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PR当時を知る開発スタッフの貴重な証言も

歴代CDプレーヤー名機を聴き比べ!マランツ「SACD 30n」「CD-34」「SA-1」一斉レビュー

公開日 2024/05/28 06:30 大橋伸太郎
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「ヨーロッパでの発表会で、プレスから『フィリップスはいつ製品を出すのか』と訊かれ、フィリップスのトップが『1999年内に出す』『マランツブランドで!』というので、こちらは『えっ、そんな話きいていないよ!?』と(笑)」(澤田氏)

SA-1

現在のマランツ・マスターの尾形好宣氏はこの時入社4年目、音響事業部でCDプレーヤーの開発に従事していた。

マランツ 尾形氏

「開発は大わらわでした。当時は岩手県の宮古オーディオが生産工場で、クリスマスに缶詰になり工場のメンバーとやっと20台組み上げて出荷して面目を施した思い出があります」(尾形氏)

「次世代スーパーCDは、マルチビットのハイレゾハイサンプリングか、DSD高速1ビットですったもんだしていました。1ビットを推していたのがソニーとフィリップス。そしてシャープでした。メカはフィリップスも開発していましたがまだ搭載できるレベルになく、『SA-1』とその次の『SA-14』はシャープ製メカでした。実は『SA-1』の時はリモコンのコードを再設定する猶予もなく、シャープコードのままでした。だからこのリモコンで他のマランツが動かない。それくらい短時間に苦心してまとめた製品です」(澤田氏)

「SACD用DACが当時はまだなく、フィリップスのビットストリームDAC『TDA1547(DAC7)』をチャンネルあたり4回路使い、DSD信号を3倍の192fsとし、3タップの移動平均フィルターとして動作させるという苦心作でした。当時は広帯域の信号がアンプを発振させてこわす危険があり、ローパスフィルターの次数を深くして広帯域で出力しない機能が付いていました。第1世代のSACDはソニーもシャープもこの切り替えスイッチを持っていました。1号機ならではの機能です。このあとワイドレンジに対応するためにアンプの回路を電流帰還型にしたり、それらはSACDに導かれたものだったのです。」(澤田氏)

SA-1の背面端子部。フィルターの切り替えスイッチを備えていた

「SA-1」音質レビュー:「音場が広々と大きく、硬さが消え肉付き豊かな音楽をきかせる」



それでは、SACDの1号機「SA-1」を聴いてみよう。マランツの場合、一桁のモデルナンバーはハイエンドの称号であり、“1”はエポックメイキングなプロジェクトの証し。

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