HOME > レビュー > Dynamic Motion「DM200H」を聴く - “世界初”の同軸2ウェイ・ハイブリッド型イヤホン

【特別企画】最新DAPと組み合わせて徹底解析

Dynamic Motion「DM200H」を聴く - “世界初”の同軸2ウェイ・ハイブリッド型イヤホン

公開日 2016/07/15 10:00 岩井 喬
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
組み合わせるプレーヤーの能力を素直に引き出す潜在能力を持つイヤホン

ここでAK70にOPPOのUSB-DAC内蔵ポータブルアンプ「HA-2」をOTGケーブルで繋ぎ、USB AUDIO出力を生かした状態で試聴を続けてみた。基本的に万能なサウンドキャラクターを持つDM200Hだが、唯一の弱点といえるのが低域の制動性の難しさで、試聴環境によってローエンドがやや広がり過ぎる点だ。これはプレーヤー側の制動力を向上させることである程度緩和できる。HA-2を追加したのもそうした意図だ。加えてDSDネイティブ再生環境としたかった狙いもある。

DM200Hはプレーヤーやポタアンなど試聴環境の変化に素直に答えてくれるだけでなく、各機の性能を引き出してくれる再現力も備える

例えばRay『Little Trip』〜「My Future」のキックドラムのファットな押し出し感は顕著なのだが、HA-2を加えた方が低域が整理され、音場はすっきりと感じられる。より個々の音像が引き立ち力強いサウンドに進化、解像感も高くスピーディーでドライブ力も加わる。

『Pure2-Ultimate Cool Japan Jazz-』〜「届かない恋」(2.8MHz・DSD)では、ホーンがシャープに浮かび上がり、シンバルの清々しく硬質なアタック感と、やや奥まった位置から聴こえてくるレンジの広いピアノのくっきりとした描写が整然と居並ぶ。ウッドベースは弾力良く引き締まり、ドラムの太鼓感もすっきりとまとまる。アンビエントの感触も良好でスタジオの残響感も素直に描き出す。S/N高く、余韻の階調の細やかさが印象に残った。

続いて、AK70とOPPO「HA-2」をリファレンスに試聴を行った

長谷川友二『音展2009・ライブレコーディング』〜「レディ・マドンナ」(筆者自身による2.8MHz・DSD録音)では、アコギの胴の豊かな鳴りと弦のキレ良いアタック感、ウッドベースのたっぷりと響かせつつ締まり良くまとめる胴鳴りのリッチさを立体的に表現。ボーカルの自然な肉付きとわずかな口元の潤い、付帯感なく録音環境のドライさを素直に引き出すトレース力の高さを味わえる。音像の移動感もシームレスで、同軸構造による位相表現の正確さがここでも感じられた。

最後にSuara「キミガタメ」11.2MHzレコーディング音源を5.6MHz DSDに変換したものを聴いてみたが、音離れ良く飛び込んでくるボーカルの澄んだタッチと、リヴァーブの瑞々しく深い響きに引き込まれる。音像の肉付きも自然で、音抜けも素晴らしい。ピアノのアタックは立ち上がりが早く、ハーモニクスの細やかさも丁寧に拾い上げる。アコギ弦のクリアな艶っぽさ、煌びやかなアタックの粒立ちも爽やかに描き出す。表情豊かで抑揚に溢れたサウンドだ。



世界初の同軸構造2ウェイによるハイブリッド型イヤホンとして誕生したDM200Hは、手法のメリットを最大限生かしたポテンシャルの高さによって、接続環境が持つ最良の結果を導き出す。数千円のコスパの良いイヤホンが増えてきた現在においてリーズナブルとは言い切れない価格帯とはいえ、明らかに数段上の価格帯とも肩を並べられる実力を持つサウンドと言える。これまでもDynamic Motionが投入してきた製品のサウンドに驚かされてきたが、DM200Hの完成度の高さはその比ではない。“ハイブリッド型モデルの代表格”とさえ形容できる素晴らしいサウンドである。



特別企画 協力:サエクコマース

前へ 1 2 3

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック: