【特別企画】低反射と高コントラストを両立
「モスアイパネル」の実力とは? 山之内正がAQUOS「XL9」の画質を検証
■モスアイパネルの実力を確かめる
電源を切った状態でパネル正面に座ると、天井の蛍光灯はもちろん、本来なら画面上に映り込むはずの自分の姿もまったく見えないことに気付く。一方、本体に近付いてみるとパネル表面には光沢仕上げの製品と同様ななめらかさがある。鏡のようになめらかなタッチなのにほとんど映り込みがないというのは、なんとも不思議な感覚だ。
明るめのリビングルームに相当する照明環境でしばらく地上波のオンエアを見る。普通なら天井の照明が画面上にくっきり見えるような位置関係なのだが、XL9シリーズではそれがまったく気にならず、コントラストの高い映像に集中できる。最初からこの映像を体験していると意識しにくいが、映り込みの強い光沢仕上げのテレビやノングレア処理を施したテレビを横に並べて見ると、知らず知らずのうちに周囲の映り込みが大きなストレスになっていることに気付かされる。
次に、AQUOSブルーレイでBDソフトを再生し、本機の基本性能を検証した。『トゥルー・グリット』の中盤、暗闇のなかアジトの近くで待ち伏せする場面では、月明かりに照らされたコグバーンの表情がリアルに浮かび上がり、アジトを包み込む漆黒の闇の深さが不気味な雰囲気を再現する。
このシーンでは、普通は明暗を描き分ける暗部の階調を引き出すためには部屋の照明を完全に消すのが望ましいのだが、XL9シリーズでは照明を落とさずに映画モードで再生しても暗部表現が犠牲にならず、なめらかな階調を保っている。濃いグレーが画面の大半を占めるような映像でも不自然なムラは見えず、パネルやバックライトのユニフォーミティなど基本性能についても不安はない。
次に見たのはマティが父の仇のチェイニーと遭遇する場面。画面全体はかなり明るいが、不意に出くわした驚きを二人の表情から読み取るためには、眼の周囲のコントラストの再現が重要なカギを握る。眼の周囲など小面積だが重要な部分に照明などが映り込むと、重要な表情を読み取り損なうこともあり得るが、本機は安心して見ていられる。