PRパーツ変更などで徹底的にブラッシュアップ
デノン新SACDプレーヤー「DCD-1700NE」レビュー。大袈裟ではなく激変、耳を疑うほどに音質向上していた
現代のディスクプレーヤーはファイル再生もこなすのが当たり前になったが、ディスクに特化した製品を求める声はいまも根強い。CDとSACDがメインの聴き手なら機能より音質を優先するはずだし、ハイレゾはネットワークプレーヤーやDAC内蔵アンプで聴くのが合理的という考えも成り立つ。
そんな声に応えてきたデノンの「DCD-1600NE」が約6年ぶりにモデルチェンジされ、後継機の「DCD-1700NE」が登場した。前機同様にネットワーク再生機能やデジタル入力を省いたシンプルな構成で、CDとSACDの再生に特化することで音質向上を狙っている。価格が上がったとはいえ、ギリギリ20万円未満に収めており、SACD対応機としては他社より入手しやすいこともディスク愛好家には嬉しいポイントだ。
結論から言うと、DCD-1600NEからDCD-1700NEへの音の変化は大袈裟ではなく「激変」と呼べるもので、最初に聴き比べた時は耳を疑うほどだった。しかも、ディスクプレーヤーのモデルチェンジではDACのグレードアップやメカニズムの刷新など、新技術の投入によって音質改善を図ることが多いのだが、DCD-1700NEにそれは当てはまらない。なぜここまで音が良くなったのか。
■サウンドマスターの耳と感性が実現した、ハイエンド機レベルの音質へのこだわり
デジタル信号処理の核心となるAdvanced AL32 Processing Plusを前機から継承し、独自設計のAdvanced S.V.H.メカニズムも基本構成は共通だ。しかし、ディスクプレーヤーの音はDACやメカニズムだけで決まるわけではない。電源回路や筐体を含む機構設計、そしてコンデンサーや抵抗、オペアンプなど音質を左右する部品の選択も重要な意味を持つ。
今回のリファインはそうした細部の作り込みに焦点を合わせ、サウンドマスターの山内慎一氏が耳と感性を頼りにじっくり音を追い込むことで音質改善を実現している。山内氏は「DCD-SX1 Limited Edition」や「DCD-A110」の音を追い込むプロセスで貴重なノウハウを蓄積しており、今回のリファインではその経験が大いに役に立ったという。
具体的には山内氏自身が開発に関わったSYコンデンサーを中心にSXコンデンサー、NEコンデンサーなど、Limited Editionと同グレードの高音質コンデンサーを投入。さらに電源回路のブロックコンデンサーも専用のカスタム品(3,300μF)を用いて電源供給の余裕を確保した。そのほか抵抗の吟味やデジタル回路へのノイズ対策の徹底など、音質向上のためのこだわりはハイエンドモデルに匹敵する。
ミドルレンジの製品の場合、通常はここまで部品や音質対策を吟味するのは時間とコストの両面で難しく、既存の部品やノウハウを流用することで済ませてしまう例も少なくない。今回はチューニングの徹底に開発の主軸を設定したことと、開発期間がコロナ禍と重なり従来よりも時間の余裕が生まれたことが成功につながったのだろう。
そんな声に応えてきたデノンの「DCD-1600NE」が約6年ぶりにモデルチェンジされ、後継機の「DCD-1700NE」が登場した。前機同様にネットワーク再生機能やデジタル入力を省いたシンプルな構成で、CDとSACDの再生に特化することで音質向上を狙っている。価格が上がったとはいえ、ギリギリ20万円未満に収めており、SACD対応機としては他社より入手しやすいこともディスク愛好家には嬉しいポイントだ。
結論から言うと、DCD-1600NEからDCD-1700NEへの音の変化は大袈裟ではなく「激変」と呼べるもので、最初に聴き比べた時は耳を疑うほどだった。しかも、ディスクプレーヤーのモデルチェンジではDACのグレードアップやメカニズムの刷新など、新技術の投入によって音質改善を図ることが多いのだが、DCD-1700NEにそれは当てはまらない。なぜここまで音が良くなったのか。
■サウンドマスターの耳と感性が実現した、ハイエンド機レベルの音質へのこだわり
デジタル信号処理の核心となるAdvanced AL32 Processing Plusを前機から継承し、独自設計のAdvanced S.V.H.メカニズムも基本構成は共通だ。しかし、ディスクプレーヤーの音はDACやメカニズムだけで決まるわけではない。電源回路や筐体を含む機構設計、そしてコンデンサーや抵抗、オペアンプなど音質を左右する部品の選択も重要な意味を持つ。
今回のリファインはそうした細部の作り込みに焦点を合わせ、サウンドマスターの山内慎一氏が耳と感性を頼りにじっくり音を追い込むことで音質改善を実現している。山内氏は「DCD-SX1 Limited Edition」や「DCD-A110」の音を追い込むプロセスで貴重なノウハウを蓄積しており、今回のリファインではその経験が大いに役に立ったという。
具体的には山内氏自身が開発に関わったSYコンデンサーを中心にSXコンデンサー、NEコンデンサーなど、Limited Editionと同グレードの高音質コンデンサーを投入。さらに電源回路のブロックコンデンサーも専用のカスタム品(3,300μF)を用いて電源供給の余裕を確保した。そのほか抵抗の吟味やデジタル回路へのノイズ対策の徹底など、音質向上のためのこだわりはハイエンドモデルに匹敵する。
ミドルレンジの製品の場合、通常はここまで部品や音質対策を吟味するのは時間とコストの両面で難しく、既存の部品やノウハウを流用することで済ませてしまう例も少なくない。今回はチューニングの徹底に開発の主軸を設定したことと、開発期間がコロナ禍と重なり従来よりも時間の余裕が生まれたことが成功につながったのだろう。
次ページ“弦の振動まで見える”実態感、鮮度の高さで前機を超えた臨場感を実現