PRTrue Soundへの飽くなき情熱「700」を再定義した特別シリーズ
VGP2024 SUMMERで総合金賞を受賞! Bowers & Wilkins「700 Series Signature」徹底レビュー
英国を代表するスピーカーブランドBowers & Wilkinsのミドルクラスに位置付けられる700シリーズに、美しい特別仕上げに加えて音質向上の最新技術を導入したシグネチャーシリーズが登場した。VGPアワードで総合金賞に輝いたこの特別モデルの魅力を、審査委員長の大橋伸太郎氏が解説しよう。
Bowers & Wilkins 「700 Series Signature」(以下、700Sig)がVGP2024 SUMMERで総合金賞を受賞した。700Sigをベースの700 S3と比べたとき、外装色の変更が真っ先に目に入るが、内容面は新製品と考えていい。
ウーファーのダンパー(サスペンション)の変更、トゥイーター・オントップのグリルメッシュの開口率アップ、ネットワークのコンデンサー、コイルの変更等、隅々に改良が施され、その多くは上位機種「800 D4 Signature」で実証ずみである。
内覧会等の試聴を積み重ねての印象は、従来の700 S3シリーズはかつてのCMシリーズの系譜を感じさせ、音楽美の積極的な表出をうかがわせたが、700Sigは800シリーズの透徹した音質とスケール感にぐっと歩み寄っていることだった。
ホームシアター専門誌らしく本誌では5.1.4ch構成を組んで映画ソフトを再生してみよう。
壮大なアクション『ゴジラ-1.0』(ドルビーアトモス)から試聴スタート。グラウンドレベルのスピーカーが計5発ながら音場の見通しに優れ、明瞭度がひじょうに高い。微小レベルから大音量まで汚れや鈍さがなく清澄。混濁して隠れてしまう音情報がなく初めて気付く音が次々に現れる。これまで音塊だったものがさまざまな運動、方向性、表情の集合であることを伝える。
ゴジラの咆哮が一か所に固まらず生々しい生命感で視聴室の高みを移動していく。熱い息が生臭く匂ってくる。劇伴の再現はさすがに世界の一流スタジオで鍛えられたBowers & Wilkinsである。「わだつみ作戦」の伊福部サウンドが高潮し充満しても飽和・混濁しない。劇伴の雄渾さがドラマに力強い推進力と熱量を付加する。劇場的であると同時に音楽性豊かだ。
次に観たのが、サイコティックスリラー『TAR/ター』(ドルビーアトモス)。ケート・ブランシェット演じる女性指揮者がSNSの好餌となり、心の内圧に圧し潰されていくさまを描く。
700Sigは主人公の指揮するマーラー交響曲第5番第一楽章冒頭が楽曲本来の正しいバランスで鳴る。たいていのスピーカーがここで低音楽器の量感をそれらしく再現するが、700Sigは音楽の土台の低音が音塊でなく多彩な低音楽器の集合なのだ。
一方高域再生限界が高くトランペットのふくらみ、弦の倍音も目から鱗の再現力。主人公の自我(アイデンティティ、エゴ)の棲みついている聴衆のいないベルリン・フィルハーモニーザールの寒々と空漠な音場が、主人公のリディア・ターが人間性を失いかけていることを感取させる。
ターの執心する若いチェリスト・オルガのアパートに迷い込むシーンは、跫音が後方左から右へ次に右から左へ駈けていくが、背後音場の動きがこれだけ鮮明に生々しく聴こえることはまれ。センターバックがないのにかかわらず、だ。情報量がひじょうに多く、映画から多くの “気付き” を引き出すのは、メインの「702 S3 Signature」とリアの「705 S3 Signature」で全ユニットの位相が精密に統一され定位と動線の再現ににじみがないためだ。ピュアオーディオで問われるのは静的な解像力だが、700Sigはサラウンドソースでの動的な解像力にも優れるのである。
タイプを異にした映画の再生で700Sigの音色と響きの透徹と再生限界の高さが証明された。この点、上位の800シリーズの美点を受け継いでいるが、スタジオモニター出自の800シリーズが妥協と甘さを排したいい意味で厳しい音の半プロ機であるのに対し、700Sigはしなやかさと包容力を備えたスピーカーなので、ビギナーが使うシステムでも鳴らしやすいのが特長だ。しかも800 D4あるいは800 D4 Signatureで同様のシステムを組む場合よりはるかにリーズナブルなコストでこの音が手に入るのだ。VGP2024 SUMMER総合金賞受賞もけだし当然のことだろう。
(提供:ディーアンドエムホールディングス)
※本記事は『ホームシアターファイル2024 SUMMER』からの転載です。
上位機で実証済みの技術を余すことなく投入した
Bowers & Wilkins 「700 Series Signature」(以下、700Sig)がVGP2024 SUMMERで総合金賞を受賞した。700Sigをベースの700 S3と比べたとき、外装色の変更が真っ先に目に入るが、内容面は新製品と考えていい。
ウーファーのダンパー(サスペンション)の変更、トゥイーター・オントップのグリルメッシュの開口率アップ、ネットワークのコンデンサー、コイルの変更等、隅々に改良が施され、その多くは上位機種「800 D4 Signature」で実証ずみである。
内覧会等の試聴を積み重ねての印象は、従来の700 S3シリーズはかつてのCMシリーズの系譜を感じさせ、音楽美の積極的な表出をうかがわせたが、700Sigは800シリーズの透徹した音質とスケール感にぐっと歩み寄っていることだった。
飽和・混濁せず熱量を付加。低域の解像度も極めて高い
ホームシアター専門誌らしく本誌では5.1.4ch構成を組んで映画ソフトを再生してみよう。
壮大なアクション『ゴジラ-1.0』(ドルビーアトモス)から試聴スタート。グラウンドレベルのスピーカーが計5発ながら音場の見通しに優れ、明瞭度がひじょうに高い。微小レベルから大音量まで汚れや鈍さがなく清澄。混濁して隠れてしまう音情報がなく初めて気付く音が次々に現れる。これまで音塊だったものがさまざまな運動、方向性、表情の集合であることを伝える。
ゴジラの咆哮が一か所に固まらず生々しい生命感で視聴室の高みを移動していく。熱い息が生臭く匂ってくる。劇伴の再現はさすがに世界の一流スタジオで鍛えられたBowers & Wilkinsである。「わだつみ作戦」の伊福部サウンドが高潮し充満しても飽和・混濁しない。劇伴の雄渾さがドラマに力強い推進力と熱量を付加する。劇場的であると同時に音楽性豊かだ。
次に観たのが、サイコティックスリラー『TAR/ター』(ドルビーアトモス)。ケート・ブランシェット演じる女性指揮者がSNSの好餌となり、心の内圧に圧し潰されていくさまを描く。
700Sigは主人公の指揮するマーラー交響曲第5番第一楽章冒頭が楽曲本来の正しいバランスで鳴る。たいていのスピーカーがここで低音楽器の量感をそれらしく再現するが、700Sigは音楽の土台の低音が音塊でなく多彩な低音楽器の集合なのだ。
一方高域再生限界が高くトランペットのふくらみ、弦の倍音も目から鱗の再現力。主人公の自我(アイデンティティ、エゴ)の棲みついている聴衆のいないベルリン・フィルハーモニーザールの寒々と空漠な音場が、主人公のリディア・ターが人間性を失いかけていることを感取させる。
ターの執心する若いチェリスト・オルガのアパートに迷い込むシーンは、跫音が後方左から右へ次に右から左へ駈けていくが、背後音場の動きがこれだけ鮮明に生々しく聴こえることはまれ。センターバックがないのにかかわらず、だ。情報量がひじょうに多く、映画から多くの “気付き” を引き出すのは、メインの「702 S3 Signature」とリアの「705 S3 Signature」で全ユニットの位相が精密に統一され定位と動線の再現ににじみがないためだ。ピュアオーディオで問われるのは静的な解像力だが、700Sigはサラウンドソースでの動的な解像力にも優れるのである。
タイプを異にした映画の再生で700Sigの音色と響きの透徹と再生限界の高さが証明された。この点、上位の800シリーズの美点を受け継いでいるが、スタジオモニター出自の800シリーズが妥協と甘さを排したいい意味で厳しい音の半プロ機であるのに対し、700Sigはしなやかさと包容力を備えたスピーカーなので、ビギナーが使うシステムでも鳴らしやすいのが特長だ。しかも800 D4あるいは800 D4 Signatureで同様のシステムを組む場合よりはるかにリーズナブルなコストでこの音が手に入るのだ。VGP2024 SUMMER総合金賞受賞もけだし当然のことだろう。
(提供:ディーアンドエムホールディングス)
※本記事は『ホームシアターファイル2024 SUMMER』からの転載です。