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【特別企画】使いやすく高性能なニュータイプが新登場!

フルテックの6口電源ボックスの性能を徹底チェック。「太く盤石な再現力」を実現する

公開日 2024/08/29 06:30 生形三郎
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フルテックから使いやすいつくりの6口電源ボックス「GTO-D3 NCF(R)」が誕生した。4口タイプ「GTO-D2 NCF(R)」の姉妹モデルだが、実は、単に口数を増やしただけではない特徴がある。特殊素材NCFを調合したパーツなどで静電、制振、EMC対策などを実現。回路的なフィルターを用いない、本機ならではの特徴と魅力をアナログレコード再生で探った。

FURUTECH 電源ボックス「GTO-D3 NCF(R)」(価格:194,810円/税込・写真左)、電源ケーブル「Powerflux-C15 NCF-18」(価格:389,620円/1.8m/税込・写真右)

高評価の使いやすいモデルが口数を増やして強化された



フルテックから、6口電源ボックス「GTO-D3 NCF(R)」が新登場した。外観からも分かる通り、昨年発売された4口タイプ「GTO-D2 NCF(R)」の姉妹モデルとなるものだ。

しかしながらその内容は、単に筐体サイズが大きくなって搭載コンセントの数が2つから3つへと変更されただけではない。D2では「FI-06 NCF(R)」であったIECインレット端子が、D3では同社フラグシップの「FI-09NCF(R)」へとアップグレードされているのだ。

マルチマテリアルハイブリッド構造の内部模式図。フルテックの電磁波吸収材GC-303を本体底部に設置し、外来ノイズを効果的に吸収。筐体にコンセントを固定するベース部は、アルミニウムCNC加工に非共振コーティングを施した、特別グレードの高性能GTX Wall Plateを採用。内部配線は、全てのコンセントに独立配線

このインレット端子は、フラッグシップ電源ボックス「e-TP609 NCF」にも採用されているモデルで、ケーブル導体をかしめるワイヤークランプのプレート部が、従来品よりも接触面積を増大させた特殊構造を採るもの。

その他の特徴である、肉厚なアルミ材を用いた台形形状の筐体、底面に配された電磁波吸収体の「Formula GC-303」、同社最新のアウトレットカバー「106-D Plus NCF」、コンセントシャーシ「GTX Wall Plate」やGTOシリーズ専用NCFグレードコンセント、そして、α(アルファ)μ-OFC導体による内部配線等は共通している。しかし実際にD2とD3を聴き比べてみると、明確な違いがあって興味深い。

電源ケーブルには最高峰のスリムタイプを起用して聴く



今回、電源ボックスを試聴するにあたって、まずは昨年発売された同社のフラグシップの電源ケーブル「Powerflux-C15 NCF-18」を改めて試聴した。スリムタイプの最高峰IECコネクターを採用するケーブルである。プリアンプとアナログプレーヤー、そしてフォノイコライザーに電源供給していた電源ボックスの電源ケーブルへと使用してみる。

全体に静けさが増して音が締まり、音に明確な芯と輪郭が現れる。同時に、中低域には程よい厚みがもたらされ、楽器の音色にフルーティな甘みや艶感が引き出される。ノイズ感が減り、音像は鮮明さを増して弱音の立ち上がりや持続する余韻の脈動がクリアに冴えるのだが、例えばピアノの演奏にはマルカート(一音一音をハッキリと奏する、という楽語)さが現れるとともに、音色がほのかに円やか味を帯びて、冴えた中にも優美な質感が生まれる。

同じくオーケストラも、空間の奥行きが増してステージの輪郭がクリアになりながらも、弦楽セクションの擦弦にはワックスの艶や粘り感が増して、スムーズかつ密度のあるサウンドへと変化する。まるで、濃厚ながらも後味爽やかなフルボディワインのような飲み口を堪能した。

静寂かつ明解で実体感を高め、太く盤石な再現力も増す



「Powerflux-C15NCF-18」の魅力を再確認したところで、電源ケーブルはそのままで、いよいよ電源ボックスを「GTO-D3 NCF(R)」に入れ替えて試聴する。入れ替えた途端、体感音圧に全くと言っていいほどに違いが生まれた。

アウトレットカバー部はフラッグシップの「106-D Plus NCF」。EMC対策とNCFによる静電効果、NCFカーボンファイバーシート+ NCF調合特殊ダンピング塗装材料による制振効果の組み合わせで、ノイズを抑え、静寂感を高める

どっしりとしていて逞しく、そして、奥行き方向に居並ぶオーケストラの楽器の数々もくっきりと浮かび上がる視界の良さなのだ。静寂の奥から音楽が立ち上がってくる印象で、音色の透明感も大きく向上している。

楽器の配置描写はもちろんのこと、音が出る前の奏者の構えやブレスなどに起因しているであろう、微かな暗騒音までがくっきりと浮き上がり、アナログ再生のクオリティが確実に高まっていることを実感できる。

ソロ・ピアノ音源でも、ノイズフロアが下がって同じく微かな音情報までが掘り起こされ、サスティンペダルを踏み込んでダンパーが動いた際のゴクッとした動作音が確かな存在感を得て、演奏者の気配や実体感をより一層高めている。

音の太さや盤石さが増して、強靭な打鍵のアタックも、クリアながらも決して鋭角的にならない点が実に快い。多数のソースを聴いてみたが、全般的に静けさが増して、音像に明解さとふくよかな存在感がもたらされ、音楽再生の濃度が高まる印象だ。

精彩さやエネルギー感でグレードの高まりを実感した



最後に、参考までに「GTO-D2 NCF(R)」と比較してみると、D3ではディテール表現の精彩さやエネルギー感が高まっており、冒頭に触れたように、見た目は似ていながらも、単にコンセントが増えただけではない、インレットのグレードアップや筐体サイズの拡大によるであろう音質グレードの違いを体感することができた。

IECインレット部の比較。左は「GTO-D2 NCF(R)」で「FI-06 NCF(R)」を使用。右は「GTO-D3 NCF(R)」で、最高級オーディオグレードの「FI-09NCF(R)」を使用している

今回の接続では、プリアンプとプレーヤーとフォノEQで3口の電源が必要であったため、D3では各コンセントから1口ずつ供給できたのに対し、D2では一方のコンセントは同時に2口の電源を供給するという違いがあったものの、やはり、その接続性も含めて音のグレードの高さを実感した次第だ。

「GTO-D3 NCF(R)」は、音の静けさや明解さとともに、太く盤石な再現力を確保したいユーザーにうってつけの電源ボックスなのである。


【GTO-D3 NCF(R)】●筐体:特製CNC加工特殊グレードアルミシャーシ+特殊フルオロポリマー製ダンピングフォイル(RFI防止)●IECインレット:「FI-09 NCF(R)」(非磁性ロジウムメッキ、α純銅ロジウムメッキ導体、特殊な「NCF」共振減衰材料を使用したナイロン/グラスファイバー)●アウトレットコンセント:GTOシリーズ専用特殊NCFグレードコンセント(非磁性リン青銅素材ロジウムメッキブレード仕様)●アウトレットカバー:「106-D Plus NCF」●内部配線:高純度μ-OFC Alpha-22(3.8sq mm)導体+2層フッ素ポリマーとポリエチレン絶縁体●サイズ:約108.5W×77H×410Dmm(スパイク部除く)●質量(ネット):約3.1kg
【Powerflux-C15 NCF-18】●接続端子部(カーボンファイバーNCF仕様、接点は非磁性ロジウムメッキ):プラグ「FI-50M NCF(R)」、IECコネクター「CF-C15 NCF(R)」(スリムタイプ)●ケーブル素材:α-導体(OCC素材)の高密度導体●絶縁材:カーボンパウダー調合の高機能PVCを用いた2重シース構造●ケーブル直径:約17.5mm●定格:15A 125V
(協力:フルテック)

本記事は『アナログ84号』からの転載です。

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