[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第200回】ラズパイオーディオの新基準!AVIOTのケース&ボード「CASE 01」「DAC 01」を試す
■そのサウンドは?まずは2.5mmバランス駆動
さて実際にシステムとして利用するにはmicroSDかUSBメモリーに適切なLinuxシステム、それをオーディオ運用するためのソフトウェアを導入して云々という手順もあるのだが、そこは今回はすっ飛ばさせていただく。興味のある方は以下の記事を参照で!
<オーディオ再生に特化したラズパイ用ソフトウェア「Volumio」と「Moode audio」を比較する>
<ラズパイオーディオで手軽に実現!Moode Audioで “I2Sの” 384kHz/32bit再生>
すっ飛ばしたところで最後に、実際に聴いたそのサウンドの印象について。最初に、Shure「SE846」+2.5mmバランス駆動+DACボード側電源での印象を基準としてまとめておこう。SE846はハイエンドクラスのイヤーモニターだ。
最初に驚かされたのはS/Nの高さ、すなわちノイズ感の少なさや全体の透明感の高さだ。騒がしいイベント会場での試聴ではわかりにくいところだが、静かな室内で聴くと一耳瞭然。これはこのDACボードとケースの大きな強みとしてプッシュできる。
例えば、微かなノイズ成分でも目立ちやすい、遮音性が高く高感度なイヤーモニターや、音量を取りにくくボリュームを上げないといけないがノイズも目立ってきてしまう大型ヘッドホン、といった製品との組み合わせでも、ノイズが気になることは滅多にないだろう。
そして一つ一つの音を注視すると、音の芯にも輪郭にも心地よい硬さがある。「心地良い」硬さというのは大きなポイントだ。
例えば女性ボーカルの澄んだ声色、息遣いの鋭さ、エレクトリックギターのパキッとした艶やかさ、そういった硬質な感触も存分に表現する。しかし硬すぎず硬さだけではなく、生々しさや温かさといった感触も同時に届けてくる。どちらかといえば硬めの音ではあるのだが、その硬さが無機質ではなく有機的。金属ではなく象牙や爪のような、人に馴染みの良い硬さなのだ。
低音のグリップも良好で、ベースやバスドラムの余計な膨らみもない。横に膨らまず下に沈んでほしい低音もしっかり表現してくれる。
ボードの価格が未定なのでコストパフォーマンスについては判断できないが、サイズパフォーマンスはかなり高いと言えるのではないだろうか。DAC基板をカードサイズに収めつつ、一般的なサイズ感や形のDAPでは物理的に搭載不可能な大きさの電解コンデンサが搭載されていたりもする。そして実際に音を聴いても、ハイエンドクラスのDAPに遜色ない。
ちなみにだが、このボードと同じ電解コンデンサOS-CONをDAPに力技で押し込んだのがソニーのNW-ZX1とNW-ZX2。「一般的なサイズ感や形のDAPでは物理的に搭載不可能」という意味は、両モデルの独特な形状を見てもらえれば……