大橋伸太郎がヤマハの新フラグシップに迫る
【レビュー】ヤマハ“22年ぶり”のセパレートAVアンプ「CX-A5000/MX-A5000」
■CX-A5000/MX-A5000の製品プロフィールに迫る
それでは、CX-A5000/MX-A5000のプロフィールを紹介しよう。まずCX-A5000は、11.2ch 構成のAVプリアンプである。実物を前にすると、先行して発売された一体型モデルのトップエンド「RX-A3030」との類似性が強い。そのはず、CX-A5000はA3030のシャーシを流用して機構が構築されている。しかし、先述のようにデジタルノイズの封じ込めを第一義に設計され、電気的干渉を抑えるレイアウトを徹底しており、アルミサイドパネルにトップボードの3ピース構成を採用している。そのトップボードを外して内部を覗くと、H型クロスフレーム、ダブルボトムコンストラクション、リジッドボトムフレームが確認され、Z11からA3030に至るフラグシップ機の機構上の特徴を継承していることが分かる。ただし、パワーアンプの電源部が消えたためフロント部に余裕が生まれている。
心臓部のDACは今季の同社製品と同様にESSのSABLE PREMIUM DACで構成した。具体的には8ch一体型のES9016(192kHz/32bit)を2基使う。1基が基本の7.1chを、もう1基がフロント、リアのプレゼンス系を受け持つ。なおES9016 の場合、1chで2回路使用はパターン上出来ない。参考までに一体型最上位のRX-A3030の場合、ES9016+ES9006 の2基使用で、ES9006 は192kHz/24bitで9016比で若干スペックが落ちる。ちなみに、先行発売のSACD/CDプレーヤーCD-S3000はSABLE最上位のES9018を搭載している(以下の表参照)。
本機はデジタルフィルターの選択機構を採用しており、「シャープ」「スロー」「ショートレーテンシー(同社カスタム設定)」の3モードから選べる。オペアンプは、FEIインプットでローノイズが特長のADI OP275を搭載する。
シネマDSPはHD3で、Z11と同じ33のプログラム数を搭載する(A3030のプログラム数は23)。バーチャルプレゼンススピーカーにも対応する。
本機における“朗報”の1つは、入出力にXLRバランスを搭載したことである。プリアウトが11、ステレオイン(Audio4入力)が1。後者には、4Vあるいはそれ以上の入力信号を受け取る場合に使用するアッテネーター機能を備える。端子部には、PA業界で評価が高くマイク製品などに採用されているNuetric(ノイトリック)製金メッキ品が採用されている。
パワーアンプとのマッチングという点では、出力インピーダンスを低インピーダンスに設定しており、MX-A5000以外の他社製パワーアンプをつないでも問題が起きないように考慮している。電源部にはELトランスを搭載しており、アナログデジタル独立捲き線を使用した。