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【Top Interview】popIn代表取締役社長・程 涛氏

「ポップイン アラジン」3年で16万台出荷の快進撃。大切なのは「利用シーンを思い描き、共感できる価値の提案」

公開日 2021/12/09 07:00 PHILE WEB ビジネス編集部・竹内純
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プロジェクター、Bluetoothスピーカー、シーリングライトを一体化する斬新なコンセプトで大きな衝撃を与えた「popIn Aladdin(ポップイン アラジン)」。プロジェクターの概念を一新、大画面の感動を一気に身近に引き寄せた2018年11月のデビューから丸3年が経過した。

設置は工事が不要で天井の引掛けシーリングに取り付けるだけと至って簡単。テレビでは実現できないプロジェクターの特長を活かす専用コンテンツにも力を注ぎ、今夏にスタートした「おうちde思い出プロジェクト」が大きな話題を集める。新コンセプトの据置型プロジェクター「Aladdin Vase」の発売も間近に控えたpopIn代表取締役社長・程涛氏に話を聞く。


popIn株式会社
代表取締役社長
程 涛


プロフィール/てい とう。1982年、中国・河南省生まれ。ソニーの大ファンだったこともあり、日本への留学を決めカバンひとつで来日。アルバイトをしながら語学専門学校で日本語を学び、東京工業大学に入学。同大学を卒業後、東京大学大学院情報理工学系研究科創造情報学専攻に進学。在学時に大企業の技術者がメンターとなって創造的技術者を育成するプログラム「実践工房」を通し、ウェブ記事の単語を選択すると、関連する言葉の意味を検索して閲覧中のページから離脱せずにページ内で表示できる「popIn(ポップイン)」という新しいサービスを発明して特許を取得する。

2008年、修士在学中に東大のベンチャー向け投資ファンド「東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)」の制度を利用して「popIn」を創業。2015年、中国の検索エンジン大手「百度(Baidu)」の日本法人バイドゥ株式会社と経営統合。2017年にはハードウェア業界に参入し、世界初のプロジェクター、Bluetoothスピーカー、シーリングライトを一体化した「ポップイン アラジン」を開発する。2018年にクラウドファンディングで投資額1億円を達成し、11月より一般販売をスタート。翌2019年の年間販売台数は3万台超え。2020年5月に発表した「ポップイン アラジン 2」は予約販売だけで1万台を上回り、シリーズ累計販売台数16万台(2021年11月現在)を突破する異例のヒット商品となっている。


■当初は分離型にするアイデアも

―― プロジェクターの世界への入り口を大きく拡げた「ポップイン アラジン」が累計出荷台数16万台と快進撃が続いています。クラウドファンディングから今日に至るまで、改めて、今だから明かせる裏話や思い出に残る出来事など振り返っていただけますか。

 会社としてハードウェア事業の経験は一切なく、作ることも売ることもイチからのスタートでした。そのため、製品デザインの3Dイメージが発注先から送られてきて、「これは悪くないぞ」と思ったのも束の間、その後、実際に出来上がった試作品を現場で見たときには愕然として泣きそうになりました。似ても似つかぬ見た目で、取り付けも男性3人がかりです。2人が抑え合うようにする下で、もう1人が支えていないとできないのです。

実は当初、ご家庭にある既存のシーリングライトも活用できるようにと、プロジェクター部分だけでも単独で使える仕様を考えていました。そのアイデアのために構造がどうしても複雑な仕組みにならざるを得なかったことがおおきな理由でした。

左が初代ポップイン アラジン。右が程社長の愕然とした試作機。

「このままでは売れない」と判断し、今のシンプルなコンセプトに舵を切り、完全にやり直しました。約4,000万円の資金が泡と消え、クラウドファンディングの出荷も当初予定していた2018年7月から9月21日へと延期となりましたが、ポップイン アラジン誕生への大きな決断となりました。

現在、発売する「ポップイン アラジン 2」への進化も決して平坦な道程ではありませんでした。2018年11月のポップイン アラジン(初代)の一般発売以来、ユーザーの皆様からフィードバックされた声から見えてきたのは、より短焦点なプロジェクターが求められていること。そこで、梁があったり、窓があったり、ドアがあったり、それこそ百人百様の設置環境で、誰もが最低でも60インチの大画面を楽しめるように、新たなレンズの仕様を割り出したのですが、既存品には存在せず、特注しなければなりませんでした。

しかも、数十万円以上するプロジェクターに搭載するようなレンズで、それを10万円以下の商品に搭載しようと考えたのです。台湾、中国、日本の三社に見積もりを出し、最終的に日本のレンズメーカーに依頼するのですが、総額で1億円以上かかることが判明しました。

初代モデルが大ヒットしたと言っても4万台です。1億円の純投資はかなり大きな額、しかもレンズだけでの金額です。グループ会社への予算申請も1回目は却下されました。しかし、このレンズがないと“次”は成り立たない。上司とグループ会社本社がある北京まで飛んで行き、会長に直訴しました。喧嘩も同然でクビも覚悟をしましたが、無事に予算の承認が降り、新しいレンズを実現することができました。これがなければポップイン アラジン 2が陽の目を見なかったどころか、ポップインの事業そのものが終わっていたと思います。

―― プロジェクターという世界にどれくらいの潜在需要があるのか。「売れるぞ!」という自信はあったのですか。

 心のなかでは成功できる強い気持ちはありましたが、初代機からは値上げにもなっていますし、どれくらい売れるかは正直読めませんでした。さらに、追い打ちをかけるように新型コロナの感染状況が悪化し、予定していた発表会は緊急事態宣言下になりました。ここまでリソースをかけて力を込めた商品です。発表会やテレビCM用に商品撮影も綿密にプラニングしていましたが、お願いしていた会社がコロナで身動きがとれずに中止とせざるを得ませんでした。

各社で予定されていた新商品の発表会も相次いで見送られていたことから、反対に注目を集められるのではないかと、発表会は予定通り行うことを決断しました。しかし、商品を説明するにあたりお見せできる素材はCGが1点と自分たちで撮影した写真が1点だけ。

この窮地をどう切り抜けるか。考え抜いた末にひらめいたのは、“どんな間取りでもフィットして大画面を実現できる”ポップイン アラジン 2の最大の特長を伝えるため、携わっていたすべてのメンバーが、設置事例となる自分の部屋の間取り図を起こし、撮影をしてお伝えすることでした。このアイデアが奏功し、なんと発表会当日に1日で最多となる3,000台の販売を記録しました。

新開発の短焦点レンズを搭載して進化した「ポップイン アラジン 2」。多彩な利用シーンで大画面をより身近にした。

新製品を出すときにはワクワクする気持ちでいっぱいになりますが、度重なるプレッシャーで感情コントロールもむずかしく、ポップイン アラジン 2発表会のプレゼンの収録では言葉がまったく出ず、1週間後に撮り直しとなるほどでした。もともとよくしゃべる方だと思っていたので信じられませんでしたね(笑)。しかし、意を決して行ったこの発表会を機に状況が一変。当時は “おうち時間”という言葉もまだありませんでしたが、おうち時間が増えたことも好影響をもたらしたことは間違いありません。

■共感を呼ぶ「おうちde思い出プロジェクト」

―― ポップイン アラジンは、オリジナルのキッズ向けコンテンツを提供されるなど、ハードウェアにとどまらない取り組みが大きな特長のひとつです。なかでも今夏にスタートした「おうちde思い出プロジェクト」は、花火大会のイベントに1万3,000世帯が参加されるなど、ポップイン アラジンがライフスタイルに密着した存在であることを証明しました。

 プロジェクター専用のコンテンツはこれまでほぼありません。テレビとの大きな違いは“枠”がないこと。例えば、壁に浮いているような表現も可能です。そうしたアプリ開発に当初から力を入れました。

「こんなことを実現したい」というアイデアを次々に実現していくなか、次のステージへステップアップするには何が必要かを考えたときに、そもそも自分が子どものために実現したポップイン アラジンで求めていたのは「子どもとの思い出」であることに気づきました。ディズニーランドへ行ったり、レストランへ食事に行ったり、思い出にはスペシャル感や刺激が重要なため、もっともリラックスできる場所であるお家は思い出になりにくい場所と言えます。しかし、コロナ禍のお家時間に何か思い出作りができないかと考えました。

花火大会のコンテンツはたまたま調達できたもので、普通なら自由に見てくださいとアップして終わりです。しかしそれでは思い出にならない。共感する時間や場所が欠けているからです。“いつでも見られる”“見放題”のサブスクは確かに便利ですが、マイナス面もあります。人は制限されることで集中力が高まり、希少性を意識します。すなわち、無制限に供給される見放題は“ありがたみ”に欠け、思い出には残りにくいのです。

花火大会で人々が感動するのも時間や空間が制限されているからです。そこで8月21日(土)20:00から20:40頃までと日時を決め、その時間にしか見られないコンテンツとして提供しました。これが「おうちde思い出プロジェクト」の初の試みとなります。

「おうちde思い出プロジェクト」の第1弾となった「おうち花火大会」にはポップイン アラジンユーザー1万3000世帯が参加した。

中止となり諦めていた花火大会が体験できる。しかも特等席です。ツイッターやインスタグラムにも「感動して涙が出た」「思わず泣いてしまった」など数多くのコメントがあがり、企画した私たちも本当にうれしくなりました。

最後に私たちからお客様へ、コロナ禍のネガティブななかで勇気と未来と将来への可能性をお伝えできればとメッセージをお届けしました。私がつくったメッセージをさらにメンバーが一文字一文字見直し、10回以上も書き直してできあがったものです。私たちの素直な気持ちがユーザーの皆さんに共感いただけたのではないかと思います。

参加したユーザーから共感を集めた“おうちde思い出”への思いを綴ったpopInからのメッセージ。

―― 「おうちde思い出プロジェクト」はこの後も、「おうちサファリツアー」「おうちゲーム大会」「おうち鑑賞会 アートアクアリウム篇」「おうちARインテリア」「おうちフィットネス」などさまざまな企画を連打されています。今後どんな企画を計画されていらっしゃいますか。

 12月には「おうちツアー」では皆さんをハワイにお連れします。私個人の希望としてはカナダやアラスカへオーロラも見に行きたい(笑)。

実はメンバーそれぞれが見たいことや実現したいことを企画化しているのが「おうちde思い出プロジェクト」のユニークなポイントでもあります。最高のマーケティングとは、実は緻密に計算されたものではなく、心の中に思っていることを素直にカタチにしたものではないでしょうか。

また、アーティストのスペシャルライブの話も進めています。リアルでは実現不可能な皆が最前列で見られるライブです。年内に実現できるかもしれません。

■ベッドルームを彩るとっておきの魔法「Aladdin Vase」

―― ハードウェアの進化も見逃せませんね。ポップイン アラジンで「こんなこともできたらいいのに」という要望を、「Aladdin Remoless」「Aladdin Connector」「Xit AirBox」と次々に叶えてきました。

 すべてがユーザーのニーズであり、実は私自身のニーズでもあります。ポップイン アラジンは起動すればスマホでも操作ができますが、起動はリモコンのみ。うちでは子どもがよくリモコンを無くすものですから、リモコンがなくても起動できるようにしたかった(笑)。リモコンがみつからずに日頃ストレスを感じている人は少なくないはずです。それをスマート音声リモコン「Aladdin Remoless」が解決します。

ポップイン アラジンシリーズのプロジェクターとライトのオン/オフなどを音声で操作できる音声リモコン「Aladdin Remoless」。

当初からの悩みだった拡張性を解決するのが「Aladdin Connector」です。ポップイン アラジンは天井に設置されているため、HDMIケーブルをつなぐことは非現実的です。しかし、約1万人のユーザーに行ったアンケートから、6割が挙げたトップの「ゲーム機」や「BDレコーダー」など拡張性への要望は高く、HDMIの信号をワイヤレスのHDMI信号に、それをさらにWi-Fi信号に変換するAladdin Connectorを開発し、この問題をクリアしました。同時に購入される方も大変多い人気商品になっています。

Wi-Fi経由でポップイン アラジンシリーズにHDMIを接続できる「Aladdin Connector」。配線の心配なくゲーム機やDVD/ブルーレイレコーダー等の機器が楽しめる。

「Xit AirBox」は提携先のピクセラ社の商品となります。プロジェクターにおける最高のテレビ体験を目指したもので、ポップイン アラジンの電源を入れるとテレビモードが立ち上がり、テレビと同じように使うことができるようになります。さきほどの「Aladdin Remoless」を使えば、音声でチャンネルを切り替えたり、音量を調整したりすることもでき、プロジェクターによるテレビのベストな体験を実現します。

テレビ視聴に推奨する「Xit AirBox」。ユーザーの50%がポップイン アラジン経由でテレビ番組を視聴している。

―― そして、間もなく登場するのが新コンセプトの据置型プロジェクター「Aladdin Vase」ですね。

 プロジェクターで一番困ることは、場所をとること。解決するひとつの答えがポップイン アラジンですが、邪魔にならないもうひとつの方法は小型にすること。実際に数多くのコンパクトな商品がすでに発売されていますが、どれも黒を中心とした色やデザインがインテリアにどうしても馴染みません。そこで私たちは、プロジェクターの存在そのものを喜びに変えられないかと考えました。インテリアに馴染む、溶け込むという言葉がよく使われますが、私たちが目指したのはインテリアそのものにすること。置いておくだけで成立するデザインです。

「Aladdin Vase」はプロジェクターとしてはもちろん、スマートライトとして、音楽に合わせて光を演出するサウンドモード、光のリズムに合わせて呼吸することで入眠効果を促すスリープモードなど、気分やシチュエーションに合わせた5つのモードの光が空間を美しく彩る。

もちろん、きわめてむずかしいテーマであることは言うまでもありません。ポップイン アラジンでアドバイザーとしてお世話になるITジャーナリストの林信行さんに相談すると「プロダクトデザイナーとしては一人しか思い浮かばない」と柴田文江さんをご推薦いただきました。2018年からグッドデザイン賞の審査委員長も務められている方で、ホームページで作品を拝見して、一にも二にもお願いしたいとご連絡すると、こころよく引き受けていただきました。

驚いたのは、普通ならA案・B案・C案、色もいくつか用意して提案されるケースが多いと思いますが、柴田さんから示されたのはデザインも色も1案のみ。モチーフは花瓶でした。僕はランプやランタンを想像していたのですが、花瓶は縄文時代から何千年にもわたり、家に常に存在するインテリアです。本当に凄いと唸らされました。

しかし、正直なところ迷ったのはカラーリングです。非常に好きな色ではあるのですが、家電製品ではこれまで見たことがない。「強烈過ぎないか」というのが第一印象でした。

プロダクトデザイナーの柴田文江が表した「Aladdin Vase」のイメージイラスト。

そこでモックアップをつくって、家でベッドの隣に置いて1週間くらい一緒に生活してみました。すると、朝起きると自然に触りたくなるんです。ペットのように滅茶苦茶かわいくて。カラーリングも見れば見るほど好きになり、「絶対にこの色だ!」と理解できました。暖色系のインテリアにも寒色系のインテリアにも合う。ちなみにチームのみんなに見せたときの第一印象は僕と同じでした。

端子はすべて無くしました。本体にはスイッチのみ。内部のレンズを上下に動かして調整できるなどポップイン アラジンの技術を生かしています。立てられるデザインにしたリモコンもポイントです。これならば使い終わったら自然に隣に立てて置きたくなるので、なくす心配もありません。

ポップイン アラジンが欲しいけど、ダウンライトで引掛けシーリングがないので付けられないという方に、新しい選択肢として提案します。女性やインテリア好きの方に特に受けるのではないでしょうか。ポップイン アラジンは昼間でも見られますが、こちらは暗い環境推奨なので、ベッドルームでの利用を中心に想定しています。

360度どこから見ても美しいオブジェのような佇まいに、先進の映像テクノロジーを内包したスマートライト型プロジェクター「Aladdin Vase(アラジン ベース)」。

―― 既存モデルとは補完関係にあり、ポップインの世界をさらに幅広くご提供できる商品ですね。ご注文の状況はいかがですか。

 本来ならいろいろな店舗に展示し、実際に手に取って見てもらう予定だったのですが、開発やチップセットの調達の影響から少し遅れています。どこにも実機の展示がないなか、ホームページの写真と説明だけで数万円もする商品を注文されるのは相当な勇気が必要ではないかと想像しますが、それでも2,000台超と当初の計画通りに推移しています。発売は来年1月上旬予定ですが、先行予約された方には是が非でもクリスマスまでにはお届けしようと日々奮闘しています。

■シリーズ累計16万台突破の快進撃

―― シリーズ累計出荷台数が16万台を突破しました。昨夏のインタビュー時が約5万5,000台ですが、コロナ禍のこの1年余りの進捗をどのように捉えていらっしゃいますか。

 予想からは少し下回っています。その要因のひとつがチップセットの問題で、特にテレビチューナーは半年待ちとより厳しい状況にあり、テレビ番組を見ることも重視されるお客様が二の足を踏むのも止むをえないと思います。しかし、あくまで外部環境の影響であり、チームとしては出来得る限りのことはやりつくしましたので満足しています。

―― 「おうちde思い出プロジェクト」「Aladdin Vase」など、テレビには表現できなかったプロジェクターならではの可能性を次々に提案されています。今後のチャレンジについてお聞かせください。

 「メタバース」という言葉をよく耳にしますが、リアルの世界で表現できるものがまだまだあります。例えば、キッズ向けのオリジナルコンテンツ「等身大動物図鑑」が人気を集めていますが、もっといろいろなものを等身大で表現できるはずです。商品もそのひとつ。ARライクな表現により、テレビショッピングでもより確信を持って購入を決断できるようになると思います。

また、テレビショッピングは売り手からの一方通行ですが、「おうちde思い出プロジェクト」のサファリツアーでは、現地のツアーインストラクターとやり取りができるインタラクティブな仕組みを開発して取り入れており、ライブコマースに近い体験を提供することも可能です。実現できたら面白いですよ。

教育現場での活用も当初より見越していて、デジタルツールを使って子どものクリエイティビティをどのように育めるか、東京大学と共同で研究を行っています。

実際にポップイン アラジンを都内の子ども園で使用していただき、「今日の先生の服はどんな生地?」と顕微鏡を使って拡大して覗いてみたり、都内ではなかなか見られない七夕の夜空の天の川を映し出して、そこにさらに子どもたちが作った願いごとの短冊を写し出してみたり、子どもの好奇心や世界観をより広げる提案にチャレンジしています。すでに、普段はあまり会話をしない子どもが自ら会話をするきっかけになったなどの研究成果が報告されています。もっと明るい環境でも使用できる教育向け専用バージョンも検討の余地がありそうです。

BtoBでは入居してすぐにポップイン アラジンの大画面生活が手に入れられる賃貸物件への導入をデベロッパーとも協力して進めています。

デジタルメディアをどのように活用することが、子どもの表現力や探究心を促すのか。こども園に「ポップイン アラジン」を導入した検証を東京大学と共同で進めている。

テクノロジーの進化はもちろん大事です。と同時に私たちが得意としているのは、思い描く利用シーンから逆算して、どんなテクノロジーを提供すればそれが実現できるか、そのテクノロジーを開発することです。両方の視点を持ち、「これは絶対に使いたい」と思いたくなるレベルにまで高めたものを提供できれば、いい結果に結びつくと確信しています。

―― ライフスタイルにいかに寄り添えるかがますます重要になりますね。

 他のメーカーに少しでもいい刺激を与えられたらいいですね。依然、オーバースペックの商品が多過ぎます。それは、なんのために使うのか、どのように使うのか、利用シーンが明確に見通せていないからではないでしょうか。ハードウェア事業を手掛けて強く感じたのは、ハードウェアとソフトウェアが一貫性を持つことがとても重要だということ。重視すべきは利用シーンであり、スペックはあくまでその中のひとつの属性に過ぎません。

「Aladdin Vase」のモックアップをつくり、家でベッドの隣に置いて生活した程社長は「朝起きると自然に触りたくなるんです。ペットのように滅茶苦茶かわいい。カラーリングも見れば見るほど好きになり“絶対にこの色だ!”と理解できました」と訴える。

プロジェクターはまだまだ小さな市場ですが、テレビに匹敵する年間数百万台のスケールも不可能ではないと思います。ただし“今のプロジェクター”のままでは無理。テレビという体験は非常に素晴らしく、明るさや鮮明さでは到底太刀打ちできません。しかし、プロジェクターならではの表現があります。実際にその体験を手に入れるため、「同じ10万円ならポップイン アラジンを選ぼう」というお客様がいらっしゃいます。

過去の資産は場合によっては邪魔になることがありますが、私たちはその縛りが薄く、常にベストアンサーとは何かを追求できます。さまざまな試行プロセスを経て出した答えが万が一に間違っていたとしても、そのときはお客様が正解を教えてくださいますから、修正すればいいのです。ポップイン アラジンの一挙手一投足にどうぞご期待ください。

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