおよそ5分間。さまざまな周波数ポイントで再生される多様な音について、ユーザーがアプリ上で「聞こえる」「聞こえない」とタッチ操作で回答していくかたちだ。また、生まれ年に合わせた推定聴力に基づく、簡易的なパーソナライズ設定も用意される。
カスタム設計のφ11.6mmダイナミックドライバーを搭載。サイズは初代モデルと同様だが、スピーカーに穴を配置したことで中音域の充実と忠実性を高め、またスピーカーカバーの開口部を拡大することで、より明るい中高域と広い音場を実現したとする。
ダイアフラムにはグラフェン+PU(ポリウレタン)を組み合わせて使用し、よりクリアで明るい高域、より深い低域を実現。またイヤホン全体の軽量化にも寄与しているという。また、マグネットには従来よりも強力なN52グレードを用いて、中低域をより豊かに力強く再現するとのこと。
内部構造は新たな独自のデュアルチャンバー設計を採用。ドライバーからユーザーの耳に音が届く際のスペースを広く確保したことで、より多くの空気を取り込みながら、スムーズな流れを実現し、クリアなサウンドを鳴らすとしている。
上述の音響設計により、サウンドの向上および最適化を追求。また、チューニングも新たになっており、初代はスウェーデンの電子楽器メーカーTeenage Engineeringが担当していたが、Ear (2)ではNothingが担当している。
さらに、最大192kHz/24bit@1Mbpsの送信に対応し、ワイヤレスハイレゾオーディオ認定を取得。対応コーデックにはSBC/AACに加えて、LHDC 5.0をサポートする。なお、日本で多く採用されるLDACには非対応となる。またハイレゾ音源を再生する際、Nothing Xアプリ上ではハイレゾ表示は行われない。
アクティブノイズキャンセリング(ANC)機能では、各イヤホンに3つずつ内蔵するマイクがイヤホン内外のノイズを検知し、最大−40dBのノイズ低減性能を実現する。「高」「中」「低」の3つの強度設定が可能で、周囲の環境に合わせてレベルを自動調整する「アダプティブ」も装備する。外音を取り込める「トランスペアレンシー」モードも用意。
加えて、ANC機能に対してもユーザー個人に最適化する「Personalised ANC」を用意。アプリ上で外耳道の正確な形状に合わせて調整するためのテストを行うことで利用可能となる。
イヤホンを装着した状態で、50dB以上の環境下でテスト開始を押すと、イヤホン内側に配置されたマイクによって、7つのオーディオフィルターに基づいて音の欠けを検出し、自動的に最適なANCプロファイルを設定する仕組み。このPersonalised ANCとアダプティブは併用可能で、あらゆるレベルで最適なノイズキャンセリングを実現し、さらにバッテリー消費も最適化できるとアピールする。
通話面では「Clear Voice Technology」を搭載する。AI低減アルゴリズムは、初代開発時よりもさらに時間をかけ、2,000万通りのノイズと音声の組み合わせを用いて設計。内蔵マイクとの連動で、 “当社史上、最も高度” という、騒音を抑えたクリアな通話を実現するとしている。また、Ear (2)ではマイク位置の変更により、風切り音の耐性も強化している。
BluetoothのチップセットにはBES2600YPを採用。これによりアルゴリズムやメモリーも強化されており、ノイズキャンセリングや通話性能において、大きく改良が得られたのだという。またアンテナ構造も大幅改善し、Ear (stick)と同様にイヤホン外側の上の方に配置することで、顔や身体による影響をできる限り抑制。50%もの接続安定性の向上を実現したとしている。
上述した安定性に加えて、全体的な電力消費を削減および最適化するという新チップセットの採用により、バッテリーの持続時間も向上。Ear (2)の連続再生時間は、イヤホン単体で最大6.3時間、ケース併用で最長36時間(ANCオフ時の音楽再生)となる。10分の充電で最長8時間使用できる急速充電にも対応。充電端子はUSB Type-C、ワイヤレス充電もサポートする。
デザインについては初代機を踏襲。イヤホン本体の質量は片側4.5gに、ケースはこれまで4つのパートで構成されていたところ3つにし、30%の質量削減と小型化を図っている。
イヤホン本体はIP54、ケースIP55の防水性能を装備。本体操作は静電式のプレスコントロールを採用し、左右のイヤホンのステム部分を挟むことで、再生/一時停止、通話/終話、長押しでANCとトランスペアレンシーの切り替えなどが行える。各種操作コマンドはアプリからカスタムも可能だ。
2台同時接続ができる「デュアル接続」に対応。ペアリング機能はGoogle Fast Pair、Microsoft Swift Pairもサポートしている。Bluetoothのバージョンは5.3、プロファイルはBLE/SPP/HFP/A2DP/AVRCPに対応する。
また、ゲーム向けに低レイテンシーモードも装備。Phone (1)との組み合わせでは、自動的に適用され、その他デバイスではアプリからオンオフを手動操作するかたちとなる。なお、同モードで使用されるコーデックはSBCのみ、遅延レベルは120ms以下とのこと。
Nothing Ear (2)のパーソナライズ機能を早速体験。
今回Ear (2)を事前に試すことができたので、「パーソナル サウンド プロファイル」を利用してみた。
Nothing Xアプリを開いてEar (2)を接続、まずはイヤーチップの装着(フィット)テストを行う。正しいフィット感を確認したら、いよいよパーソナライズ機能のテストへ。「イコライザ」を選択すると、中央にあるサウンドバランスを表す円の右下に波のようなマークあり、ここからパーソナル サウンド プロファイルを設定できる。
上述したように、5分間のテストを行う「聴力評価」と、年齢から推測される聴力バランス設定を適用できる「聴力推定」の2つが用意されている。ここでは「聴力評価」で聞こえ方のチェックを行った。
最初に生まれ年を選択し、その後、ノイズの中でビープ音が鳴っている間は画面をタッチし続けるというテスト方式。いわゆる健康診断の聴力テストのようなイメージだ。左右それぞれでテストすると、パーソナライズされたサウンドプロファイルが作成される。
サウンドプロファイルの画面では、低音から高音の中で、どの辺りをどの程度補填されているかがわかるようになっている。これを適用することで「ステレオをあなたの聴力に適合させ、複雑なサウンドスケープでこれまで失われていた重要な細部を補います」と説明されている。
Amazon Music Unlimitedで、サム・スミスの「I'm Not Here To Make Friends」を再生してみる。イコライザは基本設定の「バランス」。パーソナライズをオフの状態で聴くと、特にサムのボーカルがクリアで演奏の中でも際立って感じられる、十分に快適なリスニング体験が得られた。
パーソナライズをオンにすると、記者の場合、ボーカルの明瞭さはそのままに、低音や高音の情報が増えたような感じで、微細な音の表現もより聴こえやすくなり、結果的に音楽への没入感がグッと増した。
ルチアーノ・パヴァロッティ「2. 歌劇《トゥーランドット》」では、パヴァロッティ氏の伸びやかで美しい声が響き渡り、後ろに流れるオーケストラの演奏も細部まで潰れることなく届いていくる。オフにしても、声の存在感やクリアさはしっかりあって、演奏も十分には聞こえているのだけれど、パーソナライズによって深みが増すような感覚がした。プロファイルの説明にあるように、「音の明瞭度が向上し、音量を下げても、より健康的で、より奥深いサウンド体験」を実感できたように思う。
ちなみに、音楽再生中はノイズキャンセリング機能はオン、モードは「アダプティブ」に設定し、さらにパーソナライズもオンにした。交通量の多い車道脇や電車内など、騒音の多いところでも、しっかり効果を体感できた。完全にシャットアウトという感じではなかったが、必要十分以上にはノイズが抑えられていると思う。
それから、ノイズキャンセリング機能の切り替え時の効果音も初代から少し変更されている。特にトランスペアレンシーを設定する際は吐息のような音がして、細かなところだが、Nothingらしい面白い特徴だなと思った。
「日本は非常に興味深いマーケット」今後はより積極的な販路拡充も予定
Nothing Ear (2)の発表に際して、メディア向けにプレブリーフィングを開催。Head of Marketing & Co-founderのAkis Evangelidis(アキス・イワンジェリディス)氏がオンラインで登壇した。
Nothingが初プロダクト「Ear (1)」を発表したのが、2021年夏。現在、全世界で60万台以上販売している。アキス氏はその登場を振り返り、「飽和したマーケットに画期的なデザインでブレイクスルーを起こしたと思っている」と語り、その成功を経て、2022年のブランド初スマートフォン「Phone (1)」のローンチへとつながったと説明する。
Phone (1)は現在65万台以上を販売。米Time誌の最もイノベーティブなスマートフォンに選出され、これまでに30ほどのアワードも受賞している。そして昨年末には快適性を追求したハーフインイヤー型完全ワイヤレス「Ear (Stick)」を発表。この時、初となるカスタムドライバーを独自開発して搭載している。
現在では、英ロンドンのSOHO地区に初のオフライン店舗をオープン。非常に好調だとし、他の重要マーケットでも順次店舗拡大を目指しているという。
日本市場の印象について聞かれると、アキス氏は「非常に興味深いマーケット」とコメント。デザインやファッション面で先導しているマーケットであり、その面ではNothingとフィットしていると語る。一方で、ハードウェアの面では参入が難しいと考えており、もともとは注力していなかったのだが、製品をローンチすると、予想以上に大きな反響があったという。
現在は、「デザイン面を全面に打ち出して参入していったことも功を奏してか、勢いが出てきている。難しいと捉えていたが、うまくフィットするという感触を得ている」とし、今後よりしっかりとマーケティングを図っていきたいと力を込める。
特に、Phone (1)ユーザーのうち、50%以上がiPhoneから切り替えているというのは、他の市場にない日本ならではの特徴なのだという。2023年はローカルチームの強化を図り、さらにパートナーとの協業を模索していきたいとのこと。既存のパートナーシップも強化。たとえばオフライン店舗のKith Tokyoとは長期的な提携関係を締結し、限定的ではない店舗での製品展開が進められている。
現在、スマートフォン「Phone (1)」と、本日発表となったEar (2)を含む3つのイヤホンを展開しているNothing。オーディオ製品においては、「これからもプレミアムなサウンド、体験を提供していく」とし、特にユーザー体験の最適化に注力していくという。そのためには、コアなニーズに目を向ける必要があるとし、Ear (2)で果たしたハイレゾ対応や、ANC機能など中核機能に据えて提供していきたいと展望を語った。
なお、Nothingの特徴的なスケルトンデザインは、専用製造スペースを必要とするなど、そのユニークな外観ゆえに開発や製造コストもかかる。これまでの価格設定の取り組みは続けていくが、市場の中で安価なものを目指しているつもりはないとした。
Ear (2)については、独自にカスタムしたドライバーは27点もの改良を図ったとし、素材そのものからマグネットの採用など、一つずつ試しながらマテリアルを選定し、デュアルチャンバー設計の投入など、さまざまな工夫が凝らされていると説明。
また、初代モデルの際にはエンジニアの数は30名ほどだったが、現在は170名以上に拡大しており、「より成熟したチームが開発に取り組んでいる。そうしたNothingの変化、新しいステージに入ったことを示す商品だと考えている」とアピールした。