VGP2024 SUMMER 受賞:日本ビジネス開発 矢野雅也氏
【インタビュー】JMGOが革新的な光学技術とデザインで実現する本当に“スマート”なプロジェクター
VGP2024 SUMMER
受賞インタビュー:日本ビジネス開発
JMGOのスマートプロジェクター「N1S Ultra 4K」「N1S」が、アワード「VGP2024 SUMMER」にて、「ホームビジュアル大賞」を受賞した。画期的なデザイン「ジンバルスタンド一体型」で脚光を浴びるなど、プロジェクターの技術革新にどん欲な姿勢を見せる「JMGO」ブランド。さらなる躍進へと腕を鳴らす日本ビジネス開発・矢野雅也社長に話を聞く。
株式会社日本ビジネス開発
代表取締役社長
矢野雅也氏
プロフィール/1978年1月30日生まれ。群馬県出身。大学卒業後、通信サービス代理店業界での経験を経て、2017年5月、株式会社ベルパーク在籍中に社内ベンチャーとして株式会社ビーラボを設立、代表取締役社長に就任。2023年1月、株式会社日本ビジネス開発との合併により、同社代表取締役社長に就任し、現在に至る。
―― JMGOのスマートプロジェクター「N1S Ultra 4K」「N1S」がVGP2024 SUMMERで「ホームビジュアル大賞」を受賞されました。おめでとうございます。まずは、御社とスマートプロジェクターとの関わりからお話をいただけますでしょうか。
矢野 新しいテクノロジーを使用して、これまでになかった体験や日々の悩みを解決できる製品を日本でもっと流通させていきたいという想いから、2017年に事業をスタートしています。生活を豊かにするガジェットやIoT製品を集めたECサイト「Glimpse(グリンプス)」を立ち上げ、色々な製品やサービスを日本に紹介してきました。
そのようななかで初めてスマートプロジェクターを取り扱ったのが、2020年より日本での展開を開始したXGIMI社のプロジェクターです。約3年にわたり日本におけるXGIMIのディストリビューターとして活動し、その経験をもとに満を持して、2023年にJMGOを日本で本格的にローンチしたという流れになります。
―― なぜJMGOを選ばれたのでしょう。
矢野 色々なメーカーの製品を調べてみたなかで、プロジェクターの技術革新に対して一番貪欲なのがJMGOでした。スマートプロジェクターというカテゴリーの黎明期にそのパイオニアとして、光学技術の研究、開発、製品の製造に取り組んできた2011年設立の革新的なメーカーです。
特にN1シリーズは、採用するモジュールがアカデミー科学技術賞を受賞(※日亜化学工業株式会社のシネマ用レーザープロジェクションシステム向けレーザーダイオードの開発に対して)、また、グッドデザイン賞も受賞するなど、技術面からもデザイン面からも高い評価をいただいています。
―― VGPでも2023 SUMMER、2024と2期連続で、「N1 Ultra」をはじめとする“N1シリーズ”が企画賞や金賞の各賞を連続受賞しています。“次”のモデルへの期待とハードルも高かったのではないでしょうか。
矢野 今回、「ホームビジュアル大賞」および「金賞」をいただくことができた“N1Sシリーズ”は、JMGO社でも水銀ランプ、LED、3色ではありませんがレーザー光源と、いろいろな光源のプロジェクターの開発を手掛けるなか、よりよい視聴体験をお客様にお届けするには、3色レーザーが今後一番有効であるとの結論に至ったことが開発のきっかけです。
3 色レーザーが備えるメリットは、「超高色域」「超高コントラスト」「超高色精度」であること。N1Sシリーズでは、JMGOが新たに独自開発した3色レーザー光学エンジン「MALCエンジン」を搭載することで、3色レーザーならではのこの3つメリットを最大限に生かしながら、スペックルノイズや色ムラを高いレベルで低減しています。
さらに、明るさも大きなセールスポイントで、特にN1S Ultra 4Kでは3,000ルーメン(ANSI)を実現しています。レーザー光源の色が鮮やかさという特長も相俟って、暗くしなくても、例えば日中の明るい環境でも、ハイレベルな映像を楽しむことを可能としました。
使用するたびに部屋を暗くしなければならないのはやはり手間ですし、使える時間帯やシーンに制限されることなく、楽しみたい場所で自由に使えるようにするためには、明るさが非常に重要なポイントとなります。
―― 代名詞とも言えるのが、使い勝手に革命をもたらしたとも言える「ジンバルスタンド一体型」という独自のスタイルですね。
矢野 これまでにいろいろなスマートプロジェクターが発売されていますが、どうしても解消できなかった課題が“設置性”です。天井や壁に取り付けるのか、あるいはスタンドを使用するのか、いずれにしても何かしらプラスαの器具を必要としました。また、最適な投影角度を見つけるために、本や段ボール箱を置いて高さや角度を調整する涙ぐましい光景も珍しくありませんでした。
それを解決するため、「スタンドも一緒にしてしまえばいい」という発想をもとに、革新的なID設計とアルゴリズムを開発し、好きな場所に簡単に投影できるジンバルスタンド一体型のデザインを実現しました。私自身も初めて見たときには目から鱗が落ちるような思いでした。他メーカーが同じようなスタイルのプロジェクターで追随してきたのを見て、他メーカーにとっても革新的なアイデアであったことを再確認しました。
N1Sシリーズでは上下135度、N1S Ultra 4Kではさらに左右360度の無段階ホバリングが可能です。カチカチと段階を刻むのではなく、シームレスですから、“ここぞ”というところでピタッと止められます。もちろん、リアル台形補正やオートフォーカスも備えています。寝転んでも見られし、本当の意味での「視聴の自由」を実現しています。
―― 様々な点がN1シリーズから進化しています。
矢野 お客様からは「Netflixをストレスなく快適に楽しみたい」との要望も数多く寄せられていたため、OSには新たにGoogle TVを搭載し、そうした課題も解消しています。リモコンにもダイレクトボタン(Netflix、YouTube、Prime Video)と入力切替ボタンを新たに設け、ワンクリックでサービスに直接アクセスできるようにしました。スピーカーはJMGOが2年の開発期間をかけたプロレベルのもので、低音は45Hz、ドルビー音響効果もサポートしています。
―― 発売からまだ間もないですが、手応えはいかがですか。
矢野 予想を上回る反響をいただき、各ECモールでは売り切れが続いている状況です。量販店では、前シリーズであるN1シリーズは店頭で初めて見て気に入って購入されるケースが多かったのですが、N1Sシリーズでは指名買いが増え、前シリーズからの買い替えも見受けられます。N1シリーズに対して寄せられた要望を改善した点も奏功しており、N1Sシリーズでは明るさや映像美に高い評価をいただいています。
特筆すべきは、N1シリーズでは男性のお客様が圧倒的に多く、約8割を占めていましたが、N1Sシリーズでは女性のお客様から高い関心を集めていて、N1Sでは女性の購入者が約4割に達するショッピングモールも見受けられます。
―― また一段とお客様の層が広がっているわけですね。
矢野 店頭でお試しいただいたお客様からの評価が高いと販売店から伺っています。満足度の高い体験を得られたからか、価格が高いから購入を断念するケースがあまりないとのことで、値ごろ感も出せているのではないかと考えています。
―― プロジェクターの価値や楽しさを啓発していく上で、体験の場として重要な家電量販店やイベントに対する取り組みをお聞かせください。
矢野 インターネットでは情報提供の効率が非常によいことから、すでに色々な工夫を凝らした発信を行っています。しかし、プロジェクターという製品の性質上、実際に見ていただかないとやはりご理解いただけないところがあり、実店舗での展開は重要なポイントです。
お客様それぞれに使用する条件や求めるニーズ、また、好みも異なりますから、しっかりご納得いただいた上で購入いただくには、体感できる実店舗が重要な拠点となります。体験イベントについても前向きに検討しており、JMGOのプロジェクターに目を向けていただける機会を増やしていきたいですね。
―― プロジェクターとのひとつの接点として、JMGOでは「プロジェクターに関心はあるのだけど、購入するのはちょっと」、そんな購入予備軍とも言えるお客様に対し、「お試しプラン」を提案されています。ご利用状況はいかがですか。
矢野 毎月20〜30件の申し込みがあり、ご好評をいただいています。利用されるお客様は、短期間でご利用したい方と購入前に試してみたい方の2つの目的に分かれます。利用者の3割がそのままお買い上げになります。2つの目的がほぼ半々だとすると、購入意欲のある方では約6割が購入されていることになり、「購入するなら新品で」という方がいることも考えれば、かなり高い数字だと思います。
―― そのまま購入する場合は、レンタル料を差し引いた金額になるんですね。
矢野 「お試しプラン」の仕組みのユニークな点は、過去に他の人がレンタルした実績があるものは、その分のレンタル料も差し引いた金額で購入することができます。ただし、手元に新品が届くのか、何回レンタルされた整備品が届くのか、あくまで“お試し”が主目的のため選ぶことはできません。「運が良ければかなりの掘り出し物にあたるかも」といったところです(笑)。
SDGsの観点からも大変理に適っており、今後、同プランでは提供できなくなったレベルのものを、例えば子供たちが集まる場所へ寄付するなど、新しい活用方法にもチャレンジしていきたいと考えています。プロジェクターを見る体験は、テレビを見るのとはちょっと違う特別なもの。そうした体験の機会を広く提供していくことは、将来に必ずプラスに働くはずです。
―― 家電量販店でもスマートプロジェクターを集めたコーナーを見かける機会が増えてきましたが、市場のポテンシャルをどのように見ていらっしゃいますか。
矢野 新型コロナウィルスの感染拡大は大きな転換期になりました。生活を営む上では困難な時期ではありましたが、在宅時間が長くなった影響で、明らかにプロジェクターの需要増には追い風になりました。参入メーカーも飛躍的に増え、家電量販店さんでも売り場が広がり、プロジェクターがより一般化される土台がここ4、5年で築かれたのではないでしょうか。
ここから先、どれだけ成長できるかの予測は難しいですが、ひとつ言えることは、新規のお客様へどれだけアピールし、取り込むことができるかです。スマートプロジェクターの登場により、テレビと比べると少し高かった敷居もだいぶ低くなりましたので、テレビとのバランスもちょっと変わってくるのではないかなと思います。
暗いところで投影される映像を見る体験は、誰でも感情が高まります。映像機器の機能・性能といった軸とはまた別に、ポップインさんが表現されたようなワクワクするような体験の軸もあります。「面白い体験」をコンセプトに掲げたオリジナルブランドにも力を入れており、JMGOとはまた別の選択肢として提案していきたいですね。
―― 後半戦に向けて新製品のご計画はございますか。
矢野 JMGOではあと2機種の発売を予定しています。ひとつは、「N1S Ultra 4K」と「N1S」の間のモデルとなる「N1S Pro」です。より手軽にハイエンドの体験ができるモデルと位置づけ、「N1S Ultra 4K」に迫るハイエンドの体験を、より手頃な価格で実現しています。
もうひとつは、N1Sシリーズとは異なる新しいコンセプトのエントリーモデルとして「Pico Flix(ピコフリックス)」を投入します。現在のモデルがどれも電源を必要とするのに対し、バッテリーを内蔵し、携帯性に優れたコンパクトな円筒形のデザインにすることで、アウトドアをはじめ、もっといろいろなシーンでプロジェクターを使っていただくことを想定して企画しました。
―― 登場が今から楽しみですね。
矢野 プロジェクション技術に目覚ましい革新が進むなかで、ハイエンドプロジェクターが将来発展していく方向として、3色レーザー技術のポテンシャルの高さが業界でも幅広く認識されました。今後、JMGOではこの技術分野に磨きをかけていくと同時に、より高度な光学技術と革新的なデザインを通し、さらに多くのお客様に本当の意味でのスマートプロジェクターを提供していきたいと考えています。
受賞インタビュー:日本ビジネス開発
JMGOのスマートプロジェクター「N1S Ultra 4K」「N1S」が、アワード「VGP2024 SUMMER」にて、「ホームビジュアル大賞」を受賞した。画期的なデザイン「ジンバルスタンド一体型」で脚光を浴びるなど、プロジェクターの技術革新にどん欲な姿勢を見せる「JMGO」ブランド。さらなる躍進へと腕を鳴らす日本ビジネス開発・矢野雅也社長に話を聞く。
株式会社日本ビジネス開発
代表取締役社長
矢野雅也氏
プロフィール/1978年1月30日生まれ。群馬県出身。大学卒業後、通信サービス代理店業界での経験を経て、2017年5月、株式会社ベルパーク在籍中に社内ベンチャーとして株式会社ビーラボを設立、代表取締役社長に就任。2023年1月、株式会社日本ビジネス開発との合併により、同社代表取締役社長に就任し、現在に至る。
■プロジェクターの技術革新に貪欲な「JMGO」
―― JMGOのスマートプロジェクター「N1S Ultra 4K」「N1S」がVGP2024 SUMMERで「ホームビジュアル大賞」を受賞されました。おめでとうございます。まずは、御社とスマートプロジェクターとの関わりからお話をいただけますでしょうか。
矢野 新しいテクノロジーを使用して、これまでになかった体験や日々の悩みを解決できる製品を日本でもっと流通させていきたいという想いから、2017年に事業をスタートしています。生活を豊かにするガジェットやIoT製品を集めたECサイト「Glimpse(グリンプス)」を立ち上げ、色々な製品やサービスを日本に紹介してきました。
そのようななかで初めてスマートプロジェクターを取り扱ったのが、2020年より日本での展開を開始したXGIMI社のプロジェクターです。約3年にわたり日本におけるXGIMIのディストリビューターとして活動し、その経験をもとに満を持して、2023年にJMGOを日本で本格的にローンチしたという流れになります。
―― なぜJMGOを選ばれたのでしょう。
矢野 色々なメーカーの製品を調べてみたなかで、プロジェクターの技術革新に対して一番貪欲なのがJMGOでした。スマートプロジェクターというカテゴリーの黎明期にそのパイオニアとして、光学技術の研究、開発、製品の製造に取り組んできた2011年設立の革新的なメーカーです。
特にN1シリーズは、採用するモジュールがアカデミー科学技術賞を受賞(※日亜化学工業株式会社のシネマ用レーザープロジェクションシステム向けレーザーダイオードの開発に対して)、また、グッドデザイン賞も受賞するなど、技術面からもデザイン面からも高い評価をいただいています。
―― VGPでも2023 SUMMER、2024と2期連続で、「N1 Ultra」をはじめとする“N1シリーズ”が企画賞や金賞の各賞を連続受賞しています。“次”のモデルへの期待とハードルも高かったのではないでしょうか。
矢野 今回、「ホームビジュアル大賞」および「金賞」をいただくことができた“N1Sシリーズ”は、JMGO社でも水銀ランプ、LED、3色ではありませんがレーザー光源と、いろいろな光源のプロジェクターの開発を手掛けるなか、よりよい視聴体験をお客様にお届けするには、3色レーザーが今後一番有効であるとの結論に至ったことが開発のきっかけです。
3 色レーザーが備えるメリットは、「超高色域」「超高コントラスト」「超高色精度」であること。N1Sシリーズでは、JMGOが新たに独自開発した3色レーザー光学エンジン「MALCエンジン」を搭載することで、3色レーザーならではのこの3つメリットを最大限に生かしながら、スペックルノイズや色ムラを高いレベルで低減しています。
さらに、明るさも大きなセールスポイントで、特にN1S Ultra 4Kでは3,000ルーメン(ANSI)を実現しています。レーザー光源の色が鮮やかさという特長も相俟って、暗くしなくても、例えば日中の明るい環境でも、ハイレベルな映像を楽しむことを可能としました。
使用するたびに部屋を暗くしなければならないのはやはり手間ですし、使える時間帯やシーンに制限されることなく、楽しみたい場所で自由に使えるようにするためには、明るさが非常に重要なポイントとなります。
■N1Sシリーズで女性のお客様や指名買いが急拡大
―― 代名詞とも言えるのが、使い勝手に革命をもたらしたとも言える「ジンバルスタンド一体型」という独自のスタイルですね。
矢野 これまでにいろいろなスマートプロジェクターが発売されていますが、どうしても解消できなかった課題が“設置性”です。天井や壁に取り付けるのか、あるいはスタンドを使用するのか、いずれにしても何かしらプラスαの器具を必要としました。また、最適な投影角度を見つけるために、本や段ボール箱を置いて高さや角度を調整する涙ぐましい光景も珍しくありませんでした。
それを解決するため、「スタンドも一緒にしてしまえばいい」という発想をもとに、革新的なID設計とアルゴリズムを開発し、好きな場所に簡単に投影できるジンバルスタンド一体型のデザインを実現しました。私自身も初めて見たときには目から鱗が落ちるような思いでした。他メーカーが同じようなスタイルのプロジェクターで追随してきたのを見て、他メーカーにとっても革新的なアイデアであったことを再確認しました。
N1Sシリーズでは上下135度、N1S Ultra 4Kではさらに左右360度の無段階ホバリングが可能です。カチカチと段階を刻むのではなく、シームレスですから、“ここぞ”というところでピタッと止められます。もちろん、リアル台形補正やオートフォーカスも備えています。寝転んでも見られし、本当の意味での「視聴の自由」を実現しています。
―― 様々な点がN1シリーズから進化しています。
矢野 お客様からは「Netflixをストレスなく快適に楽しみたい」との要望も数多く寄せられていたため、OSには新たにGoogle TVを搭載し、そうした課題も解消しています。リモコンにもダイレクトボタン(Netflix、YouTube、Prime Video)と入力切替ボタンを新たに設け、ワンクリックでサービスに直接アクセスできるようにしました。スピーカーはJMGOが2年の開発期間をかけたプロレベルのもので、低音は45Hz、ドルビー音響効果もサポートしています。
―― 発売からまだ間もないですが、手応えはいかがですか。
矢野 予想を上回る反響をいただき、各ECモールでは売り切れが続いている状況です。量販店では、前シリーズであるN1シリーズは店頭で初めて見て気に入って購入されるケースが多かったのですが、N1Sシリーズでは指名買いが増え、前シリーズからの買い替えも見受けられます。N1シリーズに対して寄せられた要望を改善した点も奏功しており、N1Sシリーズでは明るさや映像美に高い評価をいただいています。
特筆すべきは、N1シリーズでは男性のお客様が圧倒的に多く、約8割を占めていましたが、N1Sシリーズでは女性のお客様から高い関心を集めていて、N1Sでは女性の購入者が約4割に達するショッピングモールも見受けられます。
―― また一段とお客様の層が広がっているわけですね。
矢野 店頭でお試しいただいたお客様からの評価が高いと販売店から伺っています。満足度の高い体験を得られたからか、価格が高いから購入を断念するケースがあまりないとのことで、値ごろ感も出せているのではないかと考えています。
■かなりの掘り出し物に当たるチャンスもある「お試しプラン」
―― プロジェクターの価値や楽しさを啓発していく上で、体験の場として重要な家電量販店やイベントに対する取り組みをお聞かせください。
矢野 インターネットでは情報提供の効率が非常によいことから、すでに色々な工夫を凝らした発信を行っています。しかし、プロジェクターという製品の性質上、実際に見ていただかないとやはりご理解いただけないところがあり、実店舗での展開は重要なポイントです。
お客様それぞれに使用する条件や求めるニーズ、また、好みも異なりますから、しっかりご納得いただいた上で購入いただくには、体感できる実店舗が重要な拠点となります。体験イベントについても前向きに検討しており、JMGOのプロジェクターに目を向けていただける機会を増やしていきたいですね。
―― プロジェクターとのひとつの接点として、JMGOでは「プロジェクターに関心はあるのだけど、購入するのはちょっと」、そんな購入予備軍とも言えるお客様に対し、「お試しプラン」を提案されています。ご利用状況はいかがですか。
矢野 毎月20〜30件の申し込みがあり、ご好評をいただいています。利用されるお客様は、短期間でご利用したい方と購入前に試してみたい方の2つの目的に分かれます。利用者の3割がそのままお買い上げになります。2つの目的がほぼ半々だとすると、購入意欲のある方では約6割が購入されていることになり、「購入するなら新品で」という方がいることも考えれば、かなり高い数字だと思います。
―― そのまま購入する場合は、レンタル料を差し引いた金額になるんですね。
矢野 「お試しプラン」の仕組みのユニークな点は、過去に他の人がレンタルした実績があるものは、その分のレンタル料も差し引いた金額で購入することができます。ただし、手元に新品が届くのか、何回レンタルされた整備品が届くのか、あくまで“お試し”が主目的のため選ぶことはできません。「運が良ければかなりの掘り出し物にあたるかも」といったところです(笑)。
SDGsの観点からも大変理に適っており、今後、同プランでは提供できなくなったレベルのものを、例えば子供たちが集まる場所へ寄付するなど、新しい活用方法にもチャレンジしていきたいと考えています。プロジェクターを見る体験は、テレビを見るのとはちょっと違う特別なもの。そうした体験の機会を広く提供していくことは、将来に必ずプラスに働くはずです。
■新コンセプトモデルなど2つの新製品がスタンバイ
―― 家電量販店でもスマートプロジェクターを集めたコーナーを見かける機会が増えてきましたが、市場のポテンシャルをどのように見ていらっしゃいますか。
矢野 新型コロナウィルスの感染拡大は大きな転換期になりました。生活を営む上では困難な時期ではありましたが、在宅時間が長くなった影響で、明らかにプロジェクターの需要増には追い風になりました。参入メーカーも飛躍的に増え、家電量販店さんでも売り場が広がり、プロジェクターがより一般化される土台がここ4、5年で築かれたのではないでしょうか。
ここから先、どれだけ成長できるかの予測は難しいですが、ひとつ言えることは、新規のお客様へどれだけアピールし、取り込むことができるかです。スマートプロジェクターの登場により、テレビと比べると少し高かった敷居もだいぶ低くなりましたので、テレビとのバランスもちょっと変わってくるのではないかなと思います。
暗いところで投影される映像を見る体験は、誰でも感情が高まります。映像機器の機能・性能といった軸とはまた別に、ポップインさんが表現されたようなワクワクするような体験の軸もあります。「面白い体験」をコンセプトに掲げたオリジナルブランドにも力を入れており、JMGOとはまた別の選択肢として提案していきたいですね。
―― 後半戦に向けて新製品のご計画はございますか。
矢野 JMGOではあと2機種の発売を予定しています。ひとつは、「N1S Ultra 4K」と「N1S」の間のモデルとなる「N1S Pro」です。より手軽にハイエンドの体験ができるモデルと位置づけ、「N1S Ultra 4K」に迫るハイエンドの体験を、より手頃な価格で実現しています。
もうひとつは、N1Sシリーズとは異なる新しいコンセプトのエントリーモデルとして「Pico Flix(ピコフリックス)」を投入します。現在のモデルがどれも電源を必要とするのに対し、バッテリーを内蔵し、携帯性に優れたコンパクトな円筒形のデザインにすることで、アウトドアをはじめ、もっといろいろなシーンでプロジェクターを使っていただくことを想定して企画しました。
―― 登場が今から楽しみですね。
矢野 プロジェクション技術に目覚ましい革新が進むなかで、ハイエンドプロジェクターが将来発展していく方向として、3色レーザー技術のポテンシャルの高さが業界でも幅広く認識されました。今後、JMGOではこの技術分野に磨きをかけていくと同時に、より高度な光学技術と革新的なデザインを通し、さらに多くのお客様に本当の意味でのスマートプロジェクターを提供していきたいと考えています。