DLNA&USBで192/24再生対応
【レビュー】「手軽にハイレゾ」が新しい全部入りコンポ、パナソニック「SC-PMX9」
■USBのハイレゾ再生やAirPlayをテストする
USBのハイレゾ再生も試してみた。手順はセレクターから「iPod_Port」を選んで、聴きたいファイルを再生するだけ。USBからはFLAC/MP3形式のファイルが再生できる。ID3タグの表示にも対応しているので、MP3ファイルの再生時にはリモコンの「表示切り替え」を押して、フロントパネルにアルバム名や曲名、アーティスト名の表示も可能。1つのUSBメモリーに複数のアルバムを保存している場合は、1行表示のパネルにフォルダー構成をフラットにして表示する仕様となっている。ちなみに本機ではUSBへの録音には対応していない。
ほかにもAirPlayやBluetoothなどスマートデバイスとの連携による音楽再生もチェックした。AirPlayのサウンドは力強く華やかな印象。192kHz/24bitのFLAC再生と比べてしまうと解像感やレンジ感でやや劣るように感じるが、ロックやジャズの楽曲は骨太でエネルギッシュな演奏が楽しめる。Bluetoothのサウンドは少しあっさりとしているが、高域が非常にきめ細かく、情報の密度や解像感が高かったことが特筆できる。
なおAirPlay再生については家に無線ネットワーク環境がなくても、ダイレクト接続機能を使ってiOSデバイスと本機を直接つないでワイヤレス音楽再生を楽しめる。リモコンの「設定」から「D.Connect」を選択すれば、iOSデバイスからコンポの無線ネットワークが選べるようになるので、パスワードを入力して接続完了となる。
iPhone 5やiPod touch 5GなどLightning端子を備えるデバイスを所有している場合は、本体のiPodドックも活用したい。ドック経由でのサウンドも情報量が豊富で、特に中域が力強く煌びやかな印象を受けた。インターネットラジオ機能は本体に搭載されていないが、iPhoneにインストールしたアプリを活用すれば、インターネットラジオをはじめ様々なコンテンツを本機で高品位に楽しめるようになる。
■ハイレゾ入門コンポとして高い完成度を実感
今回SC-PMX9を試してみて、多彩な機能をシンプルに、かつ使い勝手を損なわずに上手くまとめたオーディオコンポであることが実感できた。
同様のハイレゾ再生に対応するコンパクトなオーディオコンポには、例えばオンキヨーからDSD/ALAC再生にも対応する“CR Series”「CR-N755」なども発売されているが、SC-PMX9ではWAV/FLACとハイレゾ音楽配信が豊富なフォーマットに絞り込んでいるので、入門者にとってはかえってハイレゾ再生に抵抗なくチャレンジできるのではないか。スピーカーシステムがセットになっていることも心強い。
一方、ネットワーク経由でのハイレゾ再生を楽しむためにはスマートデバイスとアプリの併用が必須で、リモコンと本体パネルによる操作でできることが限られてしまう。スマートデバイスを使い慣れていないユーザーにとっては若干敷居が高いかもしれない。今後、エントリー層が手軽にハイレゾ再生を楽しめるコンポのラインナップを強化・充実させていくのであれば、もっと表現力の高い、大型の液晶ディスプレイを搭載するなどの工夫が必要になってくるかもしれない。
ともあれ、ネットワーク設定の手軽さや高品位な音楽再生も含めて、入門向けのハイレゾ対応オーディオコンポとして申し分のない完成度の高さだ。パナソニックのハイレゾ再生に取り組む情熱と底力が伝わってくる製品だ。