『2020年のスーパーハイビジョン』
<NHK技研公開>多数の8K展示 − スカラ座8K上映/有機ELの活用/フルHD→8Kアプコンなど
■大型でフレキシブルな有機ELディスプレイを8Kに活用
8Kのための大型で軽量なディスプレイの実現に向け、有機ELディスプレイの活用も検討。長寿命化が期待できる逆構造有機EL素子を開発したという。同技術では、酸素や水分の影響を受けにくい新規電子注入材料を開発。この材料を積層して成膜できるよう、有機EL素子の構造を陽極と陰極の位置を入れ替えた逆構造にした。
また、将来の台下万シート型ディスプレーの実現に向けた要素技術として、配線やTFTを大画面化しやすい印刷法で形成したディスプレイも紹介。今後は、ディスプレイの省電力・長寿命化に向け有機ELのさらなる性能向上を図るとともに、フレキシブルディスプレイの新しい制作技術やTFTなどの開発を進めるという。
■フルHDから8Kへのアップコンバート技術
将来的に8K放送が実現した際に過去の映像資産を活用できるよう、アップコンバートに関する技術展示も展開。フルHDを8Kに拡大する最大16倍の高精細化技術のデモを行っている。
同技術では人間の視覚モデル(方向性解析)により、映像を最大16倍(4×4)に拡大。これによりフルHD映像を8Kに高精細に拡大したり、SD放送を4K以上の映像に高精細化するという。
ここで用いる空間方位性解析では、画像状の各画素が、どちらの方向に、どれだけの強さで空間相関を有するかというベクトル分布を利用。各画素の空間方位に沿って、元画像の疎な画素から新しい画素を補間生成するという。