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新11シリーズのプリメインアンプ

デノン「PMA-SX11」開発者が語る - シンプル&ストレート設計は全て正確な増幅のため

公開日 2015/12/14 10:24 構成:編集部 小澤貴信
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CR型フォノイコライザー搭載によって次元の違うレコード再生が楽しめる

−− アナログのお話がでましたが、PMA-SX11には旗艦モデルと同様にCR型フォノイコライザーが搭載されました。

新井氏 はい。PMA-SX1に採用されたCRフォノイコライザーをほぼそのままに継承しています。30〜40万円という価格帯には国内ブランドだけでも様々な製品がありますが、その中でもCR型フォノイコライザーの搭載はアピールポイントになると思います。この価格帯で、ここまでレコード再生にこだわったアンプはないでしょう。デジタルソースしか聴かない方にとっては、あまりにもフォノイコライザーにコストが振られていると言えるかもしれませんが(笑)。同じレベルのフォノイコライザーを単体で買おうと思ったら、それだけで20万円はしてしまうと思います。

CR型フォノイコライザーを含むアナログ入力基板

−− これは他のアンプにはない大きな強みですよね。

昔集めたレコードを引っ張り出して聴きたいという方にはぜひお薦めしたいです。私自身、開発途上で、PMA-SX11で昔のレコードを聴き直して、「こんな良い音だったっのか」と感じることが何度もありました。

−− PMA-SX1と“ほぼ同じ”CR型フォノイコライザーとのことですが、それではちがいはどのような部分なのでしょうか。

新井氏 回路構成はまったく同じです。異なる点を挙げるとすれば、PMA-SX1とPMA-SX11では内部の電源電圧が一部違うので、ヘッドアンプの電源電圧も若干異なっています。それからアンプがバランスかアンバランスかによってフォノイコライザーの出力を受ける後段回路の入力インピーダンスも変わりますので、それぞれに合わせたカップリングコンデンサーの定数を使っています。

新井氏はCR型フォノイコライザーの優位性を改めて説明してくれた

−− CR型フォノイコライザーが、一般的なフォノイコライザーに比べて優れている点はどのような点でしょうか。

新井氏 NFBループの中にRIAA素子を入れて周波数特性を補正する一般的なNF型のイコライザーと異なり、CR型フォノイコライザーは高音から低音までフラットな周波数特性で増幅を行います。またCR型では、2つのアンプの間にはコンデンサーと抵抗という受動素子のみが配置され、ここで周波数の補正を行います。こうした特徴のために音が非常に素直で、かつ伸びやかです。聴感上のレンジが広いことも長所と言えます。もしスクラッチ音がなかったら、レコードを聴いているとわからないかもしれないような、かなりすっきりした音で、いわゆる“レコード的な音”を想像するとかえって戸惑うかもしれません。

−− まさに「アナログは究極のハイレゾである」ことを体現するフォノイコライザーであるわけですね。

新井氏 ハイレゾも突き詰めれば、階段状のものをより滑らかにしてアナログ状にしていくことで、いくつく先は一緒です。

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