東芝・片岡氏にインタビュー
“タッチ”でテレビの楽しみ方が変わる − 東芝「レグザサーバー×レグザタブレット」連携機能を試す
折原氏が語る、今後の「レグザリンクAppsコネクト」への期待
今回は「RZプレーヤー」を使ってみて、その使い勝手の良さを実感した反面、あと一歩作り込みが欲しいと感じる点もあった。
まず、せっかくレグザサーバーの録画機能と連携ができるのに、アプリ上にはタイムシフトマシン録画の過去番組表が表示できず、チャンネルや放送日ごとに分けられた簡易なフォルダー表示にしか対応していないことが残念だ。タイムシフトマシン機能を搭載したレグザサーバーや、同機能を持つ薄型テレビ“レグザ”「ZGシリーズ」に搭載されている「過去番組表」が、レグザタブレットにも一覧で表示でき、指先の直感的な操作で使えたら、間違いなくテレビの画面をリモコンで操作するより便利になるはずだ。録画済み番組の検索機能についても、タブレットならば文字入力も簡単に行えるので、番組名や出演者情報なども検索対象にした検索システムを採用して欲しいものだ。
「RZライブ」が採用しているTwitterを活用した機能も面白い。この機能については、ライブ配信中の放送局を識別するハッシュタグに連動し、自動的にTwitterの投稿を表示できる。RZプレーヤーやRZポーターでは、録画した番組名に連動してTwitterの投稿を表示できる機能はあるが、ツイート時間に連動した表示はできない。どうせならばTwitterへの投稿時間から逆引きし、見たいシーンを頭出しできる連動機能も搭載して欲しいところだ。このようなサービスはJVCケンウッドによる実験サービス「TVRoll.jp」(関連ニュース)や、NECのテレビPCが「つぶやきプラス」(関連ニュース)などとして実現している。
アプリの使い勝手や追加して欲しい機能については、色々とリクエストしてみたくなるが、これも「RZプレーヤー」というアプリそのものが、タブレットとの親和性が高く、動作が安定していて、ストレスなく使えるからこそだと思う。これから改良を加えていけば、もっと様々な新しい使い方が生まれるのではないかと、期待も高まってくる。
テレビやレコーダーとタブレットを連携させながら、テレビ番組などを楽しむという使い方は非常に相性が良いと筆者は実感している。最近では“スマートTV”という言葉が注目を浴び、テレビ製品が今後向かうべきトレンドとしても定着しつつあるが、一方で、ブロードバンドベースの映像配信などテレビの大画面で観たいコンテンツがあっても、現在の薄型テレビに搭載されているCPUの処理能力に限界を感じたり、あるいはテレビのリモコンでネットコンテンツを操作することの不便さを感じてしまうことも多々ある。
一方で急速に普及の進むスマートフォンやタブレットの“タッチ操作”という直感的なオペレーションは、ネットワーク接続をベースにしたテレビやレコーダーのコンテンツを、よりスムーズに楽しむために重要な役割を果たすはずだ。
同社のテレビやレコーダー、タブレットなどのハード機器と、クラウドサービス「レグザAppsコネクト」によるアプリ連携が目指す方向性について、東芝の片岡氏は「テレビの様々な機能を、ユーザーが手元のタッチ操作で直感的に使えることが、タブレットとレグザAppsコネクトアプリが連携することによる最大のメリットと考えています。レグザAppsコネクトアプリとして最初に登場した“RZタグラー”は、レグザのテレビがコントロールできるリモコンアプリとしても注目を集めましたが、実は主となる機能は“タグリスト”(ユーザーどうしが番組内のシーンを頭出しできるタグという情報を、公開・利用できるクラウドサービス)であり、リモコン機能は幅広いユーザーにアプリを使い始めてもらうための導線に過ぎません。私たちはテレビの視聴や録画が、これまで以上に面白くなるような機能やサービスを“主”として考え、アプリを開発することをモットーにしています」と語る。
東芝ではテレビの番組表と連携して、タブレットを使って番組の視聴予約ができたり、非常に詳細な番組情報を参照できるアプリ「MediaGuide App」を北米向けに展開している(関連ニュース)。ちなみに、このアプリの開発指揮を執っているのも片岡氏を中心とした企画・開発のメンバーだ。本サービスを基盤に、レグザサーバーのタイムシフトマシン機能と、レグザタブレットによる連携機能がより充実していくこともぜひ期待したい。
筆者はテレビの未来像の一つとして「タブレットでコントロールするレンダラー」のようなスタイルをイメージしている。タブレットを軸にAV機器の進化を捉えていった場合、大画面というテレビならではの価値と、タブレットの操作性、さらにSNSなどインターネット独自の機能をうまく融合していくことができれば、これまでテレビ単体でイメージできなかった、思いもよらない進化が実現されるかもしれない。
東芝のデジタルプロダクツ&サービス社では、既に薄型テレビ、レコーダー、PC・タブレット製品について、横串を刺したかたちで企画・開発できる体制が整っており、「レグザワールド」としての展開をスタートさせている。製品個別の魅力はもちろんのこと、タブレットを中心としてどのようにテレビ・レコーダーが変わっていくのか、その方向性にも注目していきたいと思う。
◆折原一也 プロフィール
埼玉県出身。コンピューター系出版社編集職を経た後、フリーライターとして雑誌・ムック等に寄稿し、現在はデジタル家電をはじめとするAVに活動フィールドを移す。PCテクノロジーをベースとしたデジタル機器に精通し、AV/PCを問わず実用性を追求しながら両者を使い分ける実践派。