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【特別企画】連続レビュー第2弾

ソニーの万能コンポ「MAP-S1」レビュー(後編) CD資産も最新ハイレゾも高音質再生!

公開日 2014/06/09 10:26 鴻池賢三
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音質にこだわり隅々まで吟味した設計とパーツ選び

まずCDのローディングはトレイ方式でなくスロットイン方式を採用。これは単に省スペースを目的としたものではなく、音質に影響するトレイの振動を断つ狙いで、高品位化へのアプローチだ。大切なディスクの信号面をキズつけないよう、メカ構造にも配慮されている。

読み取ったCDの音楽信号は、設定により、ソニーの最新高音質化技術「DSEE HX」によって、192kHz/24bit相当のハイレゾ信号に引き上げることができる。CDクオリティーとハイレゾの違いである高域音の補完に加え、音の大小を司る量子化ビット数を16bitから24bitに拡張することで、256倍もの高密度な再現性能を獲得。消えゆく残響音など微少音のスムーズな表現や、抑揚のダイナミック表現が可能になる。

また「DSEE HX」による音のアップスケーリングのアルゴリズムは、音楽のジャンル、ハイレゾ音源とCD音源の違いなどを解析した高度なもので、ソニーならではのノウハウと技術力が活かされている。

そのほかハイファイオーディオとしての作り込みも丁寧で、高剛性な3mmもの肉厚アルミ材を使った天面一体フロントパネルや1mm厚のシャーシ、重量級のEIコアトランス、高強度なガラスエポキシ基板、バスバーを用いたワンポイントグランドストラクチャー、偏心インシュレーターなど、どれも機械的振動を抑え、音楽信号をクリーンに保つよう、隅々まで吟味されている。こうして得られたピュアな音楽信号は、最大100Wもの出力を誇るソニー独自のハイレゾ対応デジタルアンプ「S-Master HX」を通じて増幅され、スピーカーを強力にドライブする。

重量級のEIコアトランス。この価格帯には異例なほどの大きさだ

EIコアトランスを手に持ち、思わず「重!」と声を上げる鴻池氏


トゥイーターには専用のチャンバーが設けられている
スピーカーの「SS-HW1」は、ハイレゾに対応すべく、スーパートゥイーターを搭載し、かつスイートスポットを広げるために前面と上面に2基搭載されているのがユニークだが、スピーカーとしての基本も充実している。ネットワークを含むトゥイーター部は、専用のチャンバーを設け、ウーファーのからの音圧や振動から切り離すことで、よりピュアで繊細な表現を目指した。ネットワークに用いられるパーツも大型フィルムコンデンサやコイルなどクラスを超えた豪華な仕様だ。突板の木目に施したピアノフィニッシュも高品位で、その深みある美しさは、見ているだけで嬉しくなってしまう。

ハイレゾを切掛けとした大幅な技術の進化が、コンパクトでもかつてのコンポーネントを凌駕する高品位な音質性能を可能にした。新世代にふさわしいオーディオのカタチと言って良いだろう。

インシュレーターを確かめる鴻池氏。取り付けも偏心にするなどこだわっている

オーディオ機器は操作する際の喜びも重要な要素。ボリュームノブを回して感触を確かめる

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