【特別企画】「まさにプライスレスな次世代プリメインアンプ」
「テレビ接続できるプリメイン」同門対決!マランツ「MODEL 40n」を「NR1200」ユーザーの評論家が自宅でテスト!
テレビとの接続も大いに意識し、HDMI ARCでの信号伝送に独自の高音質化技術を投入したことで話題のマランツ製プリメインアンプ「MODEL 40n」。同社「NR1200」のユーザーでもある評論家の秋山真氏が、MODEL 40nの実力をチェックした。
■NR1200ユーザーが感じたMODEL 40nの魅力とは?
このたびマランツ「NR1200」ユーザーである筆者に、いま話題の「MODEL 40n」を同じ環境で徹底検証せよという重大な任務が与えられた。
MODEL 40n内部の詳細は、すでにPHILE WEBでも小原由夫氏や土方久明氏が書かれているので本稿では割愛するが、私も年明けにマランツの試聴室でじっくり試聴させてもらっている。まず驚いたのは、鳴らすのが難しいとされるB&W「800D3」を余裕で駆動するアナログアンプとしての非凡さだ。これは68Aという瞬時電流供給能力を実現したフルディスクリートのパラレルプッシュプル回路によるところが大きいだろう。
そして何より印象的だったのは、先行して展開されている「MODEL 30」とのキャラクターの違いである。同じ顔をしているが性格は正反対。まるで『タッチ』の上杉兄弟のようだ(例えが昭和でゴメン)。前後左右のパースペクティブに優れ、フラットレスポンスかつ洗練された華のある音色が魅力のMODEL 30が上杉和也なら、低い重心からたっぷりの音圧を伴い、音楽のグルーヴを前面に押し出してくるMODEL 40nは上杉達也だ。両者のあいだに優劣の差はなく、どちらもこの価格帯でB&W 800D3相手に自分の持ち味を最大限に発揮できているのが凄い。サウンドマネージャー尾形氏によるチューニングの賜物と言えるだろう。
この日はたまたま持参した音源が、宇多田ヒカル『BADモード』、テイラー・スウィフト『RED (Taylor's Version)』、ザ・ウィークエンド『Dawn FM』といった楽曲だったこともあり、800D3をレコーディングスタジオのラージモニターのように鳴らしたMODEL 40nが特に印象に残ったが、一方のMODEL 30も、日本オーディオ協会のアンプ聴き比べ空気録音の現場に立ち会った際にはB&Wとの相性の良さで感銘を受けた1台だ。どちらも新生マランツサウンドを強く意識させる会心作であり、これはどちらを選ぶか、浅倉南じゃなくても悩んでしまう。
そんな上杉達也…じゃなかった、MODEL 40nが我が家にやってくるというのだから、ウチの3年生ピッチャーNR1200も心中穏やかではない。しかし最初に断っておくと、私自身、2年前の座談会でも発言しているように、HDMI入力を持つNR1200は待望の製品であり、これまでに大きな不満があったわけではないのだ。
ただし、導入してから半年くらいで使い方に変化が生じた。当初はUHDブルーレイプレーヤー、Apple TV 4K、Fire TV Cubeといったソース機器をNR1200の4系統あるHDMI入力に接続し、すべての信号をHDMI出力(兼ARC)から有機ELテレビ(REGZA 55X8400)に伝送していた。つまり、NR1200をHDMIスイッチャー代わりに使っていたのだ。
しかし、この場合は入力切替や音量調整に2つ(アンプとテレビ)のリモコンが必要になるため、家族から不満が続出。最後は私が折れる形で、ソース機器をすべて55X8400に接続し、音声信号のみHDMI ARCでNR1200へ送る方法に切り替えた。たしかにHDMIコントロール機能(CEC)を使って一連の操作をテレビリモコンに集約できるのは快適である。では、なぜ当初の私はNR1200をHDMIスイッチャー代わりに使うことに固執したのか。それには私のなかの2つの“常識”があった。
■ARCは音質が良くない問題
その1つが、「ARCは音質が良くない」という“常識”だ。
■NR1200ユーザーが感じたMODEL 40nの魅力とは?
このたびマランツ「NR1200」ユーザーである筆者に、いま話題の「MODEL 40n」を同じ環境で徹底検証せよという重大な任務が与えられた。
MODEL 40n内部の詳細は、すでにPHILE WEBでも小原由夫氏や土方久明氏が書かれているので本稿では割愛するが、私も年明けにマランツの試聴室でじっくり試聴させてもらっている。まず驚いたのは、鳴らすのが難しいとされるB&W「800D3」を余裕で駆動するアナログアンプとしての非凡さだ。これは68Aという瞬時電流供給能力を実現したフルディスクリートのパラレルプッシュプル回路によるところが大きいだろう。
そして何より印象的だったのは、先行して展開されている「MODEL 30」とのキャラクターの違いである。同じ顔をしているが性格は正反対。まるで『タッチ』の上杉兄弟のようだ(例えが昭和でゴメン)。前後左右のパースペクティブに優れ、フラットレスポンスかつ洗練された華のある音色が魅力のMODEL 30が上杉和也なら、低い重心からたっぷりの音圧を伴い、音楽のグルーヴを前面に押し出してくるMODEL 40nは上杉達也だ。両者のあいだに優劣の差はなく、どちらもこの価格帯でB&W 800D3相手に自分の持ち味を最大限に発揮できているのが凄い。サウンドマネージャー尾形氏によるチューニングの賜物と言えるだろう。
この日はたまたま持参した音源が、宇多田ヒカル『BADモード』、テイラー・スウィフト『RED (Taylor's Version)』、ザ・ウィークエンド『Dawn FM』といった楽曲だったこともあり、800D3をレコーディングスタジオのラージモニターのように鳴らしたMODEL 40nが特に印象に残ったが、一方のMODEL 30も、日本オーディオ協会のアンプ聴き比べ空気録音の現場に立ち会った際にはB&Wとの相性の良さで感銘を受けた1台だ。どちらも新生マランツサウンドを強く意識させる会心作であり、これはどちらを選ぶか、浅倉南じゃなくても悩んでしまう。
そんな上杉達也…じゃなかった、MODEL 40nが我が家にやってくるというのだから、ウチの3年生ピッチャーNR1200も心中穏やかではない。しかし最初に断っておくと、私自身、2年前の座談会でも発言しているように、HDMI入力を持つNR1200は待望の製品であり、これまでに大きな不満があったわけではないのだ。
ただし、導入してから半年くらいで使い方に変化が生じた。当初はUHDブルーレイプレーヤー、Apple TV 4K、Fire TV Cubeといったソース機器をNR1200の4系統あるHDMI入力に接続し、すべての信号をHDMI出力(兼ARC)から有機ELテレビ(REGZA 55X8400)に伝送していた。つまり、NR1200をHDMIスイッチャー代わりに使っていたのだ。
しかし、この場合は入力切替や音量調整に2つ(アンプとテレビ)のリモコンが必要になるため、家族から不満が続出。最後は私が折れる形で、ソース機器をすべて55X8400に接続し、音声信号のみHDMI ARCでNR1200へ送る方法に切り替えた。たしかにHDMIコントロール機能(CEC)を使って一連の操作をテレビリモコンに集約できるのは快適である。では、なぜ当初の私はNR1200をHDMIスイッチャー代わりに使うことに固執したのか。それには私のなかの2つの“常識”があった。
■ARCは音質が良くない問題
その1つが、「ARCは音質が良くない」という“常識”だ。