USB-DACはNA8005と同等のものを採用
マランツ、初のUSB-DAC/ヘッドホンアンプ「HD-DAC1」。ノイズ遮断システムや無帰還型バッファー搭載
ディーアンドエムホールディングスは、マランツ初のUSB-DAC/ヘッドホンアンプ「HD-DAC1」を10月上旬より発売する。価格は108,000円(税抜)。
本機は2.8/5.6MHz DSD、192kHz/24bit PCMの再生が可能なUSB-DACを搭載。新開発のヘッドホンアンプは、HDAM-SA2+フルディスクリート無帰還型出力バッファーによる構成だ。同社ハイレゾ対応モデルでお馴染みのデジタル・アイソレーション・システムも搭載する。入力はUSB-Bに加えて、USB-A、同軸/光デジタルを装備。ステレオ標準端子のヘッドホン出力に加えて、ライン出力も固定/可変の2系統を備える。
公式発表に先立って、ディーアンドエムホールディングス本社にてプレス向け発表会が開催された。発表会冒頭では、同社プレジデントであるティム・ベイリー氏が登場。「今日はマランツが初めて手がけるUSB-DAC/ヘッドホンアンプであるHD-DAC1を紹介できて光栄です。非常にエキサイティングな製品となりましたのでご期待ください」と、本機にかける意気込みをアピールした。以下で製品の詳細および発表会の模様を紹介していく。
■マランツHi-Fiアンプの究極の理想をヘッドホンアンプで具現化
発表会では、マランツのサウンドマネージャーである澤田龍一氏がプレゼンテーションを行った。澤田氏は「私が記憶する限り、マランツの61年の歴史で単体のヘッドホンアンプを作ったのは初めて」とコメント。HD-DAC1のヘッドホンアンプ構成は、以前から澤田氏がマランツHi-Fiアンプの理想の形と考えていたものを具現化できたと述べた。
HD-DAC1のヘッドホンアンプは、電圧増幅段にはHDAM-SA2による電流帰還型回路を用い、ヘッドホンをドライブする出力段には新規開発のフルディスクリート構成・無帰還型バッファーアンプを採用する。こうした構成は、他社ヘッドホンアンプでは類を見ないもので、従来にないディテール表現や空間表現の向上を可能にしたと説明する。
澤田氏は、HD-DAC1のヘッドホンアンプが特徴的な構成となった理由についても紹介した。パワーアンプは“電圧の増幅”と“スピーカーの駆動”を受け持つが、マランツではこの増幅と駆動を分業することでピュアな再生を目指してきた。そして「分業を完璧にするには、駆動を行う出力段の増幅(ゲイン)を0dBにすること」が理想と述べた。だが、実際にそれをスピーカーを駆動するHi-Fiパワーアンプで実現することは、物量・コスト的な面から非常に難しくなる。
スピーカーに比べて増幅率の少ないヘッドホン用のアンプならば、このHi-Fiパワーアンプの“究極の姿”を具現化できると、HD-DAC1では出力段にゲイン0dBの無帰還型バッファーアンプを採用。電圧増幅とヘッドホン駆動の完全な分業を実現した。澤田氏は「無帰還型アンプは、いわば“お化粧をしない”ということで、素の特性が良くなければ実現することは難しい」とも語っていた。また、このアンプ構成は幅広いインピーダンスを持つヘッドホンをドライブするための電圧ゲインの確保、そして逆起電力の制御にも寄与しているという。
ヘッドホンアンプはゲイン切り替え機能も搭載。使用するヘッドホンのインピーダンスに合わせて、ゲインを3段階(High [22dB]、Mid [16dB]、Low [11dB])で切り替えることができる。
■HD-DAC1がバランス・ヘッドホン出力非搭載という仕様を選択した理由
本機のヘッドホン出力は、ステレオ標準端子のシングルエンド出力のみ。澤田氏はバランス・ヘッドホン出力を非搭載とした理由についても説明した。本機はオペアンプを使うことなく、非常に凝ったディスクリート回路でアンプを構成し、動作のほとんどをA級動作でまかなっている。バランス駆動ではステレオアンプが2組必要となるため、今回のHD-DAC1のアンプ構成でこの筐体に収めることは難しく、コスト面でも本来のコンセプトとそぐわないものになってしまう。「マランツの思想を犠牲にしてまでバランス端子を搭載するよりは、理想的なアンプをシングルエンドで実現することに徹した」と澤田氏は語っていた。
なお、澤田氏にこのヘッドホンアンプをはじめとしたHD-DAC1の詳細、そしてマランツが目指すアンプの理想をいかにHD-DAC1に落とし込んだかという点について、別途、くわしく話を伺う機会を得た。こちらも近日中にレポートする。
本機は2.8/5.6MHz DSD、192kHz/24bit PCMの再生が可能なUSB-DACを搭載。新開発のヘッドホンアンプは、HDAM-SA2+フルディスクリート無帰還型出力バッファーによる構成だ。同社ハイレゾ対応モデルでお馴染みのデジタル・アイソレーション・システムも搭載する。入力はUSB-Bに加えて、USB-A、同軸/光デジタルを装備。ステレオ標準端子のヘッドホン出力に加えて、ライン出力も固定/可変の2系統を備える。
公式発表に先立って、ディーアンドエムホールディングス本社にてプレス向け発表会が開催された。発表会冒頭では、同社プレジデントであるティム・ベイリー氏が登場。「今日はマランツが初めて手がけるUSB-DAC/ヘッドホンアンプであるHD-DAC1を紹介できて光栄です。非常にエキサイティングな製品となりましたのでご期待ください」と、本機にかける意気込みをアピールした。以下で製品の詳細および発表会の模様を紹介していく。
■マランツHi-Fiアンプの究極の理想をヘッドホンアンプで具現化
発表会では、マランツのサウンドマネージャーである澤田龍一氏がプレゼンテーションを行った。澤田氏は「私が記憶する限り、マランツの61年の歴史で単体のヘッドホンアンプを作ったのは初めて」とコメント。HD-DAC1のヘッドホンアンプ構成は、以前から澤田氏がマランツHi-Fiアンプの理想の形と考えていたものを具現化できたと述べた。
HD-DAC1のヘッドホンアンプは、電圧増幅段にはHDAM-SA2による電流帰還型回路を用い、ヘッドホンをドライブする出力段には新規開発のフルディスクリート構成・無帰還型バッファーアンプを採用する。こうした構成は、他社ヘッドホンアンプでは類を見ないもので、従来にないディテール表現や空間表現の向上を可能にしたと説明する。
澤田氏は、HD-DAC1のヘッドホンアンプが特徴的な構成となった理由についても紹介した。パワーアンプは“電圧の増幅”と“スピーカーの駆動”を受け持つが、マランツではこの増幅と駆動を分業することでピュアな再生を目指してきた。そして「分業を完璧にするには、駆動を行う出力段の増幅(ゲイン)を0dBにすること」が理想と述べた。だが、実際にそれをスピーカーを駆動するHi-Fiパワーアンプで実現することは、物量・コスト的な面から非常に難しくなる。
スピーカーに比べて増幅率の少ないヘッドホン用のアンプならば、このHi-Fiパワーアンプの“究極の姿”を具現化できると、HD-DAC1では出力段にゲイン0dBの無帰還型バッファーアンプを採用。電圧増幅とヘッドホン駆動の完全な分業を実現した。澤田氏は「無帰還型アンプは、いわば“お化粧をしない”ということで、素の特性が良くなければ実現することは難しい」とも語っていた。また、このアンプ構成は幅広いインピーダンスを持つヘッドホンをドライブするための電圧ゲインの確保、そして逆起電力の制御にも寄与しているという。
ヘッドホンアンプはゲイン切り替え機能も搭載。使用するヘッドホンのインピーダンスに合わせて、ゲインを3段階(High [22dB]、Mid [16dB]、Low [11dB])で切り替えることができる。
■HD-DAC1がバランス・ヘッドホン出力非搭載という仕様を選択した理由
本機のヘッドホン出力は、ステレオ標準端子のシングルエンド出力のみ。澤田氏はバランス・ヘッドホン出力を非搭載とした理由についても説明した。本機はオペアンプを使うことなく、非常に凝ったディスクリート回路でアンプを構成し、動作のほとんどをA級動作でまかなっている。バランス駆動ではステレオアンプが2組必要となるため、今回のHD-DAC1のアンプ構成でこの筐体に収めることは難しく、コスト面でも本来のコンセプトとそぐわないものになってしまう。「マランツの思想を犠牲にしてまでバランス端子を搭載するよりは、理想的なアンプをシングルエンドで実現することに徹した」と澤田氏は語っていた。
なお、澤田氏にこのヘッドホンアンプをはじめとしたHD-DAC1の詳細、そしてマランツが目指すアンプの理想をいかにHD-DAC1に落とし込んだかという点について、別途、くわしく話を伺う機会を得た。こちらも近日中にレポートする。
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