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注目D-ILAプロジェクターの画質を語る

6人の識者の眼 − VGP2011・批評家大賞モデル ビクター「DLA-X7」を評価する

公開日 2011/01/17 14:32
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ホームシアターへの意欲を改めて歓喜する魅力的な画質

ホームシアターへの意欲を改めて掻き立てる、とても魅力的な画質を持つのがDLA-X7だ。これまでもビクター機は高い評価を獲得していたが、さらにまた一歩前進したことを示すのがコントラストの良さ、質感表現力の良さだ。これらの優れた特性がライバル機を圧倒している。3D対応のアドバンテージよりも、2D画質そのものが改善されたところに本機の意義を感じる。

X7が持つ上質な画質は、表現力の向上に役立てようとする開発陣の意思の強さで実現したものである。今まで誰もが考えつかなかったような画質表現力を盛り込みたい、という意識は「フィルムトーン」への対応や大幅に拡張した「スクリーン補正モード」として見事に結実している。7軸カラー調整機能も緻密な色合い調整に貢献している。

盛り込める限りの新要素を全て反映させたと言える本機の完成度だが、ライバルメーカーには絶対負けたくない、寄せ付けたくない、という意気込みがそうさせたように思う。前作で実現した性能は他も必ず追従してくると仮定し、さらに先を提案することでトップランナーとしての地位をキープしている。

「フィルムトーン」に代表される新規の取り組みは、一般的なホームシアターという概念を飛び越え、シアター全体を包括する映像の高再現性への提案となろう。映像ソフトがどのフィルムで撮影したか、スクリーンあってのプロジェクターなので何で表示させるのか、この入出力の条件をきちんとさせないかぎり監督の意図した映像再現、要するに描写力に迫れないのである。今までこういったテーマは割合に曖昧にされており、私自身も再三に渡って指摘してきたのだが、ようやく本モデルで対処が施された。実際に実用化させたことを、非常に高く評価したい。本機に盛り込まれた新技術によりスクリーンで再構築された映像は、制作者が意図した描写力になっていると疑う人は皆無だろう。新たな価値観の定義を作り上げたモデル、それがDLA-X7である。

MrMurase
村瀬孝矢プロフィール

「PROJECTORS」誌を編集、発行。国内外メーカーの最新プロジェクターを同一条件でチェックしており、国内でもっともプロジェクターの素性を知る人間のひとりである。日本画質学会副会長も務める。





ビクターが目指してきたテーマの一つを徹底的に探求した

ビクターのLCOSプロジェクターがこれまで何度かの世代交代を経ながら一貫して目指してきたテーマの一つが「フィルムライクな映像の実現」である。開口率が高く画素構造が目立ちにくいD-ILAのメリットに加え、突出したネイティブコントラストを実現。それによって階調表現のレンジを広げ、様々な映像作品への対応力を強化してきたが、DLA-X7は色再現についてもさらに一歩踏み込み、新たな次元に到達した。AdobeRGBを上回る広色域を実現したうえで、新設したフィルムモードに2種類のカラープロファイルを用意し、フィルム上映時の発色に大きく近付けることに成功したのである。

前作のDLA-HD950からの進化のなかで最も重要なポイントは、このフィルムモードで得られる豊かな発色と、温かみのあるフィルムライクな色調であろう。キセノンランプの色特性をシミュレートすることに加え、撮影時に使用したフィルムの特性まで考慮して、制作者の意図に忠実な色調の再現を狙う。どうせこだわるならここまでやって欲しいという、映画ファンが潜在的に共有してきた期待に応えるリファインと言っていい。今回、DLA-X7を一位に推薦した最大の理由はそこにある。

3Dへの対応はたんなる付加機能の次元にとどまらず、新たな表現領域を拡大し得る性能を実現している。特に、低クロストークと自然な遠近感を両立させつつ、ある程度の明るさを確保していることに注目したい。まだ競合機種は数少ないが、少なくとも現時点では3Dプロジェクターとして本機が最先端に位置すると断言できる。さらに、テレビの3D表現とは一線を画すスケールの大きな立体映像は、ホームシアターの新たな可能性を切り開くに違いない。

実用上のメリットが大きい進化として、スクリーンごとに最適な色調を実現する補正機能を充実させたことと、画のバランスを確保しつつ明るさやコントラスト感を調整する「フィルムトーン」機能の新設にも注目しておきたい。

MrYamanouchi
山之内正プロフィール

出版社勤務を経て、音楽の勉強のためドイツで1年間過ごす。帰国後より、デジタルAVやホームシアター分野の専門誌を中心に執筆。趣味の枠を越えてクラシック音楽の知識も深く、その視点はオーディオ機器の評論にも反映されている。



【DLA-X7 SPECIFICATION】●表示デバイス:0.7型D-ILAデバイス×3 ●レンズ:電動2倍ズーム・フォーカスレンズ、f=21.4mm〜42.8mm、F=3.2〜4 ●解像度:1920×1080 ●光源:220W超高圧水銀ランプ ●投写サイズ:60型〜200型 ●ネイティブコントラスト比:70,000対1 ●輝度:1,300ルーメン ●HDMI入力端子:2系統(ver1.4a 3D DeepColor、CEC対応) ●消費電力:350W(待機時0.9W) ●外形寸法:455W×179H×472Dmm ●質量:15.1kg ●問い合わせ先:ビクターお客様ご相談センター TEL/0120-2828-17

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