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【レビュー】パイオニア「SC-LX59」:音楽からドルビーアトモスまで高レベルに再生可能なAVアンプ

公開日 2015/12/09 14:50 山之内 正
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映像ソースの高音質化に加え、ハイレゾ再生など音源の多様化と進化が進み、AVアンプが満たすべき音質の基準は以前よりも格段に上がっている。音質改善を実現するための正攻法はピュアオーディオ機器のノウハウを取り込むことだが、チャンネル数が多く多機能なAVアンプはスペースの制約が大きく、特に物量に頼る音質対策を導入するのはかなり難しい。各社それぞれ工夫を凝らし、どこまで音質を改善できるか、腕の見せどころになっている。

パイオニアの最新AVアンプ「SC-LX59」

そんななか、独自のアプローチで他社との差別化を狙っているのがパイオニアだ。効率の良いクラスD動作の「ダイレクト エナジーHDアンプ」がそのコアとなる技術で、高効率に加えて、全チャンネル同時出力の余裕や全帯域での反応の良さなど、音質面でのメリットも大きい。パイオニアは、AVアンプの上級モデルとハイファイ向けプリメインアンプにダイレクト エナジーHDアンプを積極的に導入したことで実績を重ね、リスナーの間にも確実な支持が広がった。いまや同社のクラスDアンプは音の良さでも完全に市民権を得たと言っていいだろう。

音質面でのメリットも大きい最新の「ダイレクト エナジーHDアンプ」を搭載

ダイレクト エナジーHDアンプは、アンプ回路自体の出来の良さもさることながら、回路規模が小さく発熱が少ないことによる副次的なメリットも無視できない。チャンネル数を増やしても回路規模が十分に小さく、巨大なヒートシンクも必要ない。そこで生まれたスペースの余裕を出力段以外の回路に割り当てたり、異種信号を扱う回路基板同士を物理的に離して相互干渉を抑える効果も期待できる。プリアンプとパワーアンプ各ブロックを鋼板で仕切ったセパレート構造も、一般的なAB級アナログアンプでは真似できない音質対策の一例だ。そうした工夫の成果を実際の再生音でどこまで聴き取れるか、興味は尽きない。

プリ部/パワー部を分離させたセパレート構造を採用。そのほかすべての回路のグランドがが1点アースとして動作するクリーングランド思想の強化など、筐体設計にはすみずみまで気が配られている

ダイレクト エナジーHDアンプを積むAVアンプのエントリーに相当する最新モデルが、2015年秋に発売されたSC-LX59である。ミドルクラスの重要な一角を担う製品だけに機能はほぼフル装備の充実ぶりで、ドルビーアトモスはもちろんのこと、DTS:Xにもアップデートで対応する。アンプは9.2ch構成だが、11.2chのプリアウトを利用してステレオアンプをつなげば、9.2.2chや7.2.4ch再生へのアップグレードはたやすい。ハイレゾオーディオはDSD(2.8/5.6MHz)のダイレクト再生のほか、USBメモリとネットワークでマルチチャンネル音源の再生にも対応するなど、AVアンプならではの幅広いサポートが目を引く。

11.2chのプリアウトが可能。ハイレゾやネットワーク再生にも対応するなど、そのサポートは幅広い

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