CES2009レポート
ソニーCEO ストリンガー氏キーノートスピーチ − トム・ハンクスやUSHERなど豪華ゲストが次々に登場
■ドリームワークスCEOが3Dシネマの可能性をアピール
話題はめまぐるしく変わり、続いてはデジタルシネマへの取り組みに関するプレゼンテーションが行われた。来場者は事前に配られたREAL Dの3Dグラスをかけ、何本か3D映像を体験することになった。先ほどのジョン・ラセター氏の関係から、カーズのキャラクターが東京の道路をドリフトで疾走するムービーなどがデモンストレーションされた。
ここで登場したのは、ドリームワークスアニメーションCEOのカッツェンバーグ氏。「ソニーがたくさんの技術を提供してくれていることに感謝したい」と、ソニーの3Dデジタルシネマへの貢献を讃えた。
ストリンガー氏が最後に話題に上げたのは音楽事業。同社が昨年Gracenoteを買収したことを改めて紹介し、ソニーエリクソンの端末にはトラックID機能が付いていることも説明。同じくソニーエリクソンが展開する携帯電話向け音楽配信サービス「PlayNow plus」の楽曲数が増えていることも強調した。
そして大物ゲストのトリをつとめたのは、ミュージシャンのUSHER氏。バンドを従えて美声を披露し、ストリンガー氏も「スピーチの締めくくりにふさわしいアクトだ」と絶賛した。
最後にストリンガー氏は、同社の今後の取り組みの基本方針として「If you an imagine it,we can help you make it real.」というスローガンを掲げ、何よりも想像力が必要だと強調。「野心的なことを言うと、そんなことはありえない、などと年を取るごとに言いがちだが、我々は『不可能』を信じない。たとえ経済状況は悪くても、我々の業界はほかの産業に比べ、もっとも創造的だ。帆を高く上げ、数年後には全く違う世界を実現したい」と締めくくった。
ご存じの通り、ソニーはオーディオビジュアル/PC事業などだけでなく、映画や音楽などのコンテンツ事業、国内では金融事業など、様々な事業を展開する複合企業だ。
それゆえ今回のキーノートスピーチでは、一つの事業にフォーカスて、その中長期的なビジョンを語るというスタイルではなく、ゲストの力も借りながら、現在のソニーのプレゼンスの大きさを改めて印象づけるという方針を採ったのだと思われる。今回のキーノートスピーチはあくまで“お祭り”で、具体的な今後の事業戦略やビジョンについては、また別の機会に明らかにされるということなのだろう。