音楽再生に加えてギター演奏でも試す
周囲の音を取り込めるワイヤレスイヤホン、ビクター90周年モデル「XE-M10BT」を試す
JVCケンウッドがクラウドファンディングで開発を進めていた「マルチライブモニター」イヤホンが、ビクター設立90周年記念モデル「XE-M10BT」として一般販売開始される。スタイルとしては普通にネックバンド型Bluetoothイヤホンだが、加えて「周囲音取り込み機能」も備えることが最大の特徴。排他利用になるがノイズキャンセリングにも対応する。記念モデルにふさわしい、華美ではない上質な豪華さ、楽器をイメージしたというデザインも見逃せない。
まずはやはり、その「周囲音取り込み機能」から紹介していきたいと思う。しかし後ほど述べるようにこのモデルは、イヤホンとしてのオーディオクオリティも十分すぎるほど高い。特徴的な機能を備えるが、機能性に偏重したモデルではないということもあらかじめ理解しておいてほしい。
「周囲音取り込み機能」は名前の通り、内蔵マイクで周囲の音を拾い、音楽再生にミックスしてそれもリスナーに届ける機能。マイク音声はデジタル処理による「パワードミキシングシステム」で最適化され、その音声さえも高音質、というのがポイントだ。
こういった、いわゆる外音取り込み機能を搭載する例は増えてきているが、このモデルの面白いところは、「電車のアナウンス」といった生活情報音だけではなく、「スマホで音楽を再生しながらそれに合わせて自分で演奏したギターのアンプからの音」のように、周囲の音楽+自分で演奏する音楽のような使い方も想定していること。そこが「マルチライブモニター」たる所以だ。だから取り込み音の高質にまでこだわっており、専用アプリで取り込み音のイコライジングまで行える。
その使い方を具体的に試してみるべく、曲を再生して聴きながらそれに合わせてエレクトリックギターを演奏、ギターアンプのスピーカーからの音も合わせてモニターしてみた。
流れとしては、
1)ギターアンプの音色と音量をセッティング
2)アプリのMusic Volumeで音楽再生の音量を決める
3)アプリのMic Volumeで周囲音取り込みボリュームを決める
4)アプリのMic EQを「Session」にしてギターの音を明瞭に
という感じで調整。音楽再生もギターアンプもどちらも最小限の音量でバランスのとれた演奏を楽しめた。「マンション住まいで大きな音は出せないけどギターはやっぱりアンプから音を出したい!」というギタリストにはちょうどよさそうだ。
最後に設定した「Mic EQ」は、ミュージシャンではないユーザーにも注目してほしい機能。ユーザーカスタマイズも可能だが、あらかじめ用意されているプリセット、
・Session:高域と低域を少し持ち上げて楽器の音を明確に
・Talk:人の声の帯域である中高域にフォーカス
・Train:低音の騒音をバッサリとカット
・Walk:Talkよりも幅広い生活音を集音
を場面に合わせて選ぶだけでも十分に効果的だ。
加えて電車内等ではもちろん、「Noise Cancel Mode」も活躍してくれるだろう。このモデルのノイズキャンセルは飛び抜けて強力なものではないが、Mic EQの「Train」や「Walk」とうまく使い分けることで力を発揮してくれると思う。
そして序盤にも触れておいたように、ビクターの記念モデルとしては当然のことだが、このモデルはその機能性だけではなく、イヤホンとして普通に音が良いこともポイントだ。音色に凛とした雰囲気があり、空間表現の広さもあってイヤホンとしては開放的な音という印象だ。
悠木碧さん「レゼトワール」では声の心地よいシャープさで女性ボーカルの清廉さを、Cornelius「いつか/どこか」ではギターのエッジや芯、ハイハットシンバルの金属質のキレなど特に好感触。そしてどちらも空間を広く使った曲だが、その広さの表現も文句なし。
相対性理論やペトロールズのバンドサウンドで楽器ごとのバランスを確認すると、ベースの存在感が実にほどよい。素直に適度に膨らみ、キレのよい高音に負けることなく主張するボリューム感。それでいてもったりしたりぼわんとしたりはしていない。クラブ系の重低音の再現性はもう少しほしい気はするが、バンドサウンドにおいてはちょうどよい低音の出し方だ。
なおもちろん、JVCお家芸の高音質技術「K2 TECHNOLOGY」も搭載。Bluetoothコーデックごとにパラメーターを自動変更するという、ポータブル向けの最新K2だ。オンにすると音の響きがほぐれつつも明瞭になる、自然で心地よい変化を得られる。
ただし残念ながら周囲音取り込みやノイズキャンセリングとの併用はできない。静かな室内でじっくり音楽を聴くときなど、ここぞというところでの利用がおすすめ。
今の主流であるBluetoothワイヤレス。磨き上げ続けてきたお家芸「K2 TECHNOLOGY」。新たな提案となる「マルチライブモニター」コンセプト。現在、伝統、未来。そのすべてを内包する見事な90周年記念モデルだ。
まずはやはり、その「周囲音取り込み機能」から紹介していきたいと思う。しかし後ほど述べるようにこのモデルは、イヤホンとしてのオーディオクオリティも十分すぎるほど高い。特徴的な機能を備えるが、機能性に偏重したモデルではないということもあらかじめ理解しておいてほしい。
「周囲音取り込み機能」は名前の通り、内蔵マイクで周囲の音を拾い、音楽再生にミックスしてそれもリスナーに届ける機能。マイク音声はデジタル処理による「パワードミキシングシステム」で最適化され、その音声さえも高音質、というのがポイントだ。
こういった、いわゆる外音取り込み機能を搭載する例は増えてきているが、このモデルの面白いところは、「電車のアナウンス」といった生活情報音だけではなく、「スマホで音楽を再生しながらそれに合わせて自分で演奏したギターのアンプからの音」のように、周囲の音楽+自分で演奏する音楽のような使い方も想定していること。そこが「マルチライブモニター」たる所以だ。だから取り込み音の高質にまでこだわっており、専用アプリで取り込み音のイコライジングまで行える。
その使い方を具体的に試してみるべく、曲を再生して聴きながらそれに合わせてエレクトリックギターを演奏、ギターアンプのスピーカーからの音も合わせてモニターしてみた。
流れとしては、
1)ギターアンプの音色と音量をセッティング
2)アプリのMusic Volumeで音楽再生の音量を決める
3)アプリのMic Volumeで周囲音取り込みボリュームを決める
4)アプリのMic EQを「Session」にしてギターの音を明瞭に
という感じで調整。音楽再生もギターアンプもどちらも最小限の音量でバランスのとれた演奏を楽しめた。「マンション住まいで大きな音は出せないけどギターはやっぱりアンプから音を出したい!」というギタリストにはちょうどよさそうだ。
最後に設定した「Mic EQ」は、ミュージシャンではないユーザーにも注目してほしい機能。ユーザーカスタマイズも可能だが、あらかじめ用意されているプリセット、
・Session:高域と低域を少し持ち上げて楽器の音を明確に
・Talk:人の声の帯域である中高域にフォーカス
・Train:低音の騒音をバッサリとカット
・Walk:Talkよりも幅広い生活音を集音
を場面に合わせて選ぶだけでも十分に効果的だ。
加えて電車内等ではもちろん、「Noise Cancel Mode」も活躍してくれるだろう。このモデルのノイズキャンセルは飛び抜けて強力なものではないが、Mic EQの「Train」や「Walk」とうまく使い分けることで力を発揮してくれると思う。
そして序盤にも触れておいたように、ビクターの記念モデルとしては当然のことだが、このモデルはその機能性だけではなく、イヤホンとして普通に音が良いこともポイントだ。音色に凛とした雰囲気があり、空間表現の広さもあってイヤホンとしては開放的な音という印象だ。
悠木碧さん「レゼトワール」では声の心地よいシャープさで女性ボーカルの清廉さを、Cornelius「いつか/どこか」ではギターのエッジや芯、ハイハットシンバルの金属質のキレなど特に好感触。そしてどちらも空間を広く使った曲だが、その広さの表現も文句なし。
相対性理論やペトロールズのバンドサウンドで楽器ごとのバランスを確認すると、ベースの存在感が実にほどよい。素直に適度に膨らみ、キレのよい高音に負けることなく主張するボリューム感。それでいてもったりしたりぼわんとしたりはしていない。クラブ系の重低音の再現性はもう少しほしい気はするが、バンドサウンドにおいてはちょうどよい低音の出し方だ。
なおもちろん、JVCお家芸の高音質技術「K2 TECHNOLOGY」も搭載。Bluetoothコーデックごとにパラメーターを自動変更するという、ポータブル向けの最新K2だ。オンにすると音の響きがほぐれつつも明瞭になる、自然で心地よい変化を得られる。
ただし残念ながら周囲音取り込みやノイズキャンセリングとの併用はできない。静かな室内でじっくり音楽を聴くときなど、ここぞというところでの利用がおすすめ。
今の主流であるBluetoothワイヤレス。磨き上げ続けてきたお家芸「K2 TECHNOLOGY」。新たな提案となる「マルチライブモニター」コンセプト。現在、伝統、未来。そのすべてを内包する見事な90周年記念モデルだ。