[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第252回】
超激安ッッッ!“令和最新版”完全ワイヤレスイヤホンが想像の斜め上だった
それがいかに凄まじいことかというと、筆者の知る限り大手オーディオメーカーの製品ではIPX8の認証を取得しているモデルは存在しない!……というのもそもそも、「IPX」で表される日本工業規格「電気機械器具の外郭による保護等級」には、それに沿った性能を保証する公的認証制度みたいなものがあるわけではないのだ。
IPX表記が意味するところは、各等級の規定内容に準拠・適合する試験を実施してクリアした、ということ。つまり一般的には「この製品はIPX各等級の規定に沿った試験をクリアし、それに相当する防水性能を持つ機器であることを弊社として保証します」的な意味合いで、「IPX5相当」「IPX7準拠」など表記されている。
だがしかし!この令和防水ホンは「IPX8防水認証も取得済み」だ!
どなた様からどのようにして認証を取得しているのかわからんが、とにかくすごい自信だ!
ならば!IPX8を名乗る資格があるというなら!ぜひッ!挑んで頂きたいと思うのですッッ!
果たして実際に試験をクリア可能か!?ぜひッ!挑んで頂きたいと思うのですッッ!
……とはいえレビュー用の機材を実際に水没させて試すわけにもいかない。自腹購入ならともかく、今回のこれは編集部予算で購入してもらったものな手が滑ったアッ!
ミギャアアアアアアアア!令和防水ホンを水中に落としてしまったァッ!!
落ち着くんだ……素数を数えて落ち着くんだ ……2・3・5……9949・9967・9973……って、30分経ってしまったァッ!
令和防水ホンを洗面台にためていた水深15cm - 1m程度の範囲内にある水の中に落として30分放置してしまったァッ!ふえぇん、これで正常に動作したらIPX7な防水性能だよぉッ!IPX8には水深〇〇で〇〇分みたく具体的な試験が設定されてないからIPX7で代用だよぉッ!
さてその結果!水中から救出しタオルで水気を除き、しばらく待って電源を入れ直してみると……令和防水ホン、スマホとの再接続に成功!そして音が鳴り始めた!
ゆ……ッ!有資格者でしたァァッッ!
怪我の巧妙であるがこの令和防水ホン、実際にIPX7相当の防水性能を持つことを確認できた。そして後に追試としてもう少し深めの水にもう少し長めにも沈めてみたりもしたが、そちらもクリア!お前はやってくれるイヤホンだと信じていた!
あとついでに音の方だが、帯域バランスはこれもまた意外と普通な感じ。しかしハイ、つまり高域は令和激安ホンよりもさらに削れており、ボーカルまでもこもった感触になっている。
だがそれはしかたない。例えば音の出口周りにもしっかりとした防水フィルターが必要になるなど、防水というのは厳重にすればするほど音への影響が大きいのだ。ましてやこのモデルは最強レベルのIPX8防水。音のこもりはトレードオフとして納得するしかない。なお、水没前後で音が明らかに変わってしまったということもなかった。
諸々まとめて最終的な評価としては、
「2,000円でガチの強烈防水なんだから文句ない!」だ。