【特別企画】オペアンプをMUSESに変えて高音質化
ASUSのUSB-DACに上位機種登場!「Xonar Essence One MUSES Edition」レビュー
ここまでにも話に出たが、本機はバランス出力とヘッドホン出力も搭載。バランス入力を備えたアンプとの組み合わせではS/Nなどでより大きな優位を得られる。ヘッドホン出力は、インピーダンスが高く駆動しにくいハイエンドヘッドホンとの組み合わせも想定した設計。なお本機はライン出力の音量を調整できるので、プリアンプを兼用する役割でパワーアンプに直結することも可能だ。
土台の部分としては、電源部は本体内部1/5程度を占める電源トランスを中心に組まれており、低ノイズで良質な電源を回路に供給する。
最後のポイントは、信号の増幅を行う増幅素子であるオペアンプがソケット式で交換可能なこと。音質を大きく左右するオペアンプを交換することで、ユーザーは自身の好みに合わせた音質チューニングをできる。
そしてそれを生かして用意されたのが、今回のMUSES Editionだ。スピーカー出力とヘッドホン出力の両方に大きな影響のあるI/V変換回路とローパスフィルター回路のオペアンプを、新日本無線のMUSES 01に換装したモデルだ(ベースモデルではTIのNE5532)MUSESはハイエンドオーディオ専用として定評あるオペアンプ。音質向上を期待できる。
ではMUSES Editionの実力を、実際の音を聴いて確認していこう。
■音質をスピーカーとヘッドホンでじっくり確認
プリメインアンプとスピーカーと組み合わせて再生した総合的な評価としては、色付けや癖を感じさせない透明度の高さが好印象。各楽器の存在感のバランスも整っている。
挑戦的で刺激的な曲と演奏が光る上原ひろみのピアノ・トリオ作品「MOVE」は192kHz音源だが、躍動するエレクトリックベースのその音色が艶やかで、フレーズのつながりも滑らか。そのベースが出しゃばらずにアンサンブルでの収まりがよいこともポイント。もう少しベースを押し出してくれた方が好みという方もおられるだろうが、しかし下手に低音を膨らませてしまう機器よりは、このさじ加減が適当だろう。以前聴いたベースモデルは低音がもう少し緩い印象だったので、このあたりがMUSESの威力と言えそうだ。
高音側ではライドシンバルの抜けを、これも目立たせすぎず、自然に描き出している。ハイハットシンバルのしなやかな音調と、それと両立した精密感もこの演奏の特徴だが、これらのポイントの再現もやはり自然で、不足はない。高音の自然な感触もベースモデルからの向上点として挙げられる。
全体を見たときには、音場のいわゆる空気感も十分に豊富。S/Nに優れる機器は概して細かな成分を届けることに秀でており、それが空気感につながる。本機もまさにそれを体現している。