PR評論家・折原一也が魅力に迫る
ヤマハの最上位完全ワイヤレス「TW-E7B」登場! 担当者が語る開発秘話&音質レビュー
「TW-E7B」の音質と技術を徹底レビュー。こだわりの技術を再確認
ヤマハの最新完全ワイヤレスイヤホン「TW-E7B」を担当した北澤氏とのインタビューを通して、ヤマハが掲げた「TRUE SOUND」のコンセプトや技術、音質に込められた様々なこだわりが明らかになった。後段では、北澤氏の口から語られたTW-E7Bの特徴的なトピックを、「TW-E7B」を実際に聴きながら検証していこう。
実機を手に持ってみると、2つの正円をアイコニックに配置したデザインが特徴的で、市場にあるどの製品にも似つかない筐体であることに気づく。全4色のカラーバリエーションそれぞれの配色、そして表面の仕上げの美しさもポイントだ。
装着感については、インタビューで説明されたように、イヤホンのノズルを耳穴に挿入してから回転させることでピタリと固定する所がポイント。実際に身につけてみても、回転した際の耳への締り具合が絶妙で、極めてフィット感に優れている。
さて、それではサウンドをチェックしていこう。まずは「リスニングオプティマイザー」などの各機能を使わず、基本となるサウンドを聴くことにする。
Xperia 1IVをプレイヤーとして、aptX Adaptiveで試聴。そのサウンドは、ナチュラルかつ高解像度で情報量志向だ。
宇多田ヒカル「あなた」を聴くと、歌声はどこまでも優しく甘美に再現するし、ピアノの響きも伝える音色の生らしさ、空間スケールの大きさも抜群。YOASOBI「三原色」はイントロの楽器から極めて情報量豊富で、ギターの弾けるような躍動感が優秀。歌声は立ち過ぎず、音楽との対等なバランスを崩さない所もいい。BTS「Dynamite」でも男性ボーカルの歌声もフラットな情報量志向のサウンドで、重低音は唸るような深さと共に制動も精緻に働く。
総じて言えるのは、音源に対してすべての帯域を的確に再現する正統派の高音質を極めたサウンドバランスだということ。プレイヤーをiPhoneに変えてみても、ほぼ同じ音質傾向を味わうことができた。
「アドバンスドANC」、「リスニングオプティマイザー」、「リスニングケア(アドバンスド)」の働きは?
続いて、TW-E7Bに搭載された「アドバンスドANC」、「リスニングオプティマイザー」、「リスニングケア(アドバンスド)」を含めた音質を確認していこう。
まず「アドバンスドANC」から。内外にマイクを配置したハイブリッド式ANCの仕組みとした上で、ヤマハ独自開発のアルゴリズムによって再生音と外部の騒音を解析。再生音の音質への影響を最小限に抑えるアルゴリズムを組み込んでいる所にヤマハの独自性がある。
「アドバンスドANC」は、左イヤホンの機能キーを2回押し、又は「Headphone Control」アプリから設定可能だ。まず騒音下でアドバンスドANCの効果を体験してみると、周囲のノイズレベルが一段下がることを確認できる。その上で音楽を流して確認してみると、静かな場所でANCオフにして聴くのほとんど変わらず、クリアな音質が再現された。注意深く音質を聴き比べてみると、「アドバンスドANC」をオンにした方が中高域はシャープ。これがマイクで拾う周囲の騒音分を補う補正が働いている部分と言える。
筆者がTW-E7Bで最も独創的だと考える機能が「リスニングオプティマイザー」だ。こちらの機能も「Headphone Control」アプリからオン/オフを切り替えて音質比較が可能。なおリスニングオプティマイザーは、リファレンスにあたる参照サウンドと装着者の特性の差分を補正している。つまり、今回はあくまで装着者である筆者の耳の特性に対する補正効果であって、個人差が大きく現れる可能性がある事に注意してほしい。
さて実際にリスニングオプティマイザーのオン/オフを切り替えてみると、筆者の耳に対しては極めて微小な領域で効果が表れた。機能をオンすると、例えば女性ボーカルのアタックよりやや下の周波数帯域の音の情報量が出て、歌声がより存在感を増してくる。
また重低音は「リスニングオプティマイザー」オフの方がリズムを刻むダイナミズムが僅かに大きく、オンはよりバランス重視な印象。補正効果はアプリによるイコライザーの調整幅・バンドよりもさらに小さく、つまりイコライザーでは対応できないほど微細な部分を補正してくれる機能として有用だ。
最後に、ヤマハ独自の機能をさらに進化させた「リスニングケア(アドバンスド)」。弟分モデルTW-E5Bの「リスニングケア」の思想は、小音量では低音/高音が聴こえにくくなるという人間の耳の特性を補うものだったが、リスニングケア(アドバンスド)ではすべての音量に対して働き、また暗騒音(周囲の音)とのバランスに対しても働く機能へと発展。本機能も「Headphone Control」アプリからオン/オフを切り替えられる。
試してみて特に効果を感じたのは、やはり小音量リスニングでの聴こえ方。埋もれていた重低音に厚みが感じられるようになるし、低音の躍動感も大幅にアップ。高域を際立たせるようには感じられず、ドンシャリの傾向にはならない。
中音量以上のときには、歌声の、特に中域の存在感が増す。音量に応じてリアルタイムにバランスを最適化する効果なのだろう。なお、リスニングケア(アドバンスド)の効果量はリスニングオプティマイザーによる補正よりも大きいが、あくまで音のニュアンスが変わる程度にとどまっており、もちろん元々の音楽から逸脱するようなものではない。
「アドバンスドANC」、「リスニングオプティマイザー」、「リスニングケア(アドバンスド)」がTW-E7Bで果たしている音質面での役割は以上の通り。それぞれ他社にはないヤマハ独自開発の技術ばかりだ。
ただ、実際に個別に機能をオン/オフしつつ確認してわかったのは、これらはあくまで補正技術だということ。TW-E7Bが実現した高音質には、アコースティック設計、ドライバーユニット設計、そして素材選定まで自社で作り上げたことによるサウンド素性の良さが重要な役割を果たしているように思える。
完全ワイヤレスイヤホンという製品のなかで、ヤマハにしか出来ない独自技術を全方位に搭載した「TW-E7B」。「TRUE SOUND」思想のもと、楽器からイヤホンまで幅広く“音”を手掛けるヤマハでしか出来ないものづくりの集大成と呼べる製品だ。
(企画協力:ヤマハミュージックジャパン)