同社の最新の取り組みについてコメント

ケンブリッジ・オーディオCEOが語る、「目指すのは“音楽を楽しむ”ためのオーディオ」

公開日 2016/11/01 13:39 編集部:押野 由宇
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Cambridge Audio(ケンブリッジ・オーディオ)のCEOであるJames Johnson-Flint氏、アジアセールス担当のCALVIN YEUNG氏が来社。同社のポリシーや最新製品についてお話を伺った。

Cambridge Audio CEOのJames Johnson-Flint氏(右)と、同社HEAD OF SALES ASIAのCalvin Yeung氏

ケンブリッジ・オーディオは1968年に設立されたオーディオメーカーだが、その歴史の中でブランドとしての取り組みに変化が起きている。それは、創業当初は技術に注力していたが、よりユーザーの目線に立ち、音楽を楽しむためのオーディオを開発するようになったというものだ。その理念は、開発に携わる全員が音楽好きで、自身が音楽を楽しみたいという意識を持つことから実現している。それは、同社の代表であるJames Johnson-Flint氏の言葉からも色濃く表れている。

「ケンブリッジ・オーディオでは、高すぎない価格設定でハイレベルな製品を作りたい、と考えています。多くの人に、良い音楽を聴いて欲しい。最新のCXシリーズも、そうしたコンセプトのもと開発しているため、販売価格以上の技術を投入しています」

ケンブリッジ・オーディオの製品は、そのどれもがコストパフォーマンスの高さでも評価を集めている。これは氏が語る理念の体現とも言えるが、それを成すためには並々ならぬ企業努力が必要だ。

「この理想を実現するのは、言葉にするほど簡単ではありません。CXシリーズはシンプルな構成で最良の音を獲得するために、1から設計を行っていますが、これはエンジニアにとっては難しい注文となります。ですが、現場にとっては大変なことであっても、それだけの価値があるからこそチャレンジするのです。また、品質を重視し、外部に託さず自社工場で製造することで、あらゆる工程においてクオリティを低下させないよう一貫して管理しています」

CXシリーズは、スタイリッシュなデザインとハイクオリティ、そして確かなコストパフォーマンスを備えた、まさにケンブリッジ・オーディオを体現するコンポーネントだ

技術を徹底した歴史がベースにあることが、音楽性を追求することに良い形でつながっているということだろう。では、同社による音作りはどういったものなのだろうか。

「音楽の繊細な機微を感じ取れるような、オーディオ的な性能はもちろん、音楽好きとしても納得のいくサウンドを目指しています。また、個人的にはアナログも好きですが、より大多数の人が触れているデジタルの音を楽しく聴けることを考えています。自分たちが楽器を弾いているので、音決めにあたってはそういった感性も活かされていると思います。また、イギリスの音はベーシックを貫いているので、その部分は日本に合っているのではないでしょうか」

前述のように、同氏はケンブリッジ・オーディオが音楽に寄り添ったブランドであることを何度も強調した。その一例としてあげたのは、ロンドンの一等地に位置する同社本社に構えたイベントスペースだ。ここには本格的なPAシステムが構えられ、ライブを行うことも可能で、ミュージシャンを招いての様々なイベントや、レコード会社との協業なども行っているという。

ちなみに、開発に携わる全員が音楽好き、という点については、ケンブリッジ・オーディオの本国ホームページを見るとさらに実感が沸く。ここには同社スタッフのポートレートと名前の一覧ページが用意されているのだが、各人の「最も好きな曲」と「その曲が最高潮を迎える時間」が記されている。さらにはその曲を配信するSpotifyのページにリンクされているという手の込みようだ。こういったところからも、同社の音楽への愛を垣間見ることができる。

同社ホームページに掲載されたスタッフ一覧。各人の「好きな曲」と「その曲が最高潮を迎える時間」が記されている

最後に、同社のこれからの展開について聞いた。「まずはいまのCXシリーズをしっかりと展開していきたいと考えています。このシリーズには自信がありますし、嬉しいことに実際に高い評価をいただけています。特にこれまでオーディオに触れたことのない若い層に、広くアピールしていきたいです。また、より上のハイエンドな製品に関しても計画はありますが、そのマーケットには歴史あるブランドが多数ありますので、難しいことも分かっています。そのため、エンジニアには時間やコストを掛けても良いから、既存品に負けない優れた製品の開発を進めるよう指示しています」

日本、そして世界オーディオファンから、ケンブリッジ・オーディオが評価される理由は、こうした真摯な姿勢にあるのだろう。同社の展開にこれからも期待したい。

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