富士通テンの卵形スピーカーシステム(その4)
タイムドメインシステム:8cmスピーカーシステム |
今回のスピーカーシステムは、従来は見過ごされてきた課題を徹底して考慮した設計を採用。余分な振動を徹底排除し、音の波形の過程を忠実に再現することで、「正確な描写」を実現可能としている。この理論と独自の技術により画期的なシステムを構成、生演奏の醍醐味を家庭内はもちろん、プロフェッショナルなスタジオなどでも実力を発揮するよう狙っている。
◆8pスピーカーシステム
さて、今回は前回までに紹介してきた、12p口径のスピーカーユニットを採用したシステムの姉妹機種として作られる、8p口径のスピーカーユニットを採用するシステムを紹介しよう。
この8cmフルレンジスピーカーユニットを使用するシステムは、基本的なコンセプトは12p口径のものと同一で、タイムドメイン理論を導入している。ここで紹介するプロトタイプの写真の外観からも分かるように、デザインや構造もこれに準じたものとなっている。
卵形のエンクロージャーの材質は、12pスピーカー採用の上級機が人工大理石の原料となる母材を採用しているのに対し、このスピーカーではユニットのサイズが小さいことから、これほどに強度を高める必要がないために樹脂系のものを採用。徹底した防振構造のためには、サイズが小さい方が有利に働くという点もあるわけだ。
また、使用するスピーカーユニットの振動板は、12p口径のものがグラスシート振動板であるのに対し、ここではペーパーコーンが採用されている。しかし、それによって再現性が劣るものではなく、このシステムの音をすでに耳にしたスタジオ技術者やオーディオファンからは好評が得られている。ここでも、小口径ユニットならではの物理的に有利に働く要素があるということだ。
駆動するアンプについては、もちろん通常のアンプでも可能だが、タイムドメイン理論を導入して設計した専用アンプがこのシステムには付属となる。電源部を分離(ACアダプター)し、徹底した防振構造の三角錐型のスタイルは、今までにない優れた再現性を約束してくれるものとなっている。
正式な型番や価格の発表はまだだが、スピーカーシステム2台と、専用に設計されたアンプ1台の組み合わせで、価格は10万円前後の予定ということで、かなりのお買い得なモデルとなることは請け合いだ。斬新なデザインと画期的な再現性を実現してくれる今回のシステム、発売されるのが楽しみだ。
なお、このスピーカーシステムについての詳細レポートは、『季刊・オーディオアクセサリー誌100号』にても行われている。オーディオ評論家の江川三郎氏が、富士通テンの試聴室まで直接出向いて音を確かめてのレポートである。また、柴ア功氏による技術的な観点からの紹介も別項にて掲載している。
このシステムの魅力の最重要ポイントはどこか。そのデザインに、あるいは音質に、興味を持った人は、ぜひとも本誌のご一読を。
(季刊・オーディオアクセサリー編集部)
このシステムの取り扱い先:
富士通テン株式会社
本社 神戸市兵庫区御所通1丁目2番28号
〒652-8510 TEL(078)671-5081(代)