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本気で聴いた“カーナビの音”が予想以上だった。有機ELストラーダ「CN-F1X10BGD」レビュー
高級ホームオーディオ機器並に作り込まれたサウンド性能
ここからは音質についてレビューしたい。CN-F1X10BGDは、ハードウェア、ソフトウェアの両面で音質を追求しており、オーディオ回路部の高音質化対策についてもかなり徹底されている。
対応ソースは、CD、SDカード、USBメモリ、iPhone/iPadとの有線接続、Bluetooth接続もできる。USBメモリ/SDカードに保存されたデジタル楽曲ファイルの対応フォーマットはFLAC、WAV、MP3等で、最大192kHz/24bitのハイレゾリューションファイルの再生に対応する。
筐体内部は、アナログ/デジタルブロックを切り分けて相互ノイズの影響を排除。デジタル回路部はバー・ブラウン社製の32bit精度マルチビットタイプのDACチップを使用し、音場と定位をさらに良くする立体音響処理のための高速演算DSPおよびDSP用のマスタークロックに高音質の水晶振動子を採用する。
アナログ回路部には、低DCRチョークコイルやMUSES製オペアンプ、カスタムコンデンサを採用。出力段にピュアコンプリメンタリ型MOSFET構造を備えている。内蔵のアンプは4チャンネル分を搭載したカスタム品で、各チャンネルが最大50Wの出力を持つ。ボリュームは一般的なDACチップによるビット落ちでの音質劣化を排除すべく、特注の電子ボリュームを採用している。まるで高級なホームオーディオみたいな内容だ。
サウンドモードは「高音質」「騒音適応」「エフェクト」の3つだが、注目したいのは入力からDA変換まで192kHz/24bitネイティブで処理する高音質モードで、さらにCDを含む44.1kHz/16bit〜の信号は192kHz/24bitにアップサンプリングされる。
またダイレクトに出力するモードに加え、ミキサーズラボが監修した「音の匠」モードや、スピーカーの取り付け位置や設置スピーカー数に制限がある最近の車両向けに音の臨場感を高める「極サラウンド」モードも搭載する。
音のクオリティチェックについては、音元出版試聴室およびデモカーで実施した。まずは試聴室にCN-F1X10BGDを持ち込み、B&W「803 D4」を鳴らす。最初はCDから。洋楽はテイラー・スイフトの『レピュテーション』、クラシックはアンドリス・ネルソンス『ショスタコーヴィチ 交響曲第6番・第7番、他』の2枚を用いる。
最初は「音の匠」モードを選択せず、CN-F1X10BGDの素性を確認した。オーバーオールの音の印象として、帯域バランスはソースに対してアキュレイトで、ある意味ではスタジオに設置されたプロモデルのようなクセのない音色/音調だ。アップサンプリングの効果か、音に滑らかさもあり、低域もしっかりと出ているのでアンプの駆動力も良質だと判断できる。
次にUSBメモリから、ダイアナ・クラールのハイレゾアルバム『ターン・アップ・ザ・クワイエット』(192kHz/24bit FLAC)を再生した。ハイレゾらしく分解能が高いサウンドでボリューム回路の品質が高いためか音量を絞っても音がやせづらい。予想以上の良質なサウンドに感心した次第である。
続いてiPhoneとBluetooth接続して、SpotifyからYOASOBI「祝福」を聴いた。先ほどのCDやハイレゾほどの絶対的な情報量やディテール表現は感じないものの、普通に聴くには十分な音質で、音色や音調も自然だった。
次にミキサーズラボが音質監修に参画した「音の匠」モードに切り替えた。本モードは標準装備される13バンドのイコライザーにない帯域や可聴帯域以外の周波数特性を調整することで、スタジオエンジニアが求める音楽性豊かなサウンドを狙っている。改めて先ほどの楽曲をこのモードで聴いたのだが、一聴して音色がリッチな陽性のサウンドだ。これはノーマルスピーカーがついた車両ではかなり変化が出そうである。