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4Kを超える4Kテレビ

8K解像度の実力とは? シャープ “AQUOS 4K NEXT”「80XU30」を徹底チェック

公開日 2015/06/03 11:00 鴻池賢三
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効果が大きい8Kアップコンバート映像

まずは一般的な地上デジタル放送のドラマ番組で確認した。もとは1,440x1,080画素のインターレース映像なのだが、8Kにアップコンバートすると、登場人物が着ているスーツ生地の微細な毛羽立ちまで復元されているなど、素材感まで感じ取れる。特に斜め線に現れがちなジャギーの処理は優秀で、現存する4K大画面テレビを上回る滑らかさは特筆に値する。

本機の画質を仔細にチェックする鴻池氏

フルHD映像はBD映画「オブリビオン」のチャプター14でチェック。緑の木々に囲まれた湖畔のシーンは、色表現が実にナチュラルで違和感なく映像の世界に入って行ける。

デフォルトの超解像設定はやや尖鋭感を重視しているようだが、大きくシュートが見えてしまったり、ノイズを立たせてしまうような感はなく、肌の質感が引き出されるなどの効用が確認できた。フルHDソースを80型に引き延ばしても密度が維持され、見応えのある映像だ。同シーケンスで、日が暮れて暗転するシーンは、黒が沈みつつ階調表現も良好。なにより、黒に青味のような色付きが無いのは好ましい。高コントラストパネルとローカルディミングの効果がいかんなく発揮されている。

HDRや広色域表現の完成度も非常に高い

4K映像は「スカパー!4K」の録画で「【4K】平原綾香 明治神宮境内奉納演奏」を視聴。日没後の暗い境内にスポットライトが配置された幻想的なシチュエーション。スポットライトで照らし出される彼女の衣装が、純白に力強く描かれる。

ピーク輝度の高さは生地の柔らかな立体感を表現し、また背景とのコントラストが画全体に立体感を与え、凄まじいリアリティーで迫ってくる。また表情をズームインすると、額の汗が光る様子がはっきりとわかる。一般的な液晶テレビなら白飛びしてしまうシーンなのだが、驚きの発見だ。スマートなアルゴリズムを持つHDR機能とピーク輝度の高さならではの表現力と言えるだろう。

さらに、4K制作の高画質デモ映像で実力を確認。豊穣とも言える色乗りの良さながら、雑味やくどさを感じさせず、しっとりと心地良い。持てる広色域性能を最大限に活かしつつも、色拡張のアルゴリズムが巧みだ。バンディングを抑える階調復元の恩恵も大きそうだ。

様々なソースを使ってじっくりクオリティをチェックした

本機のリモコン。Netflixボタンも備える

また分割駆動を行った際の視野角性能も大幅に改善されていて、例えば人の肌は極端に斜めから見ても色味の変化が少ない。色表現能力の高さがより広い範囲で楽しめ、リビングで家族がテレビを取り囲むようなシチュエーションにも向くだろう。4Kから8Kのアップコンバートは、遠景の町並みはディテールが保たれつつ、カメラが捉えた被写界深度によるわずかなボケも的確に描き分かる能力を持ち、またコントラストの高さも相まって、画面全体から醸し出される奥行き感は新しい体験だ。



独自技術で8K相当の解像度を得た革新性に加え、クアトロンによる実効的な広色域化、賢いアルゴリズムによるHDR機能は、結果としての画質に現れ、心を揺さぶるような表現力をも手に入れた。8K相当の表現力を活かしつつ、超解像設定やノイズ処理など、総合的に上手くまとめられている印象を受けた。

放送が8Kへと向かうなか、8Kの高密度映像を先取りしたい先進マニア必見の1台だ。

(鴻池賢三)

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