安価なオペアンプ交換対応モデル
ASUSのUSB-DAC新モデル「Xonar Essence STU」を聴く
■ASUSの強みが活かされた「Xonar Essence STU」
まず筐体だが、Esseence Oneが天板にカーブを持たせたやや大柄で独特なものだったのに比べて、こちらはほどよいサイズ感でシンプルに四角い。小型というほどではないが、デスクトップに設置し、ヘッドホンアンプ中心で使うのに邪魔にならない程度の大きさだ。
ヘッドホンアンプについては、Oneより強化された面もある。600Ωクラスのハイインピーダンスヘッドホン(駆動しにくいヘッドホン)も想定して強力なアンプを搭載しているのはOneと共通だが、加えてSTUでは、接続するヘッドホンのインピーダンスに合わせてアンプのゲインを切り替えるスイッチが背面に装備された。16〜32Ωを想定したローゲインモードと、32Ω〜600Ωを想定したハイゲインモードを用意。ゲインは一概に高ければ音がよいというものではなく、ヘッドホンとのマッチング次第なので、任意に切り替えられるのは嬉しい仕様だ。
冒頭で触れたASUSの強みが生かされているのは、基板上でのパーツ配置と配線の引き回しだ。「Mirrored PCB layout」、つまり左右鏡合わせの対称配置となっている。これは完全なバランスでの再生を確実なものとして、また左右チャンネルのクロストーク(信号漏れ)を最低限にするためだ。ハイエンドのオーディオ機器ではおなじみの手法だが、この価格帯でこれを売りにしている製品は多くない。
またその部分とも関連するが、ライン出力120dBという高いS/N比の実現も本機の特長だ。これは上位モデルOneと同等。つまりその高いS/N比は筐体や電源への物量投入ではなく、主に基板設計によって実現されているはずだ。このあたりはさすがASUS。ヘッドホンアンプのS/N比についても、Oneよりも高い117dBだ。
オペアンプやDACチップなどは見知った型番=定評のあるもので構成されている。Oneよりは安価なもので構成されているが、妥当だろう。
そしてOneと共通の特徴となるが、要所のオペアンプはソケット式で交換可能だ。交換可能な部分はOneよりも少なめで、I/V変換2カ所とローパスフィルター1カ所だが、マニアは購入後のチューンナップも楽しめる。
なお、ヘッドホン出力とライン出力が独立ボリュームであることはOneと同様。ライン出力も可変なので、例えばパワードスピーカーに直結できる。ライン出力をラインレベルに固定したい場合は基板上のジャンパースイッチで、そのように設定することもできる。
そのほか、USB伝送周りはアシンクロナス(非同期)伝送で192kHzにまで対応。WindowsにおいてはASIOドライバーを採用することで伝送の信頼性を高めている。クロックは44.1kHz系と48kHz系に個別のクロック発信器を用意することで、精度を高めていることもポイントだ。
ただしOneの特徴であった、世界初の8倍整数倍アップサンプリングは非搭載。そこは上位モデルの特権だ。
次ページではいよいよ、本機の音質をチェックする。