会田肇がハンドリング
MOV/36Mbps撮影対応で高画質化 − JVCのハイアマ向けカメラ「JY-HM90」レビュー
主として撮影系機能を強化したJVCブランドのショルダー型ビデオカメラ「JY-HM90」が発売された。本機はブライダルなどの業務用途からハイアマチュア向けに評価が高かった「JY-HM70」の後継機として誕生した。
ガッシリとしたショルダー型の外観はほとんど変わらないものの、36Mbpsハイビットレート映像と96kHz/24bitリニアPCM音声記録を可能にした『MOV』記録モードを採用するなど、その中身はもはや“別モノ”と呼ぶに相応しい内容となった。それでいて実売価格はHM70よりもわずかに高い19万円前後に収められた。これは大いに魅力的といって良さそうだ。
センサーは新開発の1/2.3型 1891万画素の裏面照射CMOSとなり、これに広角時はF1.2の明るさを持つJVC GTレンズを組み合わせる。このレンズは光学10倍のズーム機能付きで、動画撮影時のズーム倍率はダイナミックズームを併用することで最大19倍(手ブレ補正OFF時、35mm換算で29.9mm〜586mm)のスペック。マニュアルフォーカスも可能で、リングをフォーカスとズームの両方に切り換えることもできる。最低照度は1ルクスの高感度設計とHM70と変わらない。
記録モードは冒頭でも述べたように、プロの現場でも多用される『MOV』のハイビットレート記録モード追加したのが最大のトピックだ。HM70で採用していた『AVCHD』 1080/60p(28Mbps)はそのままに、36Mbpsのハイビットレート映像と96kHz/24bitのリニアPCM音声を組み合わせ、映像面だけでなく音声面でも一段と品質の高い収録を可能にしたというわけである。
また、見逃せないのがAVCHDでは業界で初めて採用したという「クリップ連続記録」への対応だ。これは、撮影と停止を繰り返しても電源を切る(あるいは「撮影中に“REC”ボタンを1秒間長押し/撮影停止中に“MODE/C.C”を押す」)まで一つのクリップにまとめて記録するというもの。このモード中は「CLIP」アイコンが表示すると同時に、撮影のON/OFFを行う「REC」アイコンが黄色くなる。シーンが多くなるブライダル撮影などの映像を編集する際にその負担を軽減できるメリットがある。
モニターはサイズこそHM70と同じだが、画素数は46万ドットと倍増。より鮮明なモニタリングが可能となった。また、本機にはEVFも備わる。0.24型26万ドットのスペック自体はHM70と同じで、解像度がそれほど高くないためフォーカス合わせには少し厳しい印象だ。ただ、大型のアイカップが付いているため、明るい屋外でも被写体の確認はしやすい。また、グリップ上部には業務用機として必須のズーム/録画ボタンも装備する。
メニュー画面は家庭用と基本的に同じものを踏襲しており、設定はしやすい。記録モードは、まず「MOV/AVCHD」を設定し、「60p/60i」を選んで「画質モード」を設定するという流れ。「MOV」を選んだ時は、「60p/60i」「画質モード」はメニューにも表示されず、「AVCHD」でのみ別メニューで設定するようになる。アマチュアの感覚でいえばこの設定は一画面で出来た方がわかりやすいと思うが、設定ミスを避けるという業務上の観点ではこの方が良いのだと思う。
また、HM70と同様に、データ保存するSDカードは2スロットにまたがって記録でき、1つのカード残量がなくなっても自動的にもう一方のシームレスに切り替える。バッテリーも同時に2つまで装着可能としたデュアルバッテリーマウントとしたため、イベントなどでの長時間撮影にもしっかり応えられるのも踏襲された。この辺りは業務用途をしっかり意識した設計とも言っていいだろう。
さて、『AVCHD』と『MOV』との画質差は明らかだった。解れた犬の毛を映して見るとその差は歴然。犬が動く度に毛の周辺がチラチラとし、時にはカラーノイズが発生していたAVCHDに対し、MOVではそれがまったくといっていいほど見られない。コントラストもはっきりとし、それは立体感となって現れた。MOVで撮影した映像を見てしまうとAVCHDには戻れないという感じすら憶える。。ただ、この結果はAVCHDとMOVのフォーマットによる優劣ではなく、記録するビットレートの差と考えるべき。当然、36Mbpsで記録するMOVではデータサイズもその分だけ大きくなっているわけだから。
夜景撮影では全体にややシャープさが低下する印象はあるが、ノイズが少なくイルミの色彩も鮮やかに再現。レンジもそこそこに広いようで、輝度差が大きい照明を映像内に入れても自然な雰囲気で表現する。これならブライダルなどの低照度での撮影でも十分に能力を発揮してくれるはずだ。
操作系は家庭用ビデオカメラから引き継がれた部分が多いものの、それが却って幅広いユーザーに受け入れられることにつながっている。もちろん、業務用途の視点で見ると、それがやや頼りない印象を持つこともあるだろう。しかし、撮影現場でこのスタイルは十分押しが利くし、撮影時の使いやすさも家庭用並みというコンセプトは、それはむしろHM70から引き継がれた本機ならではの魅力と評したい。本機はショルダー型とは言え、撮影時重量が3kg強という取り回しのしやすさも大きな魅力だ。業務用機の操作環境に不慣れでもすぐに使いこなせる。本機の魅力はそんなところにあるのだ。
ガッシリとしたショルダー型の外観はほとんど変わらないものの、36Mbpsハイビットレート映像と96kHz/24bitリニアPCM音声記録を可能にした『MOV』記録モードを採用するなど、その中身はもはや“別モノ”と呼ぶに相応しい内容となった。それでいて実売価格はHM70よりもわずかに高い19万円前後に収められた。これは大いに魅力的といって良さそうだ。
センサーは新開発の1/2.3型 1891万画素の裏面照射CMOSとなり、これに広角時はF1.2の明るさを持つJVC GTレンズを組み合わせる。このレンズは光学10倍のズーム機能付きで、動画撮影時のズーム倍率はダイナミックズームを併用することで最大19倍(手ブレ補正OFF時、35mm換算で29.9mm〜586mm)のスペック。マニュアルフォーカスも可能で、リングをフォーカスとズームの両方に切り換えることもできる。最低照度は1ルクスの高感度設計とHM70と変わらない。
記録モードは冒頭でも述べたように、プロの現場でも多用される『MOV』のハイビットレート記録モード追加したのが最大のトピックだ。HM70で採用していた『AVCHD』 1080/60p(28Mbps)はそのままに、36Mbpsのハイビットレート映像と96kHz/24bitのリニアPCM音声を組み合わせ、映像面だけでなく音声面でも一段と品質の高い収録を可能にしたというわけである。
また、見逃せないのがAVCHDでは業界で初めて採用したという「クリップ連続記録」への対応だ。これは、撮影と停止を繰り返しても電源を切る(あるいは「撮影中に“REC”ボタンを1秒間長押し/撮影停止中に“MODE/C.C”を押す」)まで一つのクリップにまとめて記録するというもの。このモード中は「CLIP」アイコンが表示すると同時に、撮影のON/OFFを行う「REC」アイコンが黄色くなる。シーンが多くなるブライダル撮影などの映像を編集する際にその負担を軽減できるメリットがある。
モニターはサイズこそHM70と同じだが、画素数は46万ドットと倍増。より鮮明なモニタリングが可能となった。また、本機にはEVFも備わる。0.24型26万ドットのスペック自体はHM70と同じで、解像度がそれほど高くないためフォーカス合わせには少し厳しい印象だ。ただ、大型のアイカップが付いているため、明るい屋外でも被写体の確認はしやすい。また、グリップ上部には業務用機として必須のズーム/録画ボタンも装備する。
メニュー画面は家庭用と基本的に同じものを踏襲しており、設定はしやすい。記録モードは、まず「MOV/AVCHD」を設定し、「60p/60i」を選んで「画質モード」を設定するという流れ。「MOV」を選んだ時は、「60p/60i」「画質モード」はメニューにも表示されず、「AVCHD」でのみ別メニューで設定するようになる。アマチュアの感覚でいえばこの設定は一画面で出来た方がわかりやすいと思うが、設定ミスを避けるという業務上の観点ではこの方が良いのだと思う。
また、HM70と同様に、データ保存するSDカードは2スロットにまたがって記録でき、1つのカード残量がなくなっても自動的にもう一方のシームレスに切り替える。バッテリーも同時に2つまで装着可能としたデュアルバッテリーマウントとしたため、イベントなどでの長時間撮影にもしっかり応えられるのも踏襲された。この辺りは業務用途をしっかり意識した設計とも言っていいだろう。
さて、『AVCHD』と『MOV』との画質差は明らかだった。解れた犬の毛を映して見るとその差は歴然。犬が動く度に毛の周辺がチラチラとし、時にはカラーノイズが発生していたAVCHDに対し、MOVではそれがまったくといっていいほど見られない。コントラストもはっきりとし、それは立体感となって現れた。MOVで撮影した映像を見てしまうとAVCHDには戻れないという感じすら憶える。。ただ、この結果はAVCHDとMOVのフォーマットによる優劣ではなく、記録するビットレートの差と考えるべき。当然、36Mbpsで記録するMOVではデータサイズもその分だけ大きくなっているわけだから。
夜景撮影では全体にややシャープさが低下する印象はあるが、ノイズが少なくイルミの色彩も鮮やかに再現。レンジもそこそこに広いようで、輝度差が大きい照明を映像内に入れても自然な雰囲気で表現する。これならブライダルなどの低照度での撮影でも十分に能力を発揮してくれるはずだ。
操作系は家庭用ビデオカメラから引き継がれた部分が多いものの、それが却って幅広いユーザーに受け入れられることにつながっている。もちろん、業務用途の視点で見ると、それがやや頼りない印象を持つこともあるだろう。しかし、撮影現場でこのスタイルは十分押しが利くし、撮影時の使いやすさも家庭用並みというコンセプトは、それはむしろHM70から引き継がれた本機ならではの魅力と評したい。本機はショルダー型とは言え、撮影時重量が3kg強という取り回しのしやすさも大きな魅力だ。業務用機の操作環境に不慣れでもすぐに使いこなせる。本機の魅力はそんなところにあるのだ。