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お客様が“こだわり”に気づける売り場

ノジマとオーディオスクエアのシナジーで“テレビの音の最適解”を案内。存在感を増すネットワーク&HDMI対応アンプ

公開日 2024/07/10 11:27 PHILE WEB ビジネス編集部・竹内純
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■関心高まるもまだまだ添付率は低いサウンドバー



“テレビの相棒”としてすっかり定着したイメージがある「サウンドバー」。ノジマ相模原本店(神奈川県相模原市)では、オーディオ専門店「オーディオスクエア相模原店」をインショップで展開する強みを活かし、“テレビの音”の物足りなさ解消へ、お客様の懐にさらに一歩踏み込んだ提案で期待に応えている。

ノジマ相模原本店のテレビコーナー。通路幅は見やすく広く取られている

サイズ別やタイプ別の比較視聴もできる

サウンドバーの近況をノジマ相模原本店・白井良輔氏に伺うと「モデル数も増え、『聴き比べてみたい』とリクエストされるなど、サウンドバーの購入を目的に来店されるお客様もいらっしゃいます。数年前に比べると商品のクオリティも上がり、サウンドバーからサウンドバーへの買い替えも目につくようになりました」と関心は高まりつつある。

サウンドバーをまとめて展示したコーナー

サウンドバーの展示・訴求では、タイプやグレードの違いをしっかりと比較、体験して確認いただくことを重視。分配器を用いて、同じテレビでいろいろなサウンドバーを比較試聴できるコーナーを設けるなど様々なチャレンジを行っている。

サウンドバーは随所にテレビと組み合わせて試聴できる機器を展示

「グレードによりどこが違うのかなど、カタログだけではわかりにくい点も少なくなく、やはり実際に体験していただくことが一番。リアスピーカーなど空間音響をつくれるタイプのものは少し広さをとり、家に近い感覚で体験いただけるように心がけています」。

テレビコーナーの奥、オーディオスクエアに隣接したエリアでは、4つのスピーカーで360度立体音響を体験できるソニー「HT-A9」などを展開

しかし、盛り上がりを見せる一方、「実はお客様の方から『サウンドバーが欲しい』と言っていただけることは、意外ですがあまり多くはないんです」という。「こちらからご提案して、実際に聴いていただいて初めて、『全然違うね』とハッとされるケースが少なくありません」。

立地する商圏による違いはもちろんあり、家電量販店各店でも展示状況には差が認められる。ただ、潜在ニーズはまだまだくすぶっており、テレビの“音”の満足度を高めるために、もっと“気づき”が必要と言えそうだ。

ノジマ相模原本店・白井良輔氏(左)とオーディオスクエア相模原店・鈴木大輝氏

オーディオスクエア相模原店・鈴木大輝氏は、自店の商圏には古くからの戸建ても多く、近所を気遣ってあまり大きな音を出せないため、サウンドバーの導入をためらう方も多いのではないかと推測する。そして、お客様の悩みを解決する方法として、「サウンドバーも一つの選択肢ですが、ハイエンドオーディオの場合がそうなのですが、きちんとした2chのスピーカーで鳴らすと、中音量や小音量でもしっかり聴くことができます。オーディオも扱っているからこそわかるこのポイントを、お客様にもご説明しています」とさらなる選択肢の提案にも力を入れる。

■存在感を増すネットワーク&HDMI対応アンプという選択肢



テレビを案内するときに、同時にオーディオシステムの購入へと発展するケースはほとんどないそうだ。しかし、「テレビを購入して使用していくと、例えば、リビングに隣接するキッチンで料理をしている人には音が聞こえにくいなど、テレビの音にまつわる様々な課題が表面化してきます。その時に単に音量を上げるのではなく、実は音がきちんと鳴っていれば聴こえやすいケースもあり、2chオーディオシステムの導入へと発展していくことも少なくありません」と説明する。

ノジマ相模原本店内の2階奥にインショップで展開される「オーディオスクエア相模原店」

ファーストステップとして薦めているのが、ハードルも比較的低いミニコンポとの光接続。「まずは物理的に分かれている2本のスピーカーを手にしていただくことが大切」とポイントを指摘する。

さらなるステップとして提案するのがハイコンポ。核となる商品として、マランツのネットワークオーディオプレーヤー「M-CR612」を挙げる。また、新製品のワイヤレスストリーミングアンプ「MODEL M1」などもお薦め商品としてクローズアップ。「HDMI端子が付いていて、テレビを見ていないときにも品質の高い音楽が楽しめます。“テレビの音”だけにはとどまらない、さらに面白い世界が広がっていきます」とその魅力を訴える。

オーディオスクエアではストリーミング対応のマランツ「M-CR612」、ストリーミング&HDMI対応のマランツ「MODEL M1」、デノン「RCD-N12」、マランツ「NR-1200」を前面に訴求

「サウンドバーでもBluetoothではなく、Wi-Fiを用いてアプリ経由で再生できるネットワークプレーヤーを搭載した機種も出てくるなど、高音質で音楽が聴ける体験を重視してきています」と音質への注目は高まりつつある。「家では音楽をサウンドバーで楽しまれるというお客様が、2chオーディオシステムに関心を持たれるケースも珍しくありません」と話す。

さらに、接客しているとお客様の音楽や映像の楽しみ方の“変化”を強く実感するという。「ネット動画やYouTubeでも、プレミア公開とかYouTube LIVEとかリアルタイムの視聴が増えています。例えば、会社帰りに電車のなかでスマホとイヤホンで見ていたYouTubeを、家に帰ればシームレスに、大きなテレビの画面とオーディオ機器で楽しめるというわけです」。そうしたトレンドを捉えたネットワーク機能とHDMI端子を搭載するアンプの存在感は「これからますます大きくなっていくはずです」と予想する。

「コレだけあればテレビを高音質で楽しめる」と題したPOPで必要となる関連機器をわかりやすく解説する

オーディオスクエア店舗入り口には「10万円以下で購入できるオーディオ“入門”セットと銘打ち、マランツのオールインワンミュージックプレーヤー「M-CR612」とPolk Audio「XT15」の組み合わせをアピール

ノジマのテレビコーナーでは、オーディオスクエアで取り扱うスピーカーをテレビに組み合わせた展示・提案も随時行っている。「3万円クラスの小さなブックシェルフスピーカーでも、全く音が違うんですよ」と語る白井氏。「テレビの音を改善するために仮に10万円の予算があるとして、アンプ+スピーカー(+ラック)でオーディオを組むか、10万円クラスのサウンドバーの上位モデルにするか。お客様のニーズや楽しみ方で最適解は異なってくると思います」。

両者の違いを「サウンドバーはテレビの物足りない音を補ってくれるもの。オーディオシステムは音を楽しむためのもの」と表現。「役割が少し違うように思います」と、“テレビの音”の向こうに潜むお客様の“真”の要望に寄り添っていく。

■「吸音材」や「HDMIケーブル貸し出し」も



ノジマ&オーディオスクエアのシナジーは随所に発揮されている。例えば、サウンドバーでも壁の反響を用いるタイプは、家電量販店の店頭で十分な試聴環境を整えるのはなかなか難しいが、ここでもオーディオスクエアにあるオーディオとホームシアターの2つの試聴室が物を言う。

着脱式のワイヤレススピーカーを備え、7.1.4cの立体音響空間を実現するJBLの話題のサウンドバー「BAR 1000」も、鈴木氏は「シアタールームで実演してみると、その実力を目の当たりにすることができて本当に感動しました。お客様の家により近い環境で聴けるのはとても重要なこと。売り場とは異なる周囲の音が気にならない静かな空間で存分に体験に没頭することができます」とアピールする。

さらに、懐深くこだわりをくすぐる提案も。「2chでいい音で聴くことができれば、音量を抑えてもはっきりと聴きやすくなります」と説明する鈴木氏は、それをハードの側面からだけでなく、家の響きという観点から「吸音材」をクローズアップして提案する。

こだわり心をくすぐるアイテムとして、音質を改善する吸音材をアピール

例えばサウンドバーで鳴らすテレビの音でも、吸音材を用いて家の響きを改善してあげることでかなり違ってくると指摘。最近はテレビ単体で音質にこだわった商品も目につくが、これも吸音材を使用することでそのポテンシャルをさらに活かし、満足度を高めることが可能になると訴える。

また、「サウンドバーをもう少しいい音で聴きたい」「4K対応のブルーレイプレーヤーに買い替えたい」といったお客様に、もう一つ上のグレードの音質や映像を手に入れるひとつの手段として「HDMIケーブル」を案内している。

「家電量販店で販売しているHDMIケーブルは高いものでも1万円程度ですが、オーディオ用では十数万円するものも珍しくありません。そこで、オーディオのエントリークラスのグレードのものを貸し出し用として用意しています」。百聞は一見に如かずというわけだ。

自宅で違いを実感してもらうハイグレードHDMIケーブルの貸し出しサービスを行っている

HDMIケーブルの貸出しサービスについて鈴木氏は「実際に体感してもらわない限り、それは“販売員さんが言っていること”という次元に過ぎません。お客様のこだわりへの気づきを大切にしていきたいですし、気づいてもらえるようにいろいろ工夫を凝らしていきたいですね」。

■一人一人の満足度を高める“気づき”の大切さ



まだまだ伸びしろが期待されるサウンドバー。白井氏が注文を付けるのは「サイズ」。「テレビが大型化していますが、サウンドバーも大きいものばかりでは選択肢が狭まってしまいます。設置スペースが狭い方でも気軽に使っていただけるサイズやデザインの商品が必要です」。また、サウンドバーの価値を伝えるために、家電量販店における展示や説明にも改善の余地があると訴えた。

テレビの物足りない音を補うアイテムとして白井氏がサウンドバーとともに注目する「お手元スピーカー」。ご年配の“聴こえ”のニーズに応えるものだが、「これもテレビの音の選択肢のひとつ」と注力

首に掛けるネックスピーカーやイヤホンタイプなど種類も増え、専用のコーナーでは聴き比べができるなどわかりやすく案内する

鈴木氏が要望するのは「価格」だ。「意識するのはやはり若い世代。2万円、3万円でも高く感じられる世代に、『ゲームを楽しむのにちょっとサウンドバーも買ってみようか』と思っていただけるくらいでないと」とさらなるハードルの低さを要望する。

「オーディオの側から見ると、2chでも十分に実現できる世界があります。サラウンドの魅力というのはそれとはまた別軸にあるように思います。お客様にとっての最適解がサウンドバーなのか、それとも2chなのか。当店ならでは強みを活かし、2chの世界も味わってもらいたいですね」。さらに、KEFやELACのワイヤレススピーカーという選択肢にも注目するが、テレビ周りの商品として、いかに認知度を高められるかを課題とした。

ノジマでは冷蔵庫の下に敷く傷防止マットやエアコンの室外機の音を静かにする制振ゴムを丁寧に案内している。「普通はお客様からの要望がないとご案内する機会も少ないものですが、ノジマではぜひ試して、感動してもらいたいと考えています。実はこうした白物家電の提案にも、オーディオから培われたアイデアが活かされています」。

白物家電の防音・防振への着眼も、オーディオへの取り組みが深く影響している

テレビやサウンドバーの提案においても、「お客様個々に、こちらのモデルの方が見やすい、あちらのモデルの方が聴きやすいといった細かな気づきが大事。そこには普段から気を使って接客をしています。商品を選ぶ上で、体感は満足度につながっていきます。ノジマでは全店全スタッフがそこを強く意識して実践しています」と語る鈴木氏。

「音は鳴ればいい、映像は見られればいい。しかし、実はそこに細かいこだわりがあるはずなんです。それは、人間一人一人によって聴こえ方や見え方が違うからです。そこに気づいて、言葉にはできなかったような聞きづらさが見づらさみたいなものが解決できるように、僕らはそこを気にしていかなければなりません」と力を込めた。


■店舗概要
ノジマ相模原本店
神奈川県相模原市中央区横山1-1-1
TEL 042-753-1516

オーディオスクエア相模原店
ノジマ相模原本店内(2F)
TEL 042-786-4015

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