五感でととのう個室サウナ「ROKU SAUNA」
“ととのい”には「音」も大切? お気に入りの音楽と過ごせるプライベートサウナを体験
昨今のブームとなりつつあるサウナでの “ととのい”。わざわざこの記事を開いている人ならば改めての説明は不要だろうが、簡単に言うと、サウナ(高温の環境)と水風呂を繰り返すことで得られる深い快感の状態…のことらしい。
かくいう記者もブームにあやかって、にわかサウナーとしてせっせとサウナに通っており、“ととのう” とは多分こういう感じのことなんだろう、というような多幸感や自己肯定感の高まりなどを感じているのだが、“ととのう” にあたってひとつどうしても気になっていたことがある。
それは「音」である。
「音」というのも本当に広い意味で、いわゆるBGM的な音楽のことでもあるし、流れているテレビの音、同じサウナに集う人々の声、ロウリュのジュワ〜という音など、さまざまな音がサウナ/休憩室には溢れている。
それらが心地よく “ととのい” に貢献してくれるのであればもちろんそれで良いのだが、残念ながらそう都合の良いことばかりではない。
街の銭湯に行けば、裸のまま気さくに話しかけてくるおばあちゃんがいたり、スーパー銭湯では興味がないテレビ番組でも延々見続ける羽目になる。新しく誕生したサウナではアンビエント系の音楽がかかっていることが多いように思うが、必ずしもそれが好みの音楽とも限らない。
サウナに何を求めるかというのは人によって様々だろうし、汗を流すスポーツ的な感覚で利用している人や、友人とのコミュニケーションの場であったりする人もいるだろう。
だが、私にとってサウナは「瞑想」の場というのが非常に重要な役割を持つ。最近の流行りの言葉で言えば「マインドフルネス」だろうか。日常生活で溜まってしまうストレスを洗い流し、頭をリセットする “デフラグ” のような感覚だ。そのため、「音」の環境に違和感があると、どうしてもゆっくりととのえない、と思うことが少なからずある。
そんな悩みをずっと抱えていたのだが、近頃その悩みに呼応したのかのように、「個室サウナ」がここ数年で急速に広がってきている。
個室サウナは、サウナ室と休憩室を、完全に個人、または数名のグループで数時間貸切として利用できるという施設。そのひとつとして、神奈川県のたまプラーザに4月2日から新規オープンする「ROKU SAUNA」は、「音」にもこだわった点が特徴となっており、自分の好きな音楽を自由に持ち込むことができるのだという。
ということで、オープンを控えた「ROKU SAUNA」で個室サウナ体験をさせてもらった。
完全個室のサウナが6部屋用意されており、予約はすべてネットで行える。予約するとルームキー番号が発行され、その番号をタッチパネルで入力することで部屋の鍵を解錠できる。完全非接触でのサウナ体験ができるのだ。
入り口にはブラシ等のアメニティのほか、水など飲料水、サウナハットといったサウナの必需品に加え、6種類のロウリュ用アロマも用意。バスタオル、フェイスタオル等もプランに含まれているため、手ぶらで行っても大丈夫だ。
6つの個室の作りはみな同じで、1畳ほどのサウナと、シャワーブース、休憩スペースからできている。サウナは座っても、寝転んでの利用も可能。桶と柄杓がおいてあり、セルフロウリュも実践できる。シャワーブースではお湯のほか、冷水シャワーも利用可能。
肝心のオーディオシステムについて。テーブルにロジクールのBluetoothトランスミッターが置かれており、ペアリングしたスマートフォンなどから音楽を自由に再生できる。スピーカーは、休憩室の天井(インフィニティチェアの真上)と、サウナ室で寝転がったときにちょうど頭の下にくるような位置に設置されている。スピーカーはいずれもBOSE製のものが組み込まれている。
休憩室とサウナ室では同じ音楽をシームレスに再生することができる。A/Bと切り替えできるスイッチが壁に取り付けられており、Aでは共用部と同じアンビエンス系の音楽が再生され、Bでは室内のBluetoothトランスミッターとつながっている。ここではまずBにスイッチを合わせた。
持ってきたのは、この日のために用意した『新・クラシック セレクション 1 ~ととのうクラシック〜』。とくさしけんごさんがセレクトした、文字通りサウナで “ととのう” ためのクラシック音楽をまとめたコンピレーションアルバムで、生形三郎氏がマスタリングを手掛けるなど、音質的にもこだわっていることが特徴。冒頭のラヴェル「水の戯れ」の、まさにタイトル通りの清涼な川のせせらぎを思わせる流麗さから始まり、「サウナで聴きたい」クラシック音楽16曲がまとめられている。
このアルバムを、事前にスマートフォンに取り込んでおいた。取り込みにはアイ・オー・データ機器の「CDレコ6」を活用。PCを介さずにCDをそのままスマホに直接取り込むことができ、アルバム1枚4分程度とお手軽で、取得時に自動でGracenoteから楽曲名やアルバムタイトルをつけてくれるので便利だ。
iPhoneとBluetoothトランスミッターをペアリングして再生を開始する。先程のA/Bスイッチのところにはボリューム調整ボタンもあり、サウナ室・休憩室双方で自分にとって心地よい音量に調整する(個別に設定はできない)。音楽を再生したら、サウナでの「瞑想モード」に突入。
♪♪♪
今回は80分のコースを体験させてもらったが、改めて感じたのは「やっぱり音は大切!」ということ。自分が一番リラックスできる音楽を用意して、自分だけの “ととのい” 時間を確保することは、忙しい現代人にとって癒やしのひとときと感じられる。
特に、インフィニティチェアの真上にスピーカーがあるため、ホカホカに温まった身体をひんやりと冷やしながら、天井から降り注ぐように音楽を浴びることで、より一層毛穴が開かれ血液が全身を循環するように感じた。楽器ひとつひとつの音までベールが取り払われて聴こえるようで、なんだか聴覚も覚醒した気分(!)。一段深い「マインドフルネス」の世界に入り込むことができるようだ。
前述したように、ここ数年で個室サウナは確実に数を増やしてきている。未訪問であるが、神楽坂にある「ソロサウナtune」も、ウェブサイト上で「Bluetooth対応スピーカーを休憩室に設置」と記載しており、“音環境” にもこだわることでより深い “ととのい” を得ようという試みは様々に広がっているようだ。
ちなみに、こうした設備のない個室サウナに完全ワイヤレスイヤホンなどを持ち込むということについてだが、イヤホンやBluetoothスピーカーなどで「IPX○」と防水性能を謳っているものはあるものの、これは温度条件を含んでおらず、サウナ等の高温環境での動作を保証するものではない。使用環境の注意書きも5度 - 35度あたりが推奨のモデルが多く、破損の可能性が高いため、もし自分で持ち込む場合には、サウナ室には持ち込まず、休憩室で利用するようにしたい。
あくまで個人的な体験としては、スピーカーからの再生で、サウナによって活性化された身体全体で音楽を感じるほうが、より “ととのい” に貢献してくれるように感じている。いずれにしても、サウナ室での音楽体験には、やはり正式に設備が用意されたサウナに行くのが一番だろう。
サウナでの “ととのい” 体験をより深いものとするために、「音」にこだわるサウナがまだまだ増えてほしいと願うばかりである。
かくいう記者もブームにあやかって、にわかサウナーとしてせっせとサウナに通っており、“ととのう” とは多分こういう感じのことなんだろう、というような多幸感や自己肯定感の高まりなどを感じているのだが、“ととのう” にあたってひとつどうしても気になっていたことがある。
それは「音」である。
「音」というのも本当に広い意味で、いわゆるBGM的な音楽のことでもあるし、流れているテレビの音、同じサウナに集う人々の声、ロウリュのジュワ〜という音など、さまざまな音がサウナ/休憩室には溢れている。
それらが心地よく “ととのい” に貢献してくれるのであればもちろんそれで良いのだが、残念ながらそう都合の良いことばかりではない。
街の銭湯に行けば、裸のまま気さくに話しかけてくるおばあちゃんがいたり、スーパー銭湯では興味がないテレビ番組でも延々見続ける羽目になる。新しく誕生したサウナではアンビエント系の音楽がかかっていることが多いように思うが、必ずしもそれが好みの音楽とも限らない。
サウナに何を求めるかというのは人によって様々だろうし、汗を流すスポーツ的な感覚で利用している人や、友人とのコミュニケーションの場であったりする人もいるだろう。
だが、私にとってサウナは「瞑想」の場というのが非常に重要な役割を持つ。最近の流行りの言葉で言えば「マインドフルネス」だろうか。日常生活で溜まってしまうストレスを洗い流し、頭をリセットする “デフラグ” のような感覚だ。そのため、「音」の環境に違和感があると、どうしてもゆっくりととのえない、と思うことが少なからずある。
そんな悩みをずっと抱えていたのだが、近頃その悩みに呼応したのかのように、「個室サウナ」がここ数年で急速に広がってきている。
個室サウナは、サウナ室と休憩室を、完全に個人、または数名のグループで数時間貸切として利用できるという施設。そのひとつとして、神奈川県のたまプラーザに4月2日から新規オープンする「ROKU SAUNA」は、「音」にもこだわった点が特徴となっており、自分の好きな音楽を自由に持ち込むことができるのだという。
ということで、オープンを控えた「ROKU SAUNA」で個室サウナ体験をさせてもらった。
完全個室のサウナが6部屋用意されており、予約はすべてネットで行える。予約するとルームキー番号が発行され、その番号をタッチパネルで入力することで部屋の鍵を解錠できる。完全非接触でのサウナ体験ができるのだ。
入り口にはブラシ等のアメニティのほか、水など飲料水、サウナハットといったサウナの必需品に加え、6種類のロウリュ用アロマも用意。バスタオル、フェイスタオル等もプランに含まれているため、手ぶらで行っても大丈夫だ。
6つの個室の作りはみな同じで、1畳ほどのサウナと、シャワーブース、休憩スペースからできている。サウナは座っても、寝転んでの利用も可能。桶と柄杓がおいてあり、セルフロウリュも実践できる。シャワーブースではお湯のほか、冷水シャワーも利用可能。
肝心のオーディオシステムについて。テーブルにロジクールのBluetoothトランスミッターが置かれており、ペアリングしたスマートフォンなどから音楽を自由に再生できる。スピーカーは、休憩室の天井(インフィニティチェアの真上)と、サウナ室で寝転がったときにちょうど頭の下にくるような位置に設置されている。スピーカーはいずれもBOSE製のものが組み込まれている。
休憩室とサウナ室では同じ音楽をシームレスに再生することができる。A/Bと切り替えできるスイッチが壁に取り付けられており、Aでは共用部と同じアンビエンス系の音楽が再生され、Bでは室内のBluetoothトランスミッターとつながっている。ここではまずBにスイッチを合わせた。
持ってきたのは、この日のために用意した『新・クラシック セレクション 1 ~ととのうクラシック〜』。とくさしけんごさんがセレクトした、文字通りサウナで “ととのう” ためのクラシック音楽をまとめたコンピレーションアルバムで、生形三郎氏がマスタリングを手掛けるなど、音質的にもこだわっていることが特徴。冒頭のラヴェル「水の戯れ」の、まさにタイトル通りの清涼な川のせせらぎを思わせる流麗さから始まり、「サウナで聴きたい」クラシック音楽16曲がまとめられている。
このアルバムを、事前にスマートフォンに取り込んでおいた。取り込みにはアイ・オー・データ機器の「CDレコ6」を活用。PCを介さずにCDをそのままスマホに直接取り込むことができ、アルバム1枚4分程度とお手軽で、取得時に自動でGracenoteから楽曲名やアルバムタイトルをつけてくれるので便利だ。
iPhoneとBluetoothトランスミッターをペアリングして再生を開始する。先程のA/Bスイッチのところにはボリューム調整ボタンもあり、サウナ室・休憩室双方で自分にとって心地よい音量に調整する(個別に設定はできない)。音楽を再生したら、サウナでの「瞑想モード」に突入。
今回は80分のコースを体験させてもらったが、改めて感じたのは「やっぱり音は大切!」ということ。自分が一番リラックスできる音楽を用意して、自分だけの “ととのい” 時間を確保することは、忙しい現代人にとって癒やしのひとときと感じられる。
特に、インフィニティチェアの真上にスピーカーがあるため、ホカホカに温まった身体をひんやりと冷やしながら、天井から降り注ぐように音楽を浴びることで、より一層毛穴が開かれ血液が全身を循環するように感じた。楽器ひとつひとつの音までベールが取り払われて聴こえるようで、なんだか聴覚も覚醒した気分(!)。一段深い「マインドフルネス」の世界に入り込むことができるようだ。
前述したように、ここ数年で個室サウナは確実に数を増やしてきている。未訪問であるが、神楽坂にある「ソロサウナtune」も、ウェブサイト上で「Bluetooth対応スピーカーを休憩室に設置」と記載しており、“音環境” にもこだわることでより深い “ととのい” を得ようという試みは様々に広がっているようだ。
ちなみに、こうした設備のない個室サウナに完全ワイヤレスイヤホンなどを持ち込むということについてだが、イヤホンやBluetoothスピーカーなどで「IPX○」と防水性能を謳っているものはあるものの、これは温度条件を含んでおらず、サウナ等の高温環境での動作を保証するものではない。使用環境の注意書きも5度 - 35度あたりが推奨のモデルが多く、破損の可能性が高いため、もし自分で持ち込む場合には、サウナ室には持ち込まず、休憩室で利用するようにしたい。
あくまで個人的な体験としては、スピーカーからの再生で、サウナによって活性化された身体全体で音楽を感じるほうが、より “ととのい” に貢献してくれるように感じている。いずれにしても、サウナ室での音楽体験には、やはり正式に設備が用意されたサウナに行くのが一番だろう。
サウナでの “ととのい” 体験をより深いものとするために、「音」にこだわるサウナがまだまだ増えてほしいと願うばかりである。