NAS、そしてサーバーソフトについて徹底解説
音楽ファンのための “ネットオーディオ” 完全ガイド【第12回】「ネットワークオーディオで楽しむ(2) サーバー」
連載目次 |
第1回「まず『音源』ありき」 第2回「タグについて理解しよう」 第3回「コーデックの基礎知識」 第4回「ライブラリを構築する」 第5回「音源の入手方法(1) CDのリッピング」 第6回「音源の入手方法(2) 配信サイトからのダウンロード」 第7回「PCオーディオで楽しむ(1) 基礎知識」 第8回「PCオーディオで楽しむ(2) USB-DACを活用する」 第9回「PCオーディオで楽しむ(3) 色々な再生ソフト」 第10回「PCオーディオで楽しむ(4) オーディオルームとPCの親和性」 第11回「ネットワークオーディオで楽しむ(1) 基礎知識」 第12回「ネットワークオーディオで楽しむ(2) サーバー」 第13回「ネットワークオーディオで楽しむ(3) プレーヤー」 第14回「ネットワークオーディオで楽しむ(4) コントロール」 第15回「様々な再生方法」 |
ネットワークオーディオの3要素のひとつ「サーバー」を解説
今回から、ネットワークオーディオの三要素をそれぞれ解説していきます。まず音源ありきということで、最初は「サーバー」を取り上げます。
サーバーは従来のオーディオの形態からすればPC以上に異質な要素で、ネットワークオーディオを実践するうえで最大の障壁となっている感があります。また、サーバーが注目されることがあっても、興味の対象はあくまで音質に限られており、肝心の機能面・ユーザビリティについて触れられることはそれほど多くありませんでした。これではネットワークオーディオの浸透など望むべくもありません。今回の記事でサーバーに関する理解が深まれば幸いです。
前回のおさらいになりますが、ネットワークオーディオにおける「サーバー」とは、音源のデータを保存(ストレージ)してライブラリとし、プレーヤーに配信する機能を持つものを指します。
実際の機器としては、PCまたはNAS(Network Attached Storage)が該当します。第三の選択肢として純然たるオーディオ用サーバーがありますが、それについては後述します。ユーザーの音源ファイル/構築したライブラリをサーバーに保存することで、それらをネットワークオーディオプレーヤーに配信し、再生することが可能になります。
「ネットワークオーディオにはNASが必要」というイメージが根強くありますが、必要なのは「サーバーという役割を果たす機器」であって、それが必ずNASを指すというわけではありません。PCもサーバーとして活用できます。「役割」と「機器」は分けて考える必要があります。
サーバーの核心となる「サーバーソフト」
UPnP/DLNAの仕組みを利用している大多数のシステムにおいて、サーバーとしての機能はハードウェアではなく、その上で走るソフトウェア ーー サーバーソフトに依存します。このサーバーソフトこそ、サーバーの核心と言うべきものです。
多くのNASがネットワークオーディオにおけるサーバーとして機能するのは、内部でサーバーソフトが走っているからです。WindowsでもMacでも、サーバーソフトをインストールすることで、PCもサーバーとしての機能を持つようになります。逆に、サーバーソフトが無ければ、NASだろうとPCだろうとネットワークオーディオのサーバーとして使うことができません。
サーバーソフトがサーバーとしての機能を決定付けるものである以上、サーバーソフトへの言及なしに、特定のサーバー機器の良し悪しを述べることはできません。
それでは、サーバーソフトの実例を見てみましょう。下の図はコントロールアプリのDiXiM DMCを使い、筆者の環境で用意できるサーバーを並べたものです。
ちなみにこの時、サーバーのハードウェアはPCとLUMIN L1の2つしか使っていません。にもかかわらず、上の画像ではLUMIN L1以外に複数のサーバーが表示されています。これは「PCの中に複数のサーバーソフトを走らせている」からであり、サーバーソフトがサーバーの機能を担っていることを端的に示しています。